そんなには褒めないよ。映画評

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母よ、/ナンニ・モレッティ監督

この映画の時間は止まっている。あるひとつの感情が約2時間に渡って繰り返されているよう

2016/03/30

「息子の部屋」を見たような記憶はあるのですが、全く内容を思い出せないという程度ですので、初ナンニ・モレッティ監督ということになります。

カンヌの「エキュメニカル審査員賞」というものを受賞していますので、どんな賞?と調べてみましたら、「エキュメニカルとはキリスト教の教会統一の意。キリスト教徒の映画製作者、映画批評家らにより、1974年にカンヌ国際映画祭の独立部門として創設された。カトリックとプロテスタントの審査員6名によって選ばれる。」とウィキにありました。

映画監督のマルゲリータは恋人とは別れたばかりで、離婚した夫との娘は反抗期の真っただ中、新作映画の撮影は思うように進まない。一番心配なのは入院中の母アーダのことだった。アメリカから到着した主演俳優のバリーとは、現場で何かと言い争うようになる。そんな折、母が余命わずかだと宣告され──。(公式サイト)

前半、3分の1くらいでしょうか、何ともリズムの悪い映画に感じました。それぞれのシーンが何か少しずつ足りない感じで、え、何、もう次へ行くの? 誰、あなた? これは回想? 夢? みたいな感じで、なかなか映画に入りきれなかったです。

で、多少イライラしつつも、ふと考えて、これはマルゲリータのイライラ感を疑似体験させられているのかな? なんて考えも浮かんだわけで、もしそうなら、そうした映画は結構趣味ですので、じっと待ったんですが、最後まであまりイライラ感は変わらなかったです(笑)。

なぜだろう?と考えてみたのですが、結局、映画の中の時間が止まっているからではないかと思います。

映画の構成は、主に、映画監督であるマルゲリータ(マルゲリータ・ブイ)の撮影現場での主役バリー(ジョン・タトゥーロ)との折り合いの悪さ、母アーダ(ジュリア・ラッツァリーニ)が入院中の病院での兄ジョヴァンニ(ナンニ・モレッティさんなんですね)を含めた家族関係、そしてマルゲリータが見る夢や回想の3つからなっており、それらの各シーンが細かく分割され編集されて一本の映画になっています。

で、それら2つ、夢や回想は置いておいて他の2つの物語に、ほとんど進展がないのです。

撮影現場でのバリーとの行き違いは最後までほとんど変化なく、行ったり来たりの繰り返しで、ただただマルゲリータのイライラを見せられるだけですし、一方、病院のシーンも幾度も繰り返される割にほとんど進展は見られず、マルゲリータと母の関係も、当事者にとっては特別な喪失感や逝くものの心残りはあるとは思いますが、そこに何か特別な感情があるとも思えず、割りとうまくいっている家族の恵まれた最期にしか見えませんし、娘にしても、公式サイトのストーリーには「娘は反抗期の真っ只中」と書かれている割に、全くそんな感じはなく、やっぱりうまくいっている家族に見えます。

結局、あるひとつの感情が約2時間に引き伸ばされて描かれている感じで、そこに共感できないと置いてきぼりを食うということかもしれません。 

2つの物語が相互に影響しあって何かが動いていくとか、まあ、動くとしたらマルゲリータしかいませんが、考えてみれば、マルゲリータ・ブイさん(役名と同じですね)のイライラの演技がワンパターンでしたね。もう少し抑えたところがあったほうが良かったようにも思います。

そういえば、俳優の演技について、「役に寄り添うように演じる」みたいなことをマルゲリータに言わせていましたね。映画の中の役を演じつつ、なりきろうとするのではなく、俳優自身として役を生きろ、みたいなことなんでしょう。ナンニ・モレッティ監督の演技論なのだと思います。あるいは、役名が俳優と同じなのもそうした意味合いからかもしれません。

と書いているうちに、漠然と「息子の部屋」の画がいくつか浮かんできました。この「母よ、」も、2,3年経つとこんな感じで記憶の奥底に眠ってしまうのでしょうか。

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