ブラジル軍事独裁政権下、夫を失うも力強く生き抜いたエウニセ・パイヴァの物語… ウォルター・サレス監督、12年ぶりの長編劇映画です。名前も忘れてしまうところでした。でもお休みしていたわけではないようで、ジャ・ジャンクー監督のドキュメンタリーを撮ったり、BRICSサミット向けのオムニバス映画に参加したり、TV や MV の仕事をしたりということだったようです。...
年齢の違和感をふっ飛ばすイーレ・ヴィアネッロさんの俳優力… 「イタリア文学界の巨匠チェーザレ・パヴェーゼの同名小説」が原作とのことです。その「美しい夏(La bella estate)」は、1950年にストレーガ賞というイタリア文学界最高の賞を受賞しています。ただ、作家本人はその直後に自殺しているみたいです。美しい夏 / 監督:ラ...
牢獄のチャーリーは鉄格子越しにアルメニア人夫婦を描いた無声映画を見る… 原題の「Amerikatsi」はアルメニア語でアメリカ人という意味らしいです。20世紀初頭に起きたアルメニア人大虐殺を逃れてアメリカに渡った子どもが成人し、第二次世界大戦後のソ連邦統治下の故郷アルメニアに戻ったものの、アメリカのスパイと認定されて投獄されるという話です。シリアス系ではな...
面白いところもありますが、二匹目のドジョウはいないということでしょう… 「トップガン マーヴェリック」と同じ製作陣とのことで見てみました。それにブラッド・ピットさんのからからと笑う声にひかれてです(笑)。F1®/エフワン / 監督:ジョセフ・コシンスキーブラッド・ピットさんでもってるかな…面白かったのですが、「トッ...
「暁に祈れ」と同様に暴力は人間の根源的なものだと言いたいようだ… 「暁に祈れ」のジャン=ステファーヌ・ソヴェール監督ですのでどうしようかと思ったんですが、ショーン・ペンさん主演ですのでそんなにはひどくはないだろうと思い見てみました。アスファルト・シティ / 監督:ジャン=ステファーヌ・ソヴェール画づらが派手でエグいものにす...
人生はサスペンス、次々放たれる不穏の矢の行き先は人生しみじみ… フランソワ・オゾン監督です。レビューを書くたびに書いていますが、オゾン監督は年1本ペースという多作かつその内容も多様でありながらどの作品も出来がとてもいいです。とにかく映画のつくりがうまいですし、やろうとしていることか明快な監督です。秋が来るとき / 監督:フランソワ...
死者の死後の世界は生者の記憶の中にあると Death は言う… 監督はクロアチア出身でロンドンを拠点に活動しているダイナ・O・プスィッチ(ダイナ・オニウナス=プシッチ)さん、この「終わりの鳥(Tuesday)」が長編デビュー作です。1985年生まれですので40歳くらいの方です。終わりの鳥 / 監督:ダイナ・O・プスィッチ(ダイナ・...
序盤はほぼ完璧なミュージカル、中盤以降もその線でいけばよかったのに… 昨年2024年のカンヌ国際映画祭で4人の俳優が女優賞を受賞し、今年2025年のアカデミー賞ではそのひとりゾーイ・サルダナさんが助演女優賞を受賞したジャック・オーディアール監督の「エミリア・ペレス」です。あるいは過去の差別発言がなければ、タイトルロールであるエミリア・ペレスを演じたカルラ・...
驚きのエンディングゆえのパルムドール受賞か… 昨年2024年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作です。ショーン・ベイカー監督の映画は「タンジェリン(2015)」「フロリダ・プロジェクト真夏の魔法(2017)」「レッド・ロケット(2021)」と見てきていますが、確かに物語の運びがうまい監督です。アメリカ社会の下層で生きる人々をネタ(まさしくネタです…)にするこ...
マッツ・ミケルセンは寡黙な男がよく似合う、それによくモテる… マッツ・ミケルセンさん主演ですから当然といえば当然ですが、宣伝でも前面に押し出されており「見てね」なんて予告編を何度見たことやら(笑)。でもまあこういう寡黙なのに筋を通そうとする役柄はよく合いますね。愛を耕すひと / 監督:ニコライ・アーセルモデルは実在のルート...
