女性三人の愛憎劇とみるのが妥当かな… これ、基本的な話は史実なんですね。ウィキペディアを読みますと1705年から1710年くらいの話で、日本では元禄、徳川五代将軍綱吉の時代です。アン女王がサラと幼馴染であることや、17回も妊娠し、流産、死産、早世でひとりも成人しなかったことも事実のようですし、アビゲイルもサラの従妹として実在の人物です。女王陛下のお気に入り...
これは、DV加害者、DV被害者の心理を描こうとした映画ではない 2017年ヴェネチア映画祭の銀獅子最優秀監督賞を受賞しています。グザヴィエ・ルグラン監督は現在39歳のフランス人、この映画が初の長編とのことです。ジュリアン / 監督:グザビエ・ルグランなかなかテーマや監督の立ち位置がわかりにく映画です。もちろんDVを原因とする離婚調停中の男女、そしてそ...
実話ベースと知らずに見るとちとつらい、知って見ても… 何も知らずに、愛する人の前に幽霊が現れる、いわゆるゴースト・ラブストーリーものだろうと見に行きましたら、確かにラブストーリー要素はあったのですが、オープニング、いきなり不吉な印象のシーンで、なんだこれ!? のぞわぞわ感、なんとも落ち着かない気持ちのまましばらく過ごすことになってしまいました。これは、ざっとでも情...
そもそも監督が「銃」や「西川」に興味を持っていないのでは? 原作を読んでいませんが、映画を見ての想像で言えば、人は常に今(の自分)から抜け出したいとの欲望を持つものであり、ある時、その契機となりうる何ものか(銃)に出会えば、割と簡単にその境界を越えてしまうという物語なんだろうと思います。そうだとすれば、この映画は、そのテーマは語られてはいますが、映画として描かれて...
視点を SNS 側に持っていけばよかったのではないかと思うけど… タイトルにそそられて見た映画です。原作が奥田英朗さんの小説とのことですが、名前を知っている程度で読んだことはありません。「ふたりの青春、あと3日ー」こういうヒリヒリしそうな青春ものが好きなもんですから、いくらヤクザの鉄砲玉が題材とはいえ、今どきの何かあるだろうと思ったのですが、残念…。公式サ...
過剰さがなくシンプル、蒔田彩珠がよく行間(画間)を埋めていた 夏休みということもあるのか、なかなか見たいと思える映画がありません。ということで日本の青春もの、原作があり、押見修造さんという方のコミックだそうです。監督は、「本作で満を持しての長編商業映画デビューを果たす気鋭」と紹介されている湯浅弘章さん。若いのかと思ってウィキペディアを見てみれば、1978年生まれと...
作られた感が強い割に中途半端に感じられるドキュメンタリー ドキュメンタリーでこういう画が撮れるってのはすごいですね。被写体がカメラを意識してしないですし、被写体が自分をさらけ出しているように見えます。つまり、これをドラマと言われれば、演技にリアリティがあると評価されるということです。公式サイト / 監督:アンナ・ザメツカワルシャワ郊外の街セロツク(とのこ...
朝倉あきさんの映画ですね…。浴衣姿にドキッとします。 いい映画ですね。特に何かが起きるわけでもなく、ひとりの女性の心の揺れのようなものがゆったりと流れていきます。ただ何も起きないと言っても、いわゆる事件などのドラマチックな出来事が起きないだけで、その女性、滝本初海(朝倉あき)の心の中ではいろいろなことが起きているでしょう。映画はその起きていることを、これとは...
8割方セックスシーンのコメディのような映画 マジなのか、ふざけているのか、よくわからない映画です(笑)。ほぼ全編とは言わないまでも8割方はセックスシーン、それも内容はほぼ AVネタですし、映像的にも、XXXXやXXXなんて AVでしかやっちゃいけないことでしょう(笑)。ただ、笑えるんですよ。多分、皆、この馬鹿げた映画をマジで作っているからだと思います。(注)...
大人向けのアイロニカルな舞台劇のような映画 「ローマに消えた男」しかみていませんが、 ロベルト・アンドー監督の映画はあまりマジで見ちゃいけないことを再確認しました(笑)。つくりは大層なんですが、どこかふざけたところがあり、真剣に見ていると陰でくすくす笑われているのじゃないかという感じがする映画ということです。だって、この映画、G8財務相会議の面々が、マジで自分た...
