序盤はほぼ完璧なミュージカル、中盤以降もその線でいけばよかったのに… 昨年2024年のカンヌ国際映画祭で4人の俳優が女優賞を受賞し、今年2025年のアカデミー賞ではそのひとりゾーイ・サルダナさんが助演女優賞を受賞したジャック・オーディアール監督の「エミリア・ペレス」です。あるいは過去の差別発言がなければ、タイトルロールであるエミリア・ペレスを演じたカルラ・...
驚きのエンディングゆえのパルムドール受賞か… 昨年2024年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作です。ショーン・ベイカー監督の映画は「タンジェリン(2015)」「フロリダ・プロジェクト真夏の魔法(2017)」「レッド・ロケット(2021)」と見てきていますが、確かに物語の運びがうまい監督です。アメリカ社会の下層で生きる人々をネタ(まさしくネタです…)にするこ...
マッツ・ミケルセンは寡黙な男がよく似合う、それによくモテる… マッツ・ミケルセンさん主演ですから当然といえば当然ですが、宣伝でも前面に押し出されており「見てね」なんて予告編を何度見たことやら(笑)。でもまあこういう寡黙なのに筋を通そうとする役柄はよく合いますね。愛を耕すひと / 監督:ニコライ・アーセルモデルは実在のルート...
え? ミシェル・フランコ監督がラブストーリー? と驚きはするが、やはりうまい… ミシェル・フランコ監督の2023年の映画、最新作じゃないんですね。最新作は今まさに開催中のベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品されている「Dreams」です。主演はこの映画と同じくジェシカ・チャンステインさんです。あの歌を憶えている / 監督...
パウル・ネゴエスク監督のインタビューを読めば、思ったより悪くない… ルーマニア映画です。最近は東欧の映画も劇場公開されるものが少なくなっていますので貴重です。映画.comによれば「ルーマニアのアカデミー賞にあたるGOPO賞で作品賞・監督賞・主演男優賞など6冠に輝いた」そうです。雄鶏の鳴く前に / 監督:パウル・ネゴエスク一...
トランプよりも、ロイ・コーンのキャラクターにびっくり! これから4年間、毎日のようにテレビや新聞でその名を目にすることになるドナルド・トランプ大統領、その若き頃の伝記的映画です。20代半ばから40歳くらいまでが描かれています。監督は「ボーダー 二つの世界」「聖地には蜘蛛が巣を張る」のアリ・アッバシ監督です。アプレンティス:ドナルド...
ナチスに略奪された絵が見つかった、絵は誰の手に?とのミステリーにはならず… 実話にインスパイアされた物語とありましたので少し調べてみましたらガーディアンが2006年4月22日付で記事にしていました。絵が発見された直後ですね。「Found: Schiele masterpiece that was looted by Nazis then lost ...
『エマニエル』のフェミニズム的転回だとは思うが、その前に映画的展開が… 「あのこと」、この邦題は勘弁してほしいのですが私がどうこうできるものでもないので仕方なく「あのこと」のオードレイ・ディヴァン監督が、あの「エマニエル夫人」をリメイクしたそうな。エマニュエル / 監督:オードレイ・ディヴァンファーストシーンとラストシーン...
たまにはこういう映画も悪くない… ちょうど1年くらい前の2023年12月8日に公開された映画です。タイトルをよく見かけましたし、結構長く上映されていたように思いますのでDVDを借りてみました。知らなかったんですが、監督は「光を追いかけて」の成田洋一監督でした。あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 / 監督:成田洋一シンプ...
男性の欲望の対象としてモノ化される女性たち… 「米国インディペンデント映画の先駆者の一人、ベット・ゴードン(日本の公式サイト)」監督の1983年の映画「ヴァラエティ VARIETY」です。ヴァラエティ VARIETY / 監督:ベット・ゴードン古さを感じない、そのことの意味…1983年頃のアメリカ映画と言いますと、...