え? ミシェル・フランコ監督がラブストーリー? と驚きはするが、やはりうまい… ミシェル・フランコ監督の2023年の映画、最新作じゃないんですね。最新作は今まさに開催中のベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品されている「Dreams」です。主演はこの映画と同じくジェシカ・チャンステインさんです。あの歌を憶えている / 監督...
パウル・ネゴエスク監督のインタビューを読めば、思ったより悪くない… ルーマニア映画です。最近は東欧の映画も劇場公開されるものが少なくなっていますので貴重です。映画.comによれば「ルーマニアのアカデミー賞にあたるGOPO賞で作品賞・監督賞・主演男優賞など6冠に輝いた」そうです。雄鶏の鳴く前に / 監督:パウル・ネゴエスク一...
トランプよりも、ロイ・コーンのキャラクターにびっくり! これから4年間、毎日のようにテレビや新聞でその名を目にすることになるドナルド・トランプ大統領、その若き頃の伝記的映画です。20代半ばから40歳くらいまでが描かれています。監督は「ボーダー 二つの世界」「聖地には蜘蛛が巣を張る」のアリ・アッバシ監督です。アプレンティス:ドナルド...
ナチスに略奪された絵が見つかった、絵は誰の手に?とのミステリーにはならず… 実話にインスパイアされた物語とありましたので少し調べてみましたらガーディアンが2006年4月22日付で記事にしていました。絵が発見された直後ですね。「Found: Schiele masterpiece that was looted by Nazis then lost ...
『エマニエル』のフェミニズム的転回だとは思うが、その前に映画的展開が… 「あのこと」、この邦題は勘弁してほしいのですが私がどうこうできるものでもないので仕方なく「あのこと」のオードレイ・ディヴァン監督が、あの「エマニエル夫人」をリメイクしたそうな。エマニュエル / 監督:オードレイ・ディヴァンファーストシーンとラストシーン...
たまにはこういう映画も悪くない… ちょうど1年くらい前の2023年12月8日に公開された映画です。タイトルをよく見かけましたし、結構長く上映されていたように思いますのでDVDを借りてみました。知らなかったんですが、監督は「光を追いかけて」の成田洋一監督でした。あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 / 監督:成田洋一シンプ...
男性の欲望の対象としてモノ化される女性たち… 「米国インディペンデント映画の先駆者の一人、ベット・ゴードン(日本の公式サイト)」監督の1983年の映画「ヴァラエティ VARIETY」です。ヴァラエティ VARIETY / 監督:ベット・ゴードン古さを感じない、そのことの意味…1983年頃のアメリカ映画と言いますと、...
世界一幸せな国の寓話的幸せファンタジーが教えてくれるもの… 「ブータン 山の教室」を見たと思っていたのに見ていなかったパオ・チョニン・ドルジ監督の二作目です。タイトルは「お坊さまと鉄砲」、まったく相容れそうもない「お坊さま」と「鉄砲」が並んでいます。原題もブータンの言葉ではなく英語で「The Monk and the Gun」となっています。[to...
何を伝えたいのかわからないのですが… 「14歳の栞」の竹林亮監督です。その映画は映像コンテンツ会社チョコレイトの栗林和明さんがクリープハイプの「栞」のプロモーションの相談を受けたところから始まったということでしたが、この「大きな家」は公式サイトのコメントを読む限りでは齊藤工さんの発案から始まったようです。大きな家 / 竹林亮...
濃厚な昭和の香りに酔い負けそう… 本木雅弘さんと小泉今日子さんの共演ということで見たのですが、初っ端から違う世界に迷い込んだような感覚に陥り、頭がくらくらしました。ああ、昭和…。海の沈黙 / 監督:若松節朗びっくりシーン2題…映画冒頭は、小泉今日子さんのクローズアップにドスのきいた男の声であなたの心には男が...