幸せをつかむ歌/ジョナサン・デミ監督

こういうドラマがウソっぽく感じられないのがアメリカの強さ(かな?)。メリル・ストリープのギターや歌は見応え、聴き応え充分。

もうそろそろ配給もこうしたタイトルで人の歓心を買おうとすることがマイナスになると知るべきでしょう。

ロックですよ、ロック。

ジョナサン・デミ監督なので見に行きましたが、そうでもなければ、こんなタイトルの映画など見に行きませんよ(笑)。

そのせいだけとは思いませんが、実際、150席の劇場に客は10人にも満たない数でした。 

母リッキー、54歳。家族を捨て、ロサンゼルスの小さなライブハウスで歌い演奏する日々を送っている。ある日、別れた夫から「娘のシェリーが夫に捨てられた」と連絡が入り、20年ぶりに家族のもとに急ぐ。事業で成功した元夫の邸宅で、傷付いた娘と再会を果たすも、過ぎ去った時間は埋まらない。(公式サイト

音楽映画と言ってもいいくらいメリル・ストリープがしっかり歌い、きっちりギターを弾いていました。

リック・スプリングフィールドがバンドのメンバーとして入っていることもあり、どの音楽シーンも見応え、聴き応えがありますが、それだけではないメリル・ストリープの音楽的力量がよく分かるシーンがあります。

前後の流れは忘れてしまいましたが、というより、この映画、音楽をのぞいたらストーリーなど他のものはどうでもいいと言ってもいいくらいですので(笑)、とにかく、リッキー(メリル)、元夫(ケヴィン・クライン)、娘(メイミー・ガマー)の親子三人、葉っぱでキメて、リッキーがひとり弾き語りで歌うシーンがとてもいいんです。じーんときます。

動画がありました。


映画『幸せをつかむ歌』本編映像

映画は、ロックのために家族を捨てた女性が、ある一時(いっとき)、音楽の力で、家族と盛り上がる(家族の絆を取り戻す?)というお話で、およそ想像通りの進展をします。

ただ、今時の映画がそれだけではと、ジョナサン・デミ監督が思ったかどうかは分かりませんが、リッキーに「男は、家庭を捨てて気ままに音楽に走ってもいい歌さえ作ればそれで許されるのに、女はそういうわけにいかず『母』を求められる」と言わせたり、息子を同性愛者の設定にして、偏見を持っている(らしき)リッキーを「ロックアーティストのくせにゲイに偏見を持っている」と(意味不明な)皮肉を言わせたりしていました。

全体としては、音楽映画のストーリーは、たとえありきたりであってもシンプルにという定説(ホントか?)をまもって作られており、盛り上げも過剰にならず、適度で、いい映画だったと思います。

娘役のメイミー・ガマーさんが実の娘と知らず、よくもこんなにそっくりな俳優さんがいたものだとびっくりしました。あれ、ほぼノーメイクですよね。いきなり登場した時が相当な興奮状態で母親に当たり散らす場面でしたので、かなりインパクトがありました。

ということで、やっぱりメリル・ストリープが出れば、メリル・ストリープの映画になってしまうことが証明されていました。