モードとエベレット、4メートル四方の幸せ 「シェイプ・オブ・ウォーター」は作品賞や監督賞を受賞しましたが、サリー・ホーキンスさんの主演女優賞は残念でしたね。でも、レビューにも書きましたが、サリー・ホーキンスさんあっての映画ですから、当然ながら、それも含まれた評価と考えるべきでしょう。で、たまたまなんでしょうが、サリー・ホーキンスさん主演の映画がもう一本上映中でした...
偏見や差別をはねのけることができるのは、やはり「愛」 この映画、アカデミー賞の13部門でノミネートされているそうですが、主演女優賞のサリー・ホーキンスさんは是非とも受賞してほしいですね。おそらく、彼女でなければ映画そのものがこの出来にはならなかったでしょう。もうひとり目立つのが悪役をやっているマイケル・シャノンさん、残念ながらノミネートされていませんが、こちらも賞...
難民、テロ、天使、神、SF、ファンタジー、内容は豊富だけれど… 「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)」のコーネル・ムンドルッツォ監督の日本公開第2作です。残念ながら前作も見ていませんし、監督のことも何も知らず、予告編で面白いかもと思い見てみました。ハンガリーの監督なんですね。ハンガリーといいますとタル・ベーラ監督くらいしか思い浮かびませんが、自分のサ...
かなりシュールなフランス映画、イザベル・ユペールの娘ロリータ・シャマ主演 エリーズ・ジラール監督って誰だっけとググっていましたら、「ベルヴィル・トーキョー」というなんとなく記憶のある映画が前作とのことで、記憶を辿ってみましたら「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ」という企画で上映されていた映画でした。ただ、残念ながら、他の2作「グッバイ・ファーストラブ」と「ス...
とてもバランスの良い楽しめる映画、女性観も今に通じる 映画を見る楽しみって、ジャンルもいろいろありますし、人それぞれですが、こういう映画は多くの人から好まれるんじゃないでしょうか。まず、構成がしっかりしていますし、人物配置もバランスがよく、ほどほどの感動、涙、笑いがあり、とにかく楽しめます。原作ありとなっていますね。リサ・エヴァンス著『Their Finest ...
他人事とは言っていられない日本なのに「君の名は。」でいいのか? 普段どこの国の映画とさほど意識しているわけではありませんが、あらためて考えてみれば、確かに香港映画を見る機会は減りましたね。ここ1年くらいを思い返しても思い当たりません。製作本数も減っているのだろうと調べてみましたら、2015年で59本というのがあります。ウォン・カーウァイ監督の時代(というのは変?...
私は死にますと言われた周りの人間は大変だという話? 最近では、邦題にいかにもベタな「しあわせ」とか「人生」とかが入っているのに、原題はまったくニュアンスが違う映画はきっといい映画に違いないと分かるようになってきました(笑)。この映画の原題は「Truman」犬の名前です。当たりと言えば当たりの、何とも微妙ではあるのですが、まず日本では撮れないだろうと思える大人の味...
実在したフランスの道化コンビ「フティット&ショコラ」の友情、そして人種差別 「ショコラ」と聞きますと、私はジュリエット・ビノシュとジョニー・デップの映画を思い出してしまいます。映画のタイトル付けもなかなか難しいものです。とは言っても「君がいて、僕がいる」はいただけません(笑)。こちらの「ショコラ」は、公式サイトによれば、20世紀初頭フランスで活躍したラファエル・パ...
3つの時代の3組の恋人たちがひとつの物語を紡ぎ出す。「争い」「迷い」そして「許し」 1990年に始まり、その後10年にわたったユーゴスラビア紛争は、これまで幾度も映画になっていますし、多分これからも様々な視点からの映画が作られていくことでしょう。スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、コソボ、マケドニア。それぞれその下に「紛争」がつくわけですが、遠く...
切実な愛の物語を期待していくと乗り遅れますよ。アルモドバル節に身を委ねればOK。 受賞はありませんでしたが、今年のカンヌのコンペ出品作品です。今年のパルムドールは、ケン・ローチ監督の「わたしは、ダニエル・ブレイク」、来年の3月公開です。グランプリが、グザヴィエ・ドラン監督の「Juste la fin du monde」、こちらも来年の2月公開らしく、邦題は「たかが...