世界一幸せな国の寓話的幸せファンタジーが教えてくれるもの… 「ブータン 山の教室」を見たと思っていたのに見ていなかったパオ・チョニン・ドルジ監督の二作目です。タイトルは「お坊さまと鉄砲」、まったく相容れそうもない「お坊さま」と「鉄砲」が並んでいます。原題もブータンの言葉ではなく英語で「The Monk and the Gun」となっています。[to...
何を伝えたいのかわからないのですが… 「14歳の栞」の竹林亮監督です。その映画は映像コンテンツ会社チョコレイトの栗林和明さんがクリープハイプの「栞」のプロモーションの相談を受けたところから始まったということでしたが、この「大きな家」は公式サイトのコメントを読む限りでは齊藤工さんの発案から始まったようです。大きな家 / 竹林亮...
濃厚な昭和の香りに酔い負けそう… 本木雅弘さんと小泉今日子さんの共演ということで見たのですが、初っ端から違う世界に迷い込んだような感覚に陥り、頭がくらくらしました。ああ、昭和…。海の沈黙 / 監督:若松節朗びっくりシーン2題…映画冒頭は、小泉今日子さんのクローズアップにドスのきいた男の声であなたの心には男が...
過去に見た映画の残像を頼りにつくっても… 「山戸結希、松居大悟、三宅唱ら数多くの監督たちの映画やドラマ作品に助監督として参加してきた岩屋拓郎監督が、映画企画コンペで新人賞を獲得した自身の企画をもとに(映画.com)」撮った映画とありますので何のコンペかとググりましたら…オアシス / 監督:岩屋拓郎物語が足りない…「...
いい人、いい話が求められるときは、はて?… 黒木華さんを見に行った映画です。アイミタガイ / 監督:草野翔吾閉じた円環…いやあ、びっくりしました。登場人物すべてが、その人物も知らないところで他の人物とつながり、最後の最後、食品サンプル会社の夫婦の金婚式に出席したおじいちゃんに抱かれて眠る子どもにまでつながっ...
映画そのものが徒花… 映画.com に「長編デビュー作「赤い雪 Red Snow」で国内外から高く評価された甲斐さやか監督」と紹介されているもののまったく知らない方でしたので早速見てみました。徒花-ADABANA- / 甲斐さやか「死」の不安、いやむしろ「生」の不安?…映画始まってすぐ、「未知なるウイルスの流行で出...
カンフーやブラック・サバスや宗教というよりもラファエルとリタのラブストーリーかも… なかなか難しい映画だった「ノベンバー」のライナル・サルネット監督です。この「エストニアの聖なるカンフーマスター」を見ますとその難しさの理由が氷解します(笑)。エストニアの聖なるカンフーマスター / 監督:ライナル・サルネット明らかに見ている...
レイモンドは神になり、ダニエルはカニバリズムの夢に溺れ、エミリーは神の国から追放される… つい半年前に「哀れなるものたち」を見たばかりのヨルゴス・ランティモス監督です。たまたま公開が重なったというわけではなく制作もわりと近接しているようです。その「哀れなるものたち」は幼稚でつまらない映画でしたが、こちらはきっちり映画になっています。でもよくわからないし、面...
「原作に乱暴」過ぎないか… 吉田修一さんの『愛に乱暴』が映画化されることを知り、わざわざ原作を読み…、というわけでもなく、吉田修一さんの小説はほとんど読んでいるのにこの『愛に乱暴』を知りませんでしたので読んだということで、その結果、原作を読んで映画に臨んだ(笑)みたいなことになりました。愛に乱暴 / 監督:森ガキ侑大こんな...
原作を読みたくなるが、映画はダイジェストを見ているよう… オーストリアの作家ローベルト・ゼーターラーさんの「ある一生 A Whole Life」の映画化です。2016年にブッカー賞の候補になっている小説です。ある一生 / 監督:ハンス・シュタインビッヒラー原作を読みたくなるが…1900年代初頭から1980年くらいま...