人種差別、人身売買。エンターテインメントか、社会批判か よく練られたシナリオに作り込まれた映像、面白い映画です。ただ、批評性をもったテーマですので、エンターテインメント性が強い分、つくり手自らにその批評性がはね返ってくるのではないかと思います。監督はチェニジア出身のカウテール・ベン・ハニアさん、2005年くらいからドキュメンタリーやショートの作品がクレジットされ...
なれなかったのではなく、なりたくなかったボクたちの25年 ああ、これが2020年の日本なんだなあとつくづく感慨にふけざるを得ないような映画です。ボクたちはみんな大人になれなかった / 監督:森義仁残るのは虚しさだけ佐藤、加藤に会う佐藤、テレビ局の下請け仕事に就く佐藤と加藤、ラブホテルへいく普通が嫌いな加藤突然の別れ恋愛ドラマではなく、...
ダークファンタジーというよりもジェントリーファンタジー マッテオ・ガローネ監督は、自然主義的な社会派ドラマとファンタジーものを交互に撮るつもりなんでしょうか。「ゴモラ」「五日物語 3つの王国と3人の女」「ドッグマン」、そしてこの「ほんとうのピノッキオ」です。ほんとうのピノッキオ / 監督:マッテオ・ガローネ子ども向けなのか、大人向けなのか?人形...
女たちよ、失敗を恐れるな。やり直せばいいのだ。 「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」で主演のビーニー・フェルドスタインさんありきの映画です。全シーン出ずっぱりです。内容は、キャトリン・モランというイギリスのジャーナリスト、作家、テレビ司会者など多方面で活躍している方の自伝的小説の映画化とのことです。ビルド・ア・ガール / 監督:コーキー・ギェ...
高畑充希さんら俳優が映画を救う タナダユキ監督の映画では初めてよかったと思った作品かもしれません(ペコリ)。「赤い文化住宅の初子」以来、数本は見ているのですが、どちらかと言いますとステレオタイプな人物でドラマをつくる印象が強く、過剰な演出を感じるからだと思います。でも、この映画は、そうした過剰さは多少感じられるにしても、俳優によって打ち消されていますし、そもそも...
藤原竜也×西野七瀬、男女バディーものでいけるんじゃない この映画を見た理由は「鳩の撃退法」のタイトルにつられただけです(笑)。それだけ映画のタイトルは重要ということでもあります。原作者の佐藤正午さんの名前は見聞きはしていますが読んだことはなく、同名タイトルの原作も知らなかったということです。もちろん見る前にはざっと公式サイトを覗きましたのでわかって見てはいます。...
児童虐待が人情噺に利用されている 現在の社会問題を昭和の価値観で片付けてしまってはなにも生まれないと思います。「10ANTS」という劇団の上西雄大さんという方が監督であり、主人公である男性を演じている映画です。劇団(兼芸能プロダクション)のウェブページをみてみますと、「かつての大映映画」とか「浪速の人情」などの言葉が踊っていますので、ああ、そういうことねと、それ...
白色テロ下の純愛が悲劇を生む ゲームが原作の映画ということで見るのを迷ったのですが、見てみればあまり違和感はなく、前半はともかく、後半は映画らしくまとまっていました。ゲームと言えば敵と戦ってパワーアップしていくイメージしか持っていなかったのですが、こうした物語でもゲームになるようです。で、この映画を見てみようと思った理由は、台湾の「白色テロ」の時代を描いているとい...
実話に基づくホロコーストの復讐計画「プランA」 ホロコーストサバイバーの復讐劇、事実に基づく物語ということです。「Nakam(ナカム)」というヘブライ語で復讐という意味を持つグループの存在や映画で描かれるニュルンベルクの水道に毒を流し込んで無差別にドイツ人を殺害しようとした「Plan A」という計画があったのは事実のようです。 映画では語られていませんが「Pla...
ベトナムのストリートチルドレン走る ベトナム映画です。ベトナム公式の宝くじに便乗しておこなわれている(らしい)違法ギャンブル「sốđề」という闇くじを生活の糧にしているストリートチルドレンを描いています。走れロム / 監督:チャン・タン・フイ監督短編映画「16:30」何をやろうとしているのかよくわからない ネタバレあらすじ混乱もカオスに向かわ...
