ドント・ウォーリー・ダーリン

2,30分でネタは知れ、残り100分を耐えるつらさ

監督は「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」のオリビア・ワイルド監督、主演は「ミッドサマー」のフローレンス・ピューさんという今注目(らしい)の組み合わせの映画です。

ドント・ウォーリー・ダーリン / 監督:オリビア・ワイルド

つらい……

2、30分も見ればネタは知れます。残り100分を耐える映画です。

1950年代風のアメリカが再現されています。1950年代のアメリカは、政治的にはともかく、国内の社会文化的には黄金期とも言われた繁栄の時代です。郊外の一戸建て住宅に、車、テレビ、家電が身近なものになったという、いわゆるアメリカンドリームの時代です。

落ちていく飛行機はとりあえず無視で(笑)。

アリス(フローレンス・ピュー)とジャック(ハリー・スタイルズ)の夫婦もその時代の典型的(だと思う)な夫婦、アリスは専業主婦、家を守り、料理をして夫ジャックの帰りを待つというパターンです。

ただ、ちょっと違うのは、アリスが時々奇妙な夢とも幻ともつかない状態に陥ります。また、二人の暮らすこの空間が閉ざされた場所であり、町の外れには立入禁止区域があり、そこには本部と呼ばれる場所があります。

というシーンが1時間ぐらい続きますので、映画が何をやろうとしているかは誰にだってわかってきます。オチを待つだけの映画はつらいですよ(涙)。

幻覚か? バーチャルか?

町にはフランク(クリス・パイン)というリーダーのような男がいます。かなりしょぼいのですが、この男が町を運営しているようです。後半には、自分の生活に疑問を持ち始めたアリスがフランクと対決するシーンがあるのですが、やり取りがしょぼすぎて映画が深まりません。

結局、アリスはフランクサイドに拘束され、強制的に手術のような(というかよくわかりません)ことをされ、その過程で過去(現実)がよみがえります。

具体的にははっきりしませんが、アリスは医師で、ジャックは無職で生活はアリスに頼っているということのようです。別に話し合って主夫をすればいいとは思いますが、そんな時代ではありませんので、ジャックは男のプライドを守るべくなんとかしようとし、ネットでフランクの、なんだかわからない宗教的なものに心酔し、二人でバーチャル空間に生きることを選択し、アリスが寝ているすきに VR のゴーグルのもっと小さな洒落たものをつけて二人でフランクワールドに入ったということです。

で、その結末がどうなったのかはよくわかりません。アリスは一旦フランクワールドの戻りますが、フランクを殺したために現実世界には戻れなくなったということなんだろうと思います。

早い話、マジにどうこう言うような映画ではありません。

批評性?

アメリカ的価値観への批評性、と言っても古すぎるでしょう。

残念な映画でした。