そんなには褒めないよ。映画評

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シリア・モナムール/オサーマ・モハンメド監督

YouTube 映像の再構成で、新しい映像表現は生み出せるか?

2016/07/20

シリアが内戦状態に陥ったのは2011年、もう5年余続いていることになります。

それに関わる多くの映像が YouTube や Facebook にあげられているらしく、それらをオサーマ・モハンメド監督が再構成した映画ということです。

監督自身はパリ在住らしく、この映画のためにシリアに入ったのかどうかは定かではありませんが、映画の中頃からは、シリアのシマヴ(クルド語で 銀の水 の意味)と名乗る女性が撮ったとする映像も挟まれます。

2014年カンヌ国際映画祭で称賛を浴び、2015年山形国際ドキュメンタリー映画祭でも、観客に深い衝撃を与えて≪優秀賞≫を受賞した『シリア・モナムール』が公開される。本作はシリア内戦の事実を白日の下にさらすと同時に、映画や音楽、小説、絵画などがオマージュされていくという稀有な映像表現がなされる。そこでは豊饒でかけがえのない日常が、非日常な暴力により、いとも簡単に覆されることの恐怖を尽きつけてくる。(公式サイト)

拷問をうける少年、放置される死体、廃墟と化した街…、映像の多くはそうした殺伐たるものばかりですが、そこに被せられる語りは、ある意味、詩的でもあり、また哲学的でもあります。

その点では映画になっているとは思いますが、監督自身は安全(とも言えないけど)なパリで暮らしいるわけですから、その後ろめたさのようなものがあるのでしょう、どこかぼんやりして、この映画は一体何なのか、とらえどこらがありません。

YouTube や Facebook にあげられた映像を再構成して、何か新しい映像表現ができるのだろうかと期待はしたのですが、やはり難しいですね。

この映画の場合で言えば、もうすでにそれぞれの映像自体に強く意味が張り付いていますし、それを全面に出せば再構成する意味はなくなりますし、かといって、その意味合い上、扱いは慎重にならざるを得ませんし、結局、こうしたやや中途半端な映像詩的なものにならざるをえないのでしょう。

どちらかと言いますと、監督のかなり内的な自己対話映画のような感じです。

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