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太秦ライムライト/落合賢監督

ライムライトを模した物語を撮りたかったのか、福本清三さんを撮りたかったのか、よく分からない

2014/07/29

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この映画、監督が落合賢さんじゃなければ見に行かなかったかも知れません。というのは、3年前だったと思いますが、知多半島映画祭で見た「美雪の風鈴」という作品がかなり完成度が高く印象に残っていたからです。この監督、きっかけさえあればきっと出てくるに違いないと思ったものです。昨年「タイガーマスク」を撮っているのは知っていたのですが、さすがに興味が持てなく、この映画を期待をもって見に行ってきました。


映画『太秦ライムライト』予告編

映画は、タイトル通り、チャップリンの「ライムライト」へのオマージュという面があり、時代劇の斬られ役一筋の大部屋俳優香美山(福本清三)が、駆け出しの女優さつき(山本千尋)に時代劇への思いを託し去っていくという物語です。

主役の香美山を演じている福本さんという方は、「5万回斬られた男」と言われるくらい斬られ役に徹された方とのことで、「どこかで誰かが見ていてくれる―日本一の斬られ役 福本清三」という著作もあるようです。

どこかで誰かが見ていてくれる 日本一の斬られ役・福本清三 (集英社文庫)

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こういう方がいて、さらに名(役名)もない多くの方がいて映画が成り立っているわけで、あらためてそうした方々に敬意を表すとともに、時代劇の伝統はどうなっていくんだろうなあと心配にもなります。

で、この映画ですが、そうしたリスペクトの気持ちとは別に、ミスマッチな印象でちょっとばかり残念な結果でした。

どういうことかと言いますと、このストーリー(シナリオ)は、基本、苦労は報われ、いじめっ子はぎゃふんと言わされ、惑ったものは改心するという物語の王道ものをベースにしているように見受けられるのですが、なぜか全てが中途半端で煮え切らないのです。

逆に言いますと、王道ものにはやはり主役をとるべき俳優が必要であり、福本さんを主役にするのであれば、福本さんのためのシナリオが必要だということです。この映画では、香美山は香美山ではなく福本さん本人です。なのに、福本さん以外は全て映画の中の人物です。

劇中に、時代劇は古いと、長年続いた「江戸桜風雲録」を打ち切ってしまうプロデューサーが出てきますが、王道でいけば悪役なのに、なぜかラストは理由もなく善人になっています。もう一人の悪役、若手の監督もあれだけ露出させていながら途中から消してしまっています。

ライムライトへのオマージュといいながら、香美山とさつきの関係も実に中途半端です。スターダムにのし上がったさつきは初心を忘れてしまったような扱いがされているような、いないような、何とも中途半端です。香美山がさつきに譲った木刀の扱いにそれは現れています。

そして最も残念なことは、それが現実ということなのか、この映画自体に未来へ託すべき時代劇の何かが見い出せていなさそうなことです。

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