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アラビアの女王 愛と宿命の日々

ニコール・キッドマンのニコール・キッドマンための映画

2017/02/15

ヴェルナー・ヘルツォーク監督、もちろん名前は知っていますし、2,3映画のタイトルも浮かびますが、残念ながら見ていません。これを機会に「アギーレ/神の怒り」「フィッツカラルド」くらいはみてみようと思いますが、どんな映画を撮る人なんでしょう?

で、この映画が描いているガートルード・ベルさん、あまり詳しくはありませんが、イラク建国の母などと呼ばれている人であり、あの悪評高き中東におけるイギリスの三枚舌外交がらみで名前を目にするくらいです。

さて、どんな人なんでしょう?

監督:ヴェルナー・ヘルツォーク

20世紀初頭、ひとりの女性が英国を旅立ち、アラビアの地へ向かおうとしていた。彼女は英国鉄鋼王の家庭に生まれ社交界にデビュー、オックスフォード大学を卒業した貴婦人ガートルード・ベル。自由なトラベラーであり、考古学者であり、諜報員となったベルは、やがて“イラク建国の母”と称されるほどにアラビアの地に根付き、情熱を注いでいくのだった。(公式サイト)

何という大河ドラマなんでしょう!

歴史上のある人物に焦点をあてるわけですから、当然ながら全てがその人物中心に進み、歴史的事実はダイジェスト版程度、それでも時に恋愛などでドラマチックに盛り上げ、ただ映像的には壮大で美しく音楽も大層で、ベタな感動的シーンで泣かせようとする大河ドラマです。

そういう監督なんでしょうか?

正直、画は一貫して美しいです。オープニングの砂漠の砂嵐のシーン、実写でしょうかね? 迫力もありました。他にも、場所がどこかは忘れましたが、渓谷のように岩場に挟まれたところをドローンで撮っているような画とか、イギリスの邸宅の冬(?)の遠景も美しかったです。

ニコール・キッドマンのための映画でした。

ガートルード・ベルさんの20代前半から50歳位までの演じていますが、映画の後半あたりがニコール・キッドマンの実年齢ですから、さすがに20代は無理でしょう。かなり頑張ってはいましたが、見た目がどうこうではなく、もう染み付いた貫禄というか存在感が20代のものじゃないです。

ただ、さすがに大女優ぽいですね。自分がどう撮られたいか明確な意思をもっている感じがします。ここはこの角度からこの表情、このシーンはここで振り向く、そんなことまで計算しているかのようにみえます。

ヴェルナー・ヘルツォーク監督がどんな方で、この映画をどうしたかったかは分かりませんが、結果として、ニコール・キッドマンにニコール・キッドマンを撮らされてしまったような映画です。

いずれにしても、ベースにあるのは、ヨーロッパ人の東洋的なるものへの憧れであり、映画の中でガートルードがベドウィンの首長から、なぜ西洋人の女性がベドウィン(アラブだったか?)に興味をもつのか?と尋ねられて、「自由」「尊厳」そしてもう一つ何かを上げていましたが、そうした思いが監督の中にもあるのでしょう。

ただ、その異文化への憧憬がこの映画の中でどこまで深化し、新しい価値観へと転化する糸口になり得たかはやや疑問と言わざるを得ません。

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