あみこ、カナ、山中瑶子監督の分身かな… 前作「あみこ」のレビューに「こういう才能が継続的に映画が撮れるといいのですが…」と書いた山中瑶子監督の長編二作目です。今年2024年のカンヌ国際映画祭の監督週間で上映され、国際映画批評家連盟賞を受賞したとのことです。ナミビアの砂漠 / 監督:山中瑶子ナミブ砂漠の人工水飲み場…...
少女の物語というよりも家族は小宇宙という話… 邦題やチラシなどのビジュアルから少女の感傷的な話の方に引っ張られそうになりますが、それは映画の一面であって全体としてはちょっと違うかもしれません。なにせ原題は「Tótem」ですし、本家のビジュアルも随分印象が違います。夏の終わりに願うこと / 監督:リラ・アビレスTótem 小...
「No.10」はアレックス・ファン・ヴァーメルダム監督自身の10作目という意味らしい… オランダのマルク・ファン・ヴァーメルダム監督の2021年の映画です。初めて目にする名前ですが、2013年に「ボーグマン」という映画でカンヌのコンペティションに選出されたことがあるようです。オランダの映画監督といいますと、「エル ELLE」や「ベネデッタ」のポール・バーホ...
この手の舞台劇をそのまま映画にしたらコントにしかならないよ… 時々、いい映画を見逃していないかとDVDレンタル屋さんでポチッポチッとやっていますが、その際にどことなく惹かれて見た2021年の映画です。多分印象的な画像が目についたんでしょう。成れの果て / 監督:宮岡太郎悪い人ファンタジー…2009年に「elePHA...
女性の自立と主体性、男性の家族主義と支配欲… メーサーロシュ・マールタ監督特集上映の一作「アダプション/ある母と娘の記録」が素晴らしかったですので、可能な限り見ようと「ナイン・マンス」を見てきました。これまた、びっくりしました。ナイン・マンス / 監督:メーサーロシュ・マールタ明確な女性の自立と主体性への意識...
原作は『チェスの話』で「ナチスに仕掛けた…」とのニュアンスはほとんどなさそう… オーストリアの作家シュテファン・ツヴァイクさんの『チェスの話(Schachnovelle)』の映画化です。作家としてはよく知りませんが、映画で言えば、パトリス・ルコント監督の「暮れ逢い」が『過去への旅(Widerstand der Wirklichkeit)』の映画化でしたし、...
ブラッドリー・クーパーひとり舞台のやや残念な豪華キャスト 見ているようであまり見ていないギレルモ・デル・トロ監督、直近では「シェイプ・オブ・ウォーター」、さらに遡りますと「パンズ・ラビリンス」くらいです。この映画は、「アリー スター誕生」がとてもよかったブラッドリー・クーパーさん、「キャロル」以降名前をみれば見たくなるルーニー・マーラさんという名前...
1988年のペルー、乳児売買、センデロ・ルミノソ、先住民の貧困、同性愛 1988年頃のペルーを舞台にした映画です。どんな時代だったのかざっとウィキペディアから拾いますと、1985年に誕生したアラン・ガルシア大統領の経済政策の失敗によりハイパーインフレになっており、その影響もあって反政府勢力のセンデロ・ルミノソが勢力を伸ばしリマを包囲するような状態だったようです。日...
仲野太賀と吉岡里帆、の良さを出せない脚本 「是枝裕和が惚れ込んだ新たな才能!」という宣伝コピーがついています。確かに企画に是枝裕和さんの名前もありましたし、分福が企画協力となっていたと思います。で、その才能が佐藤快磨監督ということです…泣く子はいねぇが / 監督:佐藤快磨…が、私にはまったくリズムがあわなかったです。なぜそこで次のシーンへ行く? な...
(DVD)香取慎吾と脚本加藤正人と白石和彌監督がぴったりあった映画 これは劇場で見るべきでした。映画自体がよくできているということもありますが、全体的に画が暗いので家のモニターでは伝わってくるものが半減します。それに、香取慎吾さん、いいですね。映画では始めて見ました。凪待ち / 監督:白石和彌ギャンブル依存症の男が立ち直るまで、まあそう単純でもないん...
