女性の抑圧よりもヨーロッパのいらだちを感じるのだが… 「パピチャ 未来へのランウェイ」との邦題から、イスラム社会にある女性抑圧をはねのけてファッションショーを実現する女性たちの話かと思って見に行きましら、半分は合っていて半分は違っていました。ファッションショーを実現する女性たちというのはその通りですが、それに対して起きることが「女性抑圧」を越えており、「文明の衝突...
世界最高の辞書OEDの誕生秘話(はマッチョな男の物語?) メル・ギブソンがサイモン・ウィンチェスター著『The Professor and the Madman: A Tale of Murder, Insanity, and the Making of the Oxford English Dictionary』の映画化権を得たのが1998年、公開までに20年を要...
芦田愛菜の演技と大森立嗣監督の演出で日日是好日以来の秀作に! 大森立嗣監督というのは(私には)とても不思議な監督で、前作の「MOTHER マザー」でも散々に書きながらなぜか見に行ってしまうという監督です。なにか感じるところがあるからだとは思いますが、それにしても、これも毎回書いていることですが出来不出来の落差が激しい監督です。この映画はよかったです(笑)。...
アメリカン・ホームコメディで中国を描く 映画のつくりに新鮮さとは違った何かちょっと変わっているなあという感じを受け、なんだろうと考えていたんですが、この映画、中国的な日常生活感をアメリカ的ホームコメディのセンスで描いているからですね。おそらくそうしたカルチャーミックス的な視点が、あるシーンではどことなくノスタルジックな味わいになったり、また別のあるシーンではちょっ...
昭和ノワールものを平成コメディ(ギャグ)タッチで描く 劇場公開時には三池崇史監督が「初恋」?と興味を持ったものの何となく見逃してしまいましたがやっと見られました。今やヤクザ映画(ではないけれど)もギャグなしでは成立しないということのようで、その意味では「初恋」のタイトルもギャグなのかも知れません。初恋 / 監督:三池崇史まず、テレビ画面じゃ暗くて細部...
女性の友情物語をバディムービーっぽく やろうとしていることが明快で気持ちいい映画ですね。それに面白いです。監督はオリヴィア・ワイルドさん、俳優としてのキャリアは16年くらいで監督としてはこの映画が初の長編とのことです。脚本に4人の女性がクレジットされており、特にケイティ・シルバーマンさんとは信頼関係が強く、すでに次作も共同で制作されることが決まっているようです。原...
ロメールっぽさを使ったアイラ・サックス監督の世界かも 映画のつくりがロメールっぽいなあと思いながら見ていましたので、帰り道、さっそく映画のタイトルとロメールでググりましたらやっぱりかなりヒットします。それにアイラ・サックス監督本人が「ロメールを研究した」と語ったかのような記述もあります。ポルトガル、夏の終わり / 監督:アイラ・サックスインタビューがな...
ブラジルからハートウォーミングな物語 男が、はっきりと人生の残り時間を自覚し始めたとき夢見るファンタジーです。ぶあいそうな手紙 / 監督:アナ・ルイーザ・アゼヴェード実はこの映画、見てからもう2週間くらいは経っています。最近は見る本数も増えてきていますので見たらその日か次の日にはなにか書き残すようにしていますのでこういうケースは珍しいです。映画とし...
バングラディッシュの天才チェス少年、パリに渡る 貧しい家庭の少年がチェスで成功する感動物語なんだろう程度の認識で見に行きましたら、確かにそれはそうだったんですが、映画のつくりになにかしっくりこないものを感じた映画でした。ファヒム パリが見た奇跡 / 監督:ピエール=フランソワ・マンタン=ラバル何がしっくりこないかと言いますと、まず感動物語にしようとして...
カンボジアの14歳の少年、奴隷船から生還する 配給がイオンエンターテイメントですと郊外にしかないイオンシネマまで足を運ばなくてはいけないという残念なことになります。しかし、これはいい映画でよかったです。ミニシアターでやれば(東京だけではなく)もう少し注目度も上がったのではないかと思います。ボヤンシー 眼差しの向こうに / 監督:ロッド・ラスジェンカ...
