ビニールハウス

半地下はまだマシ…って、まるで関係ないじゃん(笑)…

監督は、日本の公式サイトによれば「ポン・ジュノ監督らを輩出した名門映画学校、韓国映画アカデミーで学んだ、若干29歳のイ・ソルヒ監督」です。脚本、編集もイ・ソルヒ監督です。

ビニールハウス / 監督:イ・ソルヒ

プロットの面白さだけでは映画にならない…

プロットやその展開は面白いのですが、メリハリのなさやリズムを作り出せない編集のせいでもったいない映画です。未熟さが出たということだと思います。

ムンジョン(キム・ソヒョン)は休耕地のような田んぼの中のビニールハウスの一軒家で暮らしています。キッチンやシャワーもあるようでしたが水道とか電気はどうなっているんだろうというのは突っ込んじゃいけないところなんでしょう。

そのムンジョンは盲人のテガンと認知症のファオク夫婦の訪問看護をしています。ムンジョン自身にも認知性を発症した母親がおり施設で暮らしています。また、息子が少年院に入っており、まもなく出所してきます。息子の出所後はビニールハウスを出てアパートを借りて一緒に暮らす予定でいます。

訪問介護先の夫テガンは優しい人物であり、また、自分自身も認知症の初期段階であることから将来に不安を持っています。妻ファオクの方は認知症ゆえの反抗的な行為があったり、ムンジョンが自分を殺そうとしていると騒いだりします。

ある日、ムンジョンがファオクを入浴させているときにファオクが反抗的に暴れだし、もみ合ううちに倒れて死亡します。ムンジョンはファオクをビニールハウスの洋服タンスに隠します。そして、テガンが盲目であることをいいことに自分の母親をファオクの身代わりにします。

テガンは自分自身の将来への不安から自ら命を断つ計画を考えています。そして妻ファオク、実はムンジョンの母親を殺して自ら命を絶ちます。

同じ頃、ムンジョンは息子が少年院を出所後に共に暮らすためのアパートを借りて準備を整えています。心残りはビニールハウスの洋服タンスに隠したファオクの死体です。ムンジョンはビニールハウスごと燃やすことにし、ガソリンを持ってビニールハウスに向かいます。しかし、その頃、息子はすでに出所しており、友人たち数人とビニールハウスに忍び込んでどんちゃん騒ぎをしようとしています。

ムンジョンがガソリンを持ってビニールハウスにやってきます。息子たちは隠れます。それを知らないムンジョンはガソリンを撒き火をつけます。ムンジョンが歩いてくる後ろではビニールハウスが燃え上がっています。

という映画です。

バーニング劇場版の裏ネタか…

このプロット、そしてそれを膨らませたストーリーが淡々とそのまま進んでいきます。

正直なところ、緊迫感もありませんし、おおよそ先が読めるのにまどろこしくて仕方ない展開です。見ていても早く次に進んでよというシーンが頻繁です。編集もまったくよくありません。モンタージュになっていません。

人物の設定も後付けと考えられることがたくさん盛り込まれています。

ムンジョンは自分の頬を叩いたりする自傷行為をします。そのために自助グループに参加しています。そこで知り合った女性が登場して、ムンジョンが隠したファオクの死体が見つかるんじゃないかといったドキドキ感を出そうとしています。でも失敗しています。

テガンの友人たちを登場させて、ファオクがムンジョンの母親と入れ替わっていることがばれるのではないかと、これまたドキドキ感を出そうとしています。でもこれも失敗しています。

他にも、ムンジョンがテガンの息子(だと思うけどよくわからない…)に脅されて性的関係を持っていたりします。その息子らしき男が自助グループの女性が先生と言っているDV男であるようなシーンもあります。私の見間違いかもしれませんがなんだったんでしょう。

とにかく、そうした基本プロットを肉付けするための周辺のネタがまるで生きていません。シナリオ的にも未熟ということです。

この映画の結論は、面白くなりそうなプロットではありますが、シナリオや編集を他の者にあずける勇気が必要だったということかと思います。

イ・チャンドン監督の「バーニング 劇場版」の裏ストーリーのような映画でした。