レイプリベンジ、ラブコメ、スリリングだが…#MeTooの消費かも 今年のアカデミー賞脚本賞を受賞しているんですね。そんなことも知らずに見ていました。それに作品賞、監督賞、主演女優賞、編集賞にもノミネートされていたようです。プロミシング・ヤング・ウーマン / 監督:エメラルド・フェネルプロミシング・ヤング・マンではなくウーマンネタバレあらすじとちょい...
アナーキーな村、バクラウ、アナーキーな映画、バクラウ 昨年(2020年)末の劇場公開時に見ているのですが、書きかけでそのままになっていた映画です。かなり記憶も薄れてしまいましたのでDVDを見てみました。前半は散漫な感じでDVDじゃ集中できませんが、やはり後半はぐっと惹きつけられます。次第に映画の向かっているところが見えてくるからでしょう。2019年のカンヌで「レ...
俳優は豪華だが映画は作りものくさい ビレ・アウグスト監督の2014年の映画「サイレント・ハート」のリメイクとのこと、その映画は日本では2016年の「トーキョーノーザンライツフェスティバル」で上映されています。劇場未公開です。ブラックバード 家族が家族であるうちに / 監督:ロジャー・ミッシェルシチュエーション・ドラマ 俳優は豪華(だと思う)ネタバ...
神は存在する 彼女の名はペトルーニャ、というマケドニア映画 邦題は「ペトルーニャに祝福を」という優しいタイトルになっていますが、英題は「GOD EXISTS, HER NAME IS PETRUNYA」です。マケドニア語の原題も同じ意味らしく、そのまま日本語にすれば「神は存在する 彼女の名はペトルーニャ」です。ギリシャ正教とか東方教会と呼ばれるキリスト教の世界の話...
山田孝之が頑張るも、「劇」のまま映画にならず 佐藤二朗さんという方を、ああ、あの映画のと、はっきり思い出せるものはありませんが、なんとなく知っている俳優さんではあります。その佐藤さん、「ちからわざ」という演劇ユニットを主宰しているそうです。この映画もそこで2009年に初演された舞台劇がもとになっているとのことで、映画では「原作・脚本・監督:佐藤二朗」となっています...
モロッコ、アトラス山間部に暮らすアマジグ族の姉妹と結婚式 「モロッコの山奥に暮らすアマズィーグ族の姉妹、ハディージャとファーティマ。アトラス山脈の壮大な自然の中、自身の夢と伝統や慣習のあいだで揺れ動く心のうちを親密な映像で紡いでいく。(公式サイト)」という映画なんですが、なんだか膜が張ったような掴みどころのない映画でした。ハウス・イン・ザ・フィールズ / ...
アンソニー・ホプキンスさんアカデミー賞主演男優賞受賞! アンソニー・ホプキンスさんが、今年2021年のアカデミー賞主演男優賞を受賞しています。アカデミー賞自体にも受賞作品はできるだけ見ようと思う程度の興味しかなく、授賞式も見たことがないのですが、それでもネットニュースのタイトルに今年の授賞式に「異例」とか「予想外」などの言葉がついていたのは記憶しています。今、1、...
松山ケンイチさんの映画としか言いようがない この映画、松山ケンイチさんのそこまでやるか?!につきます。「BLUE/ブルー」ではボクサーらしい身体に絞りきっていましたが、こちらは20kg増らしいです。その「BLUE/ブルー」を見た際に見ていないことを思い出し見てみました。聖の青春 / 監督:森義隆不思議の世界、将棋界松山ケンイチであることを忘れる...
タイムループ系ラブコメ、ちょっともの足らず 普通の(?)ラブコメじゃないとの噂を聞きつけて、さらにビジュアルに下の画像のようなおバカ系の香りが漂っていましたので、ついついそそられて見てしまいました(笑)。結果、そこそこ面白くは見られましたが、ちょっとおバカさ足らずで期待ほど気持ちよくは突き抜けず、やっぱり普通のラブコメじゃない?という映画ではありました。パ...
言いたいことが言えない生活を想像できますか? つい先日見た「旅立つ息子へ」が自閉スペクトラム症の青年と父親の映画でした。その際いくつか自閉スペクトラム症に関連するサイトを読んだことがこの映画を見たきっかけです。僕が跳びはねる理由 / 監督:ジェリー・ロスウェル東田直樹さん 自閉症者の見る世界を映像化しようとしているようだが… 5人の自閉症の子ども...