豊田利晃監督、変われ!と叫ぶ 変われ!!破壊の日 / 監督:豊田利晃と言われて、変わらなくっちゃと思うか、変えなくっちゃと思うか、あるいは はあ? と思うか、はたまたお前こそ変われと思うか、人それぞれという映画でしょうか。クラウドファンディングで制作資金が集められた映画らしく、そのこと自体も知らず今いろいろ読んでみたところでは、東京オリンピックの開...
キム・ボラ監督の記憶の映画のように見える… 全編、幻を見ているような映画です。あるいは、思春期、この映画のウニは14歳ですが(私には)すでに遠い過去になってしまったあの頃、世界はこう見えていたのかもしれません。はちどり / 監督:キム・ボラ…とは思うのですが、映画としては非常にわかりにくいです。もう少し正確に言いますと、わかりにくいシーンが何シー...
東ドイツからの脱出劇、緊迫感のつくりがやや単調か 冷戦時代の東ドイツから脱出する映画というのは結構あるのではという印象でしたが、思い返したりググったりしてみても意外にもこの映画のようにズバリ脱出の行為自体を主題にしたものはあまりないようです。最近の映画で思い出すのは「僕たちは希望という名の列車に乗った」ですが、確かに最後は高校生たちが集団で西ドイツに亡命はしますが...
行動せよと促すサイコマジックはコロナ後の世界に必要なことかも… サイコセラピー(心理療法)と言いますと、映画でもそうしたシーンを見ることがありますが、治療を受ける患者が寝椅子に横たわり、セラピストからの問いかけに答えていくスタイルが思い浮かびます。この映画のなかでも言われていますが、その療法は言葉のやり取りだけでセラピストと患者が接触するということはないようです。...
アルモドバル監督の自伝的フィクションの物語 アルモドバル監督自身が、この映画は三部作の第三章にあたると語っているようです。ただしあくまでも「意図したことではない」とのただし書きつきです。意図せずケリがついちゃったということはとうとうアルモドバル監督も自分の映画を振り返る年齢になってしまったのかなあと思いましたら、いやいやまだまだ撮るぞと終わっていました。ペ...
ナタリー・ポートマンがマドンナ、レディ・ガガになる 面白い映画でした。ただ、映画そのものが面白いということではなく、この映画、何をやろうとしているんだろう? と考えながら見ていましたら、最後まで集中してみられたという意味です(笑)。ポップスター / 監督:ブラッディ・コーベットとにかく、つくりが最初から最後まであざとく感じられるんですが、それがひょっ...
(DVD)不幸物語オンパレードをDVDで見るのはつらい 「新聞記者」を見たときに、プロデューサーの河村光庸さんが映画化にあたってこの人ならと監督をオファーをしたのが藤井道人さんであり、その藤井さんは「政治も勉強したことがないし、自分で新聞も取ったことがなかった(HUFFPOST)」などと最初は断ったという記事を読み、どんな映画を撮る人なんだろうと興味を持って見た映画...
見るべきはクリステン・スチュワートのみ(かな?) おお、J.T.リロイが映画化(ドラマ化)されたんだ! という感じです。というのは、2年半くらい前に「作家、本当のJ.T.リロイ」という映画(ドキュメンタリー)を見て、「映画としては面白くありません。わたしなら劇映画にしますね。それだけ内容は面白いです。」とまとめたことのある題材です。それに、なんといっても J.T....
(DVD)コメディの味わいを出すべきかと… まずは、すごいタイトルだなあと目がいき、大森立嗣監督だからと見た映画です。宮川サトシさんの自伝的漫画が原作なんですね。母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。(新装版)作者:宮川 サトシ発売日: 2018/12/26メディア: 単行本(ソフトカバー) 母を亡くした時、僕は遺骨を食べ...
シャルロット・ゲンズブールが浮き、バランス悪さだけが目立つ シャルロット・ゲンズブール、憑依型俳優に目覚めたか!?というような映画で、ゲンズブールさんが悪魔に取り憑かれたような母親を演じています。ロマン・ガリーというフランスの小説家の半生を描いており、その母親がゲンズブールさんです。母との約束、250通の手紙 / 監督:エリック・バルビエ原題は「La...