優れた映像センスと物足りない物語性 バルト三国のうち、最も南の国リトアニアの映画です。時代はソ連から独立を果たした直後の1992年、およそ30年前の物語です。ややとりとめのないところもありますが、映像が特徴的で興味深い映画です。MOTHERLAND / 監督:トーマス・ヴェングリスネタバレあらすじ物語の時代背景...
このキャスティングなのに突然2年後に公開する意味は? せっかくジェシカ・チャステイン、アン・ハサウェイという二人のアカデミー賞俳優をダブル主演で使っているんですからもっと深い心理描写のある映画にしないともったいないですね。これですと単にサイコパスの犯罪映画です。隣人たち / 監督:ブノワ・ドゥロームネタバレあらすじ...
信念を貫いた建築家の孤独、が描かれていればいいんだが… 新凱旋門(グランダルシュ)建設における建築家の挫折が描かれています。ステファン・ドゥムースティエ監督はその建築家ヨハン・オットー・フォン・スプレッケルセンを信念を貫き通そうとしたがゆえの悲劇と捉えているようです。新凱旋門物語 / 監督:ステファン・ドゥムースティエネタ...
凍りつくほどのホラー度もないチルド・ホラーということか 映画レーベル「NOTHING NEW」や「NN4444」のネーミングを見てなんだろうと思い、今年2026年のベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品されて国際映画批評家連盟賞を受賞しているということで、ホラーかあ…と思いながらも見てみましたら、ん〜。チルド / 監督:岩崎裕介...
ガス・ヴァン・サント監督はこの事件の、あるいはこの人物の何に惹かれて映画化したんでしょう 50年前の1977年にアメリカで起きた人質事件を再現したような映画なんですが、ガス・ヴァン・サント監督はこの事件の何に興味を持ち、どこに現代性を感じたんでしょうね。私にはまったくわかりませんのでおそらくアメリカ独特の何かがあるのでしょう。デッ...
ゴダール監督の即興性、偶然性を60数年後の技術で完コピすることの意味はどこにある? リチャード・リンクレイター監督が「勝手にしやがれ」撮影中の1959年に舞い降りて、ジャン=リュック・ゴダール監督を撮ったような映画です。言うなればメイキングの再現フィルムみたいなもの、そこから何を感じるかはヌーヴェルヴァーグという言葉を聞いて何を思うかで大きく変わる映画です...
ラミアがケーキ材料を求めて奔走する姿はキアロスタミ監督の「友だちのうちはどこ?」を思い起こさせる この映画、面白いですね。女の子が頬にクリームをつけながら一所懸命ケーキを作る話かと思いましたらとんでもなかったです。そりゃそうですよね、なにせ1990年代のイラクと言えば湾岸戦争の戦時下ですし、大統領というのはサダム・フセインですからね。...
在日コリアン一家、父と娘のアイデンティティのゆらぎ 在日コリアン一家のアイデンティティのゆらぎが丁寧に描かれています。言葉にするにはセンシティブなことも多いこのテーマですのでかなり抑えめにつくられている印象です。トロフィー / 監督:孫明雅ネタバレあらすじ朝鮮学校の中級(中学)に通うソヒ(恒那)と朝鮮初級学校の校長...
男の未練を愛というのなら、それは愛の残滓… 「ゴッドランド」のフリーヌル・パルマソン監督、アイスランドの映画です。始まってしばらくは断片的なシーンが続き、なんだろう、これは? と観ていますとだんだん面白くなってきます。有害な男性性を描いているのかなと観ていたんですが、おそらくそれは結果ですね。きれっぱしの愛 / 監督:フリーヌル・...
原作の京極夏彦著『死ねばいいのに』を読めばいい 亜佐美を殺したのは誰だ?のミステリーでもなく、お前(映子)は何者!のサスペンスでもなく、ほぼ一対一の会話で構成されているのに会話劇でもなく(理由は後述…)、弁護士がやたら頑張っているのにリーガルドラマでもなく、この映画は一体何なのだ(笑)。死ねばいいのに / 監督:金井純一ネ...
サバイバル設定を取り除けば青年版「スタンド・バイ・ミー」みたいなもの ひとりしか生き残れないデスレースなのにむちゃくちゃ熱い友情物語でした。ロングウォーク / 監督:フランシス・ローレンスネタバレあらすじマジ、死のウォーキングだったこのプロットがすごいですね。ルール:時速4.8キロをキープすること...
2015年のシリア、泥沼化した内戦の戦禍を逃れて脱出する医師の物語を軸にした5つの物語の連作劇 2015年のシリア、泥沼化した内戦の戦禍を逃れて国外へ脱出しようとする医師の物語を軸に他の4つの物語が交錯する映画です。ですので群像劇というよりも連作劇のつくりです。ドキュメンタリー風の撮影手法が使われていますが、観る者の感情を揺さぶろうとの意志が強く感じられる...
𠮷田恵輔監督、相変わらずうまいんですが人物に余白がないかな 𠮷田恵輔(吉田恵輔)監督、相変わらずうまいですね。「ヒメアノ~ル」からすべて観てきていますが、どの映画のレビューでも1度や2度は必ずうまいなあと書いていると思います。でもあまり好きなれないんですよね(ゴメン…)。理由は最後に書きますが、描いていることに対する監督本人の立ち位置ですかね。[t...
言葉を大切にしている原作に敬意のない映画制作者たち んー、これはそもそもの企画が間違っているんじゃないですかね。まあ想像ですが、日本でも台湾でも売りたいという企画なんでしょうが、要はキャスティングに無理があるということです。シンシン アンド ザ マウス SINSIN AND THE MOUSE / 監督:真壁幸紀ネタバレあ...
「よだかの片想い」でセンスがいいと感じた安川有果監督の「Dressing UP」を観てみた 当サイトの「よく読まれている映画」に「よだかの片想い」が上がっているのを目にし(しばらく前です…)、そう言えば安川有果監督をセンスがいいと評したことを思い出して「Dressing UP」を観てみました。ドレッシング・アップ Dressing...
とらえどころのない映画と感じるも、アナス・トマス・イェンセン監督の想定内であるようだ なんともとらえどころのない映画ですが、面白いですね。笑えるところもありますがコメディというわけでもなく、風刺的なのに何を風刺しているのかよくわかりませんし、暴力描写(そのものはない…)はかなりのものですし、そうですね、ひとことで言えばシュールな映画です。...
天野千尋監督、ついにメジャーデビューか?! 「ミセス・ノイズィ」の天野千尋監督です。2017年に中部国際空港で主婦たちが金密輸事件で逮捕された事件があったらしく、それを題材にした映画のようです。マジカル・シークレット・ツアー / 監督:天野千尋ネタバレあらすじこの事件ですね。韓国から中部空港に金塊計30キ...
言葉の沼にハマり映画の力を信じられなくなった濱口竜介監督 今年2026年のカンヌ国際映画祭でヴィルジニー・エフィラさんと岡本多緒さんが女優賞を受賞した映画です。まだひと月ほど前のことです。濱口竜介監督としては3年ぶりの最新作です。急に具合が悪くなる / 監督:濱口竜介ネタバレあらすじ率直な感想を言えば、濱口監督は映...
雄太(柄本佑)が主人公なのにそのメモリーズじゃない物語というのは… 坂⻄未郁(さかにしみいく)監督の長編デビュー作です。1992年生まれとありますので34歳くらいの方です。京都造形芸術⼤学卒業後は石井裕也監督の助監督とか、他の監督の映画ですがメイキングのカメラマンなどをやってきているとあります。メモリィズ / 監督:坂⻄未郁...
女性が持つ、あるいは女性しか持つことができない心の奥底に渦巻く表現し難い何ものか 「ビューティフル・デイ」のリン・ラムジー監督、その前の「少年は残酷な弓を射る」や「モーヴァン」も観ていますが書かなかったみたいです。その二作の映画はもうほとんど思い出せませんのでそれだけ強い印象はなかったということだと思います。かなり寡作な監督で、撮る環境が整わないのか、この...