絵画を見るようなフランス農村風景が美しい 思っていた以上にいい映画でした。グザヴィエ・ボーヴォワ監督本人も語っているように、まったく戦場を描かない戦争映画という感じです。第一次世界大戦時のフランス、農業を営む一家の物語です。ふたりの息子と娘の夫、成人男性は皆戦場です。母と娘、そしてその一家に雇われた女、その三人の女性たちの物語です。田園の守り人たち / 監...
前田敦子さんのドキュメンタリーとしてみればよくできた映画 前田敦子さんを追ったドキュメンタリーのような映画です。それが結構見られる映画になっているわけですから、黒沢清監督が、前田敦子さん自身に映画一本持たせられるだけのものがあると考えた結果の映画だとは思います。旅のおわり世界のはじまり / 監督:黒沢清ですので、もし、そもそもの企画の意図が、日本とウ...
ペネロペ・クルス&ハビエル・バルデムは果たしてこれを望んだのか? これまで「誰もそれを知らなかった」ことを撮ってきたアスガー・ファルハディ監督が、「誰もがそれを知っている」ことを、はたしてこれまで通りの重層的な人間模様として描けるかに挑戦した映画です。誰もがそれを知っている / 監督:アスガー・ファルハディ…かどうかはわかりませんが、残念ながら、人間模...
鉄板の青春音楽映画だが、山田杏奈、佐野勇斗、森永悠希の演技が魅力 青春 × 音楽(バンド)映画はやっぱり最強ですね(笑)。それにこの映画、ベタなところのおさめ方が結構うまくいっており、最後まで嫌味なく見られます。こういう映画って、ある程度ベタじゃないと成立しませんし、かといって行き過ぎると引かれてしまいますし、結構バランスは難しいと思います。小さな恋の...
ガス・ヴァン・サント監督らしいスピリチュアルな映画 ジョン・キャラハンさん、下の引用画像にもカウボーイのイラストがありますが、自動車事故で胸から下が麻痺し車いす生活を送る(っていた)風刺漫画家です。2010年に59歳で亡くなっています。その半生、自動車事故にあってから立ち直り、風刺漫画家として世に出るまでを描いています。21歳で事故にあい、32歳の時にポートランド...
とんでもないラブストーリーだった! スクリーンは4:3のスタンダードサイズ、ほとんどすべての画がフィクス、それもかなりのこだわりの構図でこれ以外の切り取りは許さないくらいの意志が感じられます。タイトル(原題:First Reformed)にもなっているファースト・リフォームド協会のトラー牧師(イーサン・ホーク)の内省的な映画ですので、その表現手法としてはぴったりで...
高良くん、力入りすぎ、多部未華子さん、着物が似合ってます。 「〝巨匠〟中島貞夫監督 20年ぶりの最新作 59年の映画人生を次世代に受け継いだ、日本映画史に残る新しい「ちゃんばら映画」が誕生!」なんて宣伝コピーですのでかなり期待して見に行ったんですけど…。多十郎殉愛記 / 監督:中島貞夫といっても、実は中島貞夫監督の映画、見たことないかもしれません。見て...
ロマの少年ピオくん、この映画出演を劣悪環境脱出の契機にして欲しい ずーと気になっていたんですが、見るのが最終日(先週金曜日)になってしまいました。それにしても地味なタイトルです。昨年のイタリア映画祭2018で上映されています。 配給:武蔵野エンタテインメントとなっていますから、新宿武蔵野館が買い付けたということなんでしょう。チャンブラにて / 監督:ジョナス...
ベネディクト・エルリングソン監督の「地球温暖化」への強烈なメッセージ 「たちあがる女」なんてもんじゃないです。「Woman at War」まさしく「たたかう女」です!ただ直球勝負ではなく硬軟織り交ぜて作られており、とてもバランスがよく、面白いですし、考えさせられますし、でもどうしたらいいんだろうと立ちすくむしかない今の私たちを的確に表現しています。立ち上が...
面白い物語なのに焦点が定まらず…。 映像的にはロマンチシズムの香りがします。ふと「レ・ミゼラブル」が思い浮かぶようなクラシカルでロマンチックなフランスっぽい映画です。ただ、物語自体は第一次世界大戦というヨーロッパを疲弊させた戦争後の話ですので、そんなに明るい話ではありません。天国でまた会おう / 監督:アルベール・デュポンテル私は読んでいませんが、同名...
なしのただシャーロット・ランプリングを見続ける映画 一昨年、2017年のヴェネツィア映画祭でシャーロット・ランプリングさんが主演女優賞を受賞しています。ともしび / 監督:アンドレア・パラオロシャーロット・ランプリングさんの肖像画を90分間見続けるような映画です。映画は物語を語ることを拒否しており、ただひたすらアンナ(シャーロット・ランプリング)を...
グレン・クローズさん、オスカー決定でしょう! 主演のグレン・クローズさんがアカデミー主演女優賞にノミネートされているとのこと、間違いなく受賞でしょう。ガガさんも良かったのですが、あれはガガさん本人が良かったということですが、こちらは俳優として素晴らしいです!天才作家の妻 40年の真実 / 監督:ビョルン・ルンゲ俳優の演技が見どころですので、この映画は見...
28歳が撮っても、やっぱり40代のノスタルジー さすがにこのタイトルですので何も知らずに見に行くことはありませんが(笑)、映画.com あたりの「ヘルタースケルター、リバーズ・エッジ…漫画家…SNSが普及した現代の東京を舞台…」をちらりと見ただけでしたので、何だか妙に古臭い話だなあとの違和感で、見ている間ずっと気になっていたのですが、どういうことかわかりました。...
前半ぞわぞわ、後半もぞもぞ。コメディじゃなかったのね。 DVD鑑賞です。公開時、タイトルが目につき、見ようかどうしようかと思いつつ、どうせコメディの苦手なタイプだろうと思い込んでスルーした映画、全然コメディじゃなく、むちゃくちゃシリアスじゃないですか!?公式サイト / 監督:成島出前半は面白く見られます。特に部長役の吉田鋼太郎さん、パワハラを通り越した...
サイキックもの?父娘もの?青春もの?とはっきりせず…残念。 前作の「母の残像」では良い方に出ていたあまり説明しないという手法が、この映画では悪い方へ出てしまったようです。公式サイト / 監督:ヨアキム・トリアーもともと私自身が、こうしたサイキックホラー系の映画に興味が持てないこともあるのですが、それにしても、映画としての軸がしっかりしていませんし、軸になる...
見ないとわからない、見てもわからない、聴くしかない。 タイトルの「黙ってピアノを弾いてくれ」や、さわりの紹介コピー「挑発的な言動、強烈すぎるキャラクター、そして唯一無二の音楽性で知られるピアニスト・作曲家、チリー・ゴンザレス」だけでも無茶苦茶そそられます。公式サイト / 監督:フィリップ・ジェディックビョーク、ダフト・パンク、ジェーン・バーキンらが心酔す...
監督は娘のエステール・ガレルが撮りたかったんじゃなかろうか…。 こんな感情をあらわにする人間、特に女性を撮る監督でしたっけ? というのが、見始めてすぐ思ったこと。時々説明的に入る感傷的なピアノ曲やナレーションにもちょっと違和感…。でもまあ見終えてみれば、そこに、その感情の発露である「熱さ」があるわけでもないので、やっぱりいつものフィリップ・ガレル監督でした。...
意地を張れば角が立つ、箪笥をあければ愛がある(?) シルヴィア・チャンと聞いて思い浮かぶのは「山河ノスタルジア」のオーストラリアシーンの中国語教師くらいで、出演映画の一覧をみれば、ああ見たかもしれないと思うものもありますが、私にはあまり印象強くない俳優さんです。この「妻の愛、娘の時」は監督、主演ということです。公式サイト / 監督:シルヴィア・チャンそれ...
はたして18キロ増量は必要だったか? シャーリーズ・セロンが役作りのために18キロ(諸説あり)増量したという映画です。同じように13キロ増量して撮った2003年の「モンスター」は、なぜか劇場公開時には見逃してしまっていますので二の舞は踏めずと早速見に行きました。タリーと私の秘密の時間 / 監督:ジェイソン・ライトマン完全にシャーリーズ・セロンひとりの映...
男は追想し、女は回想する、という男の妄想 なかなか掴みづらい映画で、「追想」などという邦題やオチのようにくっついている2007年のシーンを主題として見るならば、老年の男が若かりし頃の失敗をまさしく追想する映画ということなんですが、ただ、映画の8割方を占める1962年のシーンから見えてくるのは、やや茶化し気味にも見える映画のつくりとは相反する、かなりシリアスな問題なの...