歴史ものに、悪いやつもいるし、いいやつもいるってのはダメ! 19世紀のタスマニアを舞台にした、アイルランド人の女性の復讐物語が軸になった映画で、そこにイギリス対アイルランド、そして先住民アボリジニの虐殺をからめた、しかしながら映画の出来としてはあまり良くはなく美しくもありません。ただ、2018年のヴェネツィアで審査員特別賞を受賞しています。ナイチンゲール ...
(DVD)サラリーマンから将棋のプロへ 将棋の世界のことなどまったくわかりませんが、こういう映画を見ますと藤井聡太くんは超超天才なんだということがわかります。プロの棋士になるためには、奨励会に入り26歳までに三段リーグ戦で上位ふたりに入らなくてはいけないらしいのですが、この映画の主人公で自伝小説の原作者瀬川晶司さんは、年2回あるリーグ戦に8回のチャンスがあったのに...
音楽とエスプリの効いた会話でみせるアニメーション ふと見た予告編に惹きつけられたアニメーション、本編81分も惹きつけられっぱなしでした。今年2019年のカンヌ国際映画祭批評家週間でグランプリを受賞したらしく、また、この部門でアニメーションがグランプリを受賞したのは初めてとのことです。失くした体 / 監督:ジェレミー・クラパン切断された手が自分の体を求...
家族ファンタジーもいいけれど、さすがにここまでくると… さすがにこの価値観(家族観)にはついていけないなあという映画です。映画のつくりとしては俳優で持っている感はありますが、さすがにそれも30分くらいまでで、こうしたエンターテイメント系としてはメリハリがなく厳しいです。 長いお別れ / 監督:中野量太「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督の商業映...
人はわかりあえないし、所詮身勝手なもの… 2011年の「最初の人間」以来のジャンニ・アメリオ監督です。寡作の印象の監督ですが、IMDbを見ますとそうでもなさそうで、TVやらドキュメンタリーやらと結構いろいろ撮っているようです。ナポリの隣人 / 監督:ジャンニ・アメリオ最後まで焦点の定まらない映画でした。終わってみれば、ああ、父娘の話だったのねとわか...
ハイドリヒ暗殺計画が題材の二部構成ダイジェスト版映画 2014年の本屋大賞「翻訳小説部門」第1位『HHhH プラハ、1942年』(ローラン・ビネ:著、高橋啓:訳)が原作の歴史もの映画で、原作タイトルの「HHhH」とは、「Himmlers Hirn heiβt Heydrich(ヒムラーの頭脳、すなわちハイドリヒ)」を表す。(図書新聞)とのことです。ナ...
ロッカーの中にあったもの、それはマリーナがマリーナであるためのもの むちゃくちゃ力強い映画です。最近やたら耳にする、特にオリンピックシーズンでしたので毎日のようにテレビから流れてくる「勇気をもらう」という言葉を(嫌いだけど)あえて使えば、これほど「勇気をもらえる」映画、そして人物はいないでしょう。映画の中では何も語られませんので詳しい性自認はわかりませんが、公式...
テンポ、編集、カメラワーク、音楽、そして俳優、すべてに映画的センスがいい、けれど… 就活? ルームシェア? 5人の若者? んー、テレビドラマみたいだなあ…、と、かなり迷って見に行きましたら、面白かったです。ちゃんと映画になっていました(スマソ&笑)見たいと思った理由のひとつに三浦大輔監督というのがあったのですが、うまいですね。細かいところまで意識されていて...
監督自身の永い言い訳を聞いているようだ。男の影のような女の描き方は「ゆれる」と同じだね。 「ゆれる」以降、単独作品は全て見ているのですが、何も書き残していないようで、このブログ内に何もありません。なぜだろう? と考えながら、ウィキで西川美和監督の作品リストを見ていましたら、すごいですね。独擅場(どくせんじょう)です。ゆれる(2006年) - 監督・脚本・原案...
満島ひかりさんフィーチャーの映画としてみれば悪くはないが、昭和30年は感じられずかな 「愛のむきだし」で、何だこの子は!?と、ある種、衝撃を感じた満島ひかりさん、その後見ているのは、「カケラ」「川の底からこんにちは」「悪人」ですが、読み返してみますと、どれも監督をぼろくそに書いています(笑)ので、「悪人」以外は、満島さんの話題になっていません。「悪人」で褒めてい...