ドランクヌードル

詩的に移ろう幻想的なクィア映画

「詩的な映像で紡いだ全4章の物語(映画.com)」程度の事前情報で観た映画です。たしかに詩的なクィア映画でした。

ドランクヌードル / 監督:ルシオ・カストロ

ネタバレあらすじ

ルシオ・カストロ監督はファッションデザイナーでもあり、2011年に自身のブランドを立ち上げているようです。ただウェブサイトはありませんし、コレクションの発表も2016年あたりで止まっています。映画の方に興味が向いちゃたんでしょうか、その頃から短編を何本か発表した後、2019年に初の長編「Fin de siglo(End of the Century)」、そして「After This Death」と続き、この「ドランクヌードル」が長編3作目です。

どことなくセンスのよさは感じられるのですが、セックスシーンが多いんですよね。それも恋愛感情を描かないままのセックスシーンですのでそこに意図があるのかなあなんて思いながら観ていました。

人が人を求めることってイコールセックスなのかなあとも思う映画です。これは映画であり現実ではありませんので、ゲイのセックス価値観がこういうものかどうかはわかりませんが、この映画では、まずはセックス、その後に会話にしろ、会食にしろ、コミュニケーションがあるみたいな価値観の映画です。

セックスシーンは多いのですが、そこに感情が絡まない分(一部絡むシーンもあるが…)、映画全体としてはふわふわとした拠り所なさが感じられます。登場人物にしろ、映画の各シーンにしろ、そこから立ち上がってくる感情であったり意識のようなものはほとんどなく、まさしく観る者が感じるままの映画です。

サル・サランドラさんという刺繍アーティストの作品を軸に4篇の物語が時間軸とは逆順に描かれていきます。

以下、記憶している流れを書いているだけです。

アドナンとヤリエル

美大生のアドナン(レイス・カリフェ)は、夏の休暇中、ニューヨークの画廊でアルバイトをしながら叔父の留守宅で過ごします。画廊では昨年の夏に偶然出会った刺繍アーティストのサルの展覧会をやっています。

夜、アドナンはフードデリバリーでドランクヌードル(パッキーマオ)を頼みます。ヤリエル(ジョエル・アイザック)が自転車で配達に来ます。後日、アドナンが公園のベンチに座っていますとヤリエリが道路を走っていきます。すぐにUターンして公園の中に入ってきます。アドナンの隣りに座ります。ヤリエリが立ち上がり小便をしにいきます。アドナンも後を追い、隣に立ち、お互いに手コキし、その後どちらかが(忘れた…)オーラルセックスします。

その後、アドナンがヤリエルの自転車のハンドルカバーをいいねと言い、匂いを嗅いてみろ、かび臭いなどと会話があり、アドナンは自転車で公園内をぐるぐると回ります。

後日、ヤリエルが画廊にやってきます。サルの作品を見ていきます。

ヤリエルがデリバリー仲間と詩の朗読会(のようだった…)をやっています。画廊で見たサルの作品の話をしています。そしてみんなでアドナンを訪ねます。男たちの乱交の静止画が数カット表示されます。

サル・サランドラさんのサイトをご覧ください。

アドナンとサル

1年前の夏(後でわかることだが…)、アドナンは森の中を自転車で走っています。自転車がパンクします。高齢の男性サル(エズリエル・コーネル)から修理しようかと声をかけられます。修理が終わり、向かい合った二人、ディープキスです。サルは椅子に座り何がして欲しいと言います。サルの前に立ったアドナンはパンツを下ろします。

二人が森の中のリクライニングチェアに横になり、話をします。アドナンは幼い頃に昼寝をしているおじさんによくキスをしていたと語ります。サルは日が暮れたらとっておきのものを見せようと言います。

夜、森の中にサテュロスが現れます。サルはこちらからは触れてはいけない、向こうから触れてくるだけだと言います。アドナンがサテュロスに近づきますと、サテュロスは縦笛をフェラチオするように吹き、赤い女性用の靴を自分の股間に持っていきます。

アドナンとイギー

サルとの前パートでアドナンが友人と別荘に来ているといったいたその別荘にアドナンとイギー(マシュー・リッシュ)がやってきます。

このパートでは、アドナンがもう6ヶ月もセックスをしていないというように二人の間に恋愛末期のような思いのすれ違いのようなものが感じられます。アドナンがうたた寝をしている間にイギーは自慰をして(ティッシュがあった…)寝てしまっているシーンがあります。咎めるアドナンにイギーがややそっけなく答えていましたが台詞を忘れました。

二人は滝で泳いだりして休暇を楽しんでいるように見えます。夜、イギーが背中を見せ、アドナンがその背中にくっついて寝ています。アドナンが起きていき、経緯は忘れましたがクローゼットを開けます。イギーがいます。アドナンはベッドに戻ります。イギーが背中を見せて寝ています。アドナンは寝室のドアが開かないようにドアの前に大きな物をおいてクローゼットに向かいます。イギーがいます。アドナンはイギーを抱擁しキスをします。イギーもそれに応え、後ろ向きなります。挿入をともなうセックスがあります。

アドナン Cruising spot へ

ニューヨークの画廊です。サルの作品展がおこなわれています。夜、多くの人で賑わっています。このパートは道路の反対側からのカットだけで撮られていたと思います。

アドナンとイギーがいます。二人が外へ出てきます。そして軽く抱擁し、イギーは去っていきます。

このパートは最初のパートの後であり、二人の別れということかも知れません。

アドナンが歩いています。ハッテン場と字幕がありましたが、英語では cruising spot と言うらしく、アドナンが新しいパートナーを求めているということかと思います。

李白の詩の朗読がかぶっていたように思います。引用されていた李白の詩は『月下独酌(DRINKING ALONE WITH THE MOON)』だったでしょうか。

感想:欲望は実に儚いもの…

というクィア映画でした。

アドナンを演じているレイス・カリフェさんの持っているどことなくおぼろげな感じが映画をつくっているように思います。欲望が実に儚いものであることがうまく出ています。くどさがなく現実感が薄いことがいい方へ出た映画だと思います。