アウシュビッツサバイバー、ヴェイユ法、欧州議会議長、女性の権利… フランスで1974年に人工妊娠中絶が合法化された、いわゆる「ヴェイユ法」の起草者のシモーヌ・ヴェイユさんの伝記映画です。その名前は、2021年のヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞受賞作「あのこと(L'evenement)」のレビューを書く際にウィキペディアなどで知った方です。...
菊地凛子さんの苦労の跡が見える…(涙) 菊池凛子さん主演の映画を初めて見ます(多分…)。過去の出演作を見てみますと何作かは見ていますが、ほとんど記憶がありません。話題になったということもあり、どうしても記憶は「バベル」までさかのぼってしまいます。監督は熊切和嘉さん、こちらもしばらく見ていないようで「武曲 MUKOKU」以来です。...
やろうとしていることはわかるが、なにか勘