MILES AHEAD マイルス・デイヴィス 空白の5年間

ドン・チードル初監督作品にして、迫真の演技でマイルスに迫る

タイトルは「マイルス・デイヴィス 空白の5年間」となっており、確かに1975年から5年くらいのブランクはあるようですが、内容は史実に基づいているわけではなく、ほとんどフィクションのようです。

音楽ものというよりも、拳銃はぶっ放すわ、カーチェイスはあるわのアクションものの雰囲気です。

監督は、「ホテル・ルワンダ」のドン・チードルさんで、マイルスを演じながらの初監督作品です。演奏が使われているわけではないでしょうが、トランペットの特訓も受けたらしく、かなり力の入った演技でした。

監督:ドン・チードル

1970年代後半のニューヨーク。長らく音楽活動を休止中のマイルスの自宅に、カムバック記事を書こうと記者デイヴが押しかけてくる。しかし、創作上のミューズでもあった元妻フランシスとの苦い思い出にも囚われ、キャリア終焉の危機に瀕していた。デイヴと行動を共にするうちに、悪辣な音楽プロデューサーに大切なマスターテープを盗まれたマイルスは、怒りに駆られて危険なチェイスに身を投じていく。(公式サイト

マイルスに思い入れが強かったり、その人生をよく知っている人には違和感が強いかもしれませんね。

でも、映画としては面白かったです。

ブランクの主な理由を元妻フランシスとの別れにおいており、二人の出会いから別れまでの物語と5年間のブランクである現在とを交互に、あるいはフラッシュバック風に編集するなど、結構うまく具合に語られていたと思います。

サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム+2

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このアルバムジャケットがフランシス・テーラーさんです。映画では、エマヤツィ・コリネアルディさんという方が演じていました。似た雰囲気の俳優さんを選んだのでしょう。

現在のシーンでは、音楽記者デイヴにユアン・マクレガーさんを配役していましたが、この二人、マイルスとデイヴの掛け合いがコメディ一歩手前くらいの感じで物語を引っ張っていく力になっています。バディ・ムービーを意識して作ったんだと思います。

音楽面では、ほぼ全編マイルスの音楽がフィーチャーされていました。マイルスの音楽は、というよりジャズはですかね、映画に合います。

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ラストのライブ演奏では、私には分からなかったのですが、ウェイン・ショーターやハービー・ハンコックがドン・チードル演じるマイルスとともに演奏していたとのことです。あのトランペットは誰が吹いていたんでしょう? まさか、ドン・チードルさんということはないでしょう。

そう言えば、デイブとの会話だったと思いますが、自分の音楽を「ジャズ」と呼ぶな、「ソーシャル・ミュージック」だ、と言っていましたが、あれ、本人の言葉なんでしょうか? 日本語的印象ではずいぶん軽く感じますがどうなんでしょう?

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