「幻肢痛を軸に、夫婦の溝?じゃないですね。夫はお腹の子供が自分の子ではないと結婚する前から知っていたわけですから復讐劇なんでしょうか、いや復讐が目的と思えるほどの動機が描かれているわけではありませんからそれも違いますが、まあいずれにしても、この作品だけは妙にドラマチックさが際立っています。ただそれもドラマとしてのドラマチックさではなく、構成としてのドラマチックさとでも言うべき、展開としては種明かしのようなもので、何となく分かったような気がしますが、よくよく考えてみるとなぜ妻は浮気をしていたのかとか、なぜそれでも結婚したのかとか、なぜ自殺しなくちゃいけないのかとか、なぜ今ばらすのかとか、まるで必然性がないドラマチックさなわけです。結局、ドラマとしては、夫の話自体が噓かも知れないのですが、そういう愛憎劇が目的ではなく、構成上のクライマックスということなのでしょう。
ということで、かなり凝った構成になっている作品で、こうした作り込みこそが深田監督がやりたいと思っていることではないかと思います。
そういえば、3作品ともゴミ袋のゴミが意味ありげに使われていました。どんな意味があるのかはともかく、そうした様々なことを巧みに織り込んで、それらをどう読み解くか観客に楽しませる作品を撮る監督のようです。