監督は娘のエステール・ガレルが撮りたかったんじゃなかろうか…。 こんな感情をあらわにする人間、特に女性を撮る監督でしたっけ? というのが、見始めてすぐ思ったこと。時々説明的に入る感傷的なピアノ曲やナレーションにもちょっと違和感…。でもまあ見終えてみれば、そこに、その感情の発露である「熱さ」があるわけでもないので、やっぱりいつものフィリップ・ガレル監督でした。...
意地を張れば角が立つ、箪笥をあければ愛がある(?) シルヴィア・チャンと聞いて思い浮かぶのは「山河ノスタルジア」のオーストラリアシーンの中国語教師くらいで、出演映画の一覧をみれば、ああ見たかもしれないと思うものもありますが、私にはあまり印象強くない俳優さんです。この「妻の愛、娘の時」は監督、主演ということです。公式サイト / 監督:シルヴィア・チャンそれ...
はたして18キロ増量は必要だったか? シャーリーズ・セロンが役作りのために18キロ(諸説あり)増量したという映画です。同じように13キロ増量して撮った2003年の「モンスター」は、なぜか劇場公開時には見逃してしまっていますので二の舞は踏めずと早速見に行きました。タリーと私の秘密の時間 / 監督:ジェイソン・ライトマン完全にシャーリーズ・セロンひとりの映...
男は追想し、女は回想する、という男の妄想 なかなか掴みづらい映画で、「追想」などという邦題やオチのようにくっついている2007年のシーンを主題として見るならば、老年の男が若かりし頃の失敗をまさしく追想する映画ということなんですが、ただ、映画の8割方を占める1962年のシーンから見えてくるのは、やや茶化し気味にも見える映画のつくりとは相反する、かなりシリアスな問題なの...
過去と現在、友情がなければ友罪は生まれない 意識しているわけではありませんが、このところなぜか瀬々敬久監督の映画を続けて見ています。「最低。」「8年越しの花嫁 奇跡の実話」、そしてこの「友罪」です。それ以前には「ヘヴンズ ストーリー」を見ていますが、代表作と言われている「64」を見ていませんので監督についてどうこう語るのもおこがましいのですが、何となくどういう映画...
男性との関係を軸にした伝記映画としかいいようがない。 ダリダ? ダリダ? ダリダって、だりだ?って、ことはありません(笑)。ちゃんと知っています。ただ、代表曲は何? ヒット曲は? と考えてもすぐには浮かんできません。そんな人にはとてもいい映画です。音楽がいっぱい使われていますし、ああそういう曲だったのかと、シーンに合わせてうまい具合に音楽が使われています。監...
アレクサンダー・ペイン監督、SF的寓話物語を撮ってはみたが… なんとも奇妙な映画ですね。作っているうちに、何やってんだかわかんなくなってしまったような…(笑)。 監督は、アレクサンダー・ペインさんで、「アバウト・シュミット」「サイドウェイ」「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」と、自分でも意外と見ていることにびっくりです。これまでの印象としては、ベースはヒューマン...
「ローサは密告された」を見た際に、ブリランテ・メンドーサ監督がイザベル・ユペールさんで撮った映画があることを知り、2009年のカンヌで監督賞を受賞した「キナタイ -マニラ・アンダーグラウンド-」とともに借りてみました。この「囚われ人」の元となっているのは、イスラム・ゲリラ組織アブ・サヤフによって、2001年5月にパラワン島のリゾートホテルから20人の観光客が身代金目的で誘拐された事件です。...
初音映莉子さんの映画です。ちょっとだけ高良健吾くんも。 安藤尋監督って誰だっけ? 安藤? 安藤サクラの姉はなんて言ったっけ?と、そもそも名前の読み方もわからず(スマソ)、逆にそれで興味を持って調べているうちに物語が面白そうということで見ることになりました。「あんどうひろし」さんと読むそうです。原作の角田光代さん、結構映画化の声を聞きますがさほど多い方ではなく最...
白人男性を類型化して描いているのが印象的 差別と分断の時代、21世紀は後にこう呼ばれることになるかも知れません。日々のニュースには、排除、排斥、ヘイト、テロなどの言葉がやたら目立つようになっています。考えてみれば、映画もそうしたテーマのものが多くなっているようにも思います。もちろん描き方は様々で、さすがに差別を肯定するものは見かけませんが、差別の現実を描くもの、...
名誉ある撤退は敗北にあらずとEU離脱のイギリスを鼓舞する 「ダークナイト」をDVDで見たような気がする程度にしかクリストファー・ノーラン監督を知りません。見たとしてもおそらくヒース・レジャーが急死する直前の出演作という興味だったように思います。で、何やら漏れ聞こえてくるところでは、この「ダンケルク」はかなり評価が高く、戦争映画としてもやや異質との記事もあり、ヒーロ...
セルゲイ本人には映画では伝わってこない何かがありそう セルゲイ・ポルーニンが突然ロイヤルバレエ団を辞めると言い出したというニュースは記憶しています。それ以前からあれやこれや問題児と言われていたとも報じられていましたので、その時は、ふ~ん程度にしか関心はなかったのですが、下の引用の写真のダンスが予告編で流れており、へー、すごいね、もったいないなあと思ったわけではあり...
大人たちの身勝手さが際立つ映画だが、子どもたちが同じ大人にならない保証のない世界 公式サイトから引用しますと、この映画は、「世界各国の映画祭で上映され、本国ルーマニアではアカデミー賞・最優秀ドキュメンタリー映画賞を受賞。まるでドラマのよう、けれど本作は現実の世界を映したドキュメンタリーだ。」ということで、これ、本当にドキュメンタリー? ドラマじゃないの? と思う...
iPhoneで撮ろうと何で撮ろうと映画は映画 全編 iPhone5sで撮られているそうです。MtF トランスジェンダーのセックス・ワーカー二人とアルメニア移民のタクシードライバーの三人のクリスマスイブの一日を追いかけています。タクシードライバーのラズミックが、通りで拾ったシスジェンダーの娼婦に、お前のようなやつがくるところじゃないというようなことを言っていました...
青春の味は甘く切なく悲しくて、お茶目な大人たちは隠し味。 ヤスミン・アフマド監督、映画祭では頻繁に上映される監督ですが、日本で劇場公開されるのはこの映画が初めてではないでしょうか。監督本人は2009年の7月に亡くなっており、この映画はその年の3月にマレーシアで公開され、結果として遺作となってしまった作品です。2003年の長編デビュー以来、6年間で6本の作品を残し...
グザヴィエ・ドラン、会話劇で新境地 グザヴィエ・ドラン監督、27歳にしてすでに6作目、どの作品も自国だけではなく世界に配給され高評価、どんだけ才能豊かなんだ!という若き天才映画監督です。この映画は俳優もすごいです。ギャスパー・ウリエル、マリオン・コティヤール、レア・セドゥー、バンサン・カッセル、そしてナタリー・バイ、そうそうたるメンバーということなんですが、さらに...
遠藤周作「沈黙」をマーティン・スコセッシ監督が映画化! 遠藤周作著『沈黙』中学生の頃に読み、涙が止まらなかったことを記憶しています。「踏み絵」のシーンは、もちろん映像的なものを見たわけではありませんが、不思議とイメージとして記憶しています。それだけ強い衝撃を受けたのではないかと思います。ただ、それ以外の細かいところはほとんど記憶していませんので、原作を読んで...
別れの曲の歌付きとピアノ演奏、どちらもかなりレベルの高い生歌、生演奏です。 カナダ、ケベック州が舞台の映画です。モントリオールが州都かと思っていましたら、ケベック市という都市があるようです。カナダには英語圏とフランス語圏があるのは知っていたのですが、ケベック州は公用語がフランス語のみらしいです。この映画もフランス語です。修道院が経営している寄宿学校が舞台ですの...
自己中の男が自ら何も行動しないでいたら、うまくいったよ、ってか? 面白い映画です。 ヴィム・ヴェンダース監督、7年ぶりの劇映画です。7年ということは「パレルモ・シューティング」以来ということになり、その間、「Pina」や「もしも建物が話せたら」のドキュメンタリーを撮っています。この映画、公式サイトには「今作は 3D映画として撮影され、日本での上映には 2Dと 3D...
俳優がすごい!タハール・ラヒム、オリビエ・グルメ、マチュー・アマルリック、そしてコンスタンス・ルソー! ダゲレオタイプ?知らない言葉だけに、何やらあやしいげな印象を受けます。というのは私だけ(笑)?ただ、全然「あやしい」言葉ではなく、「銀板写真」のことでした。 フランス語タイトルは「La femme de la plaque argentique」で「銀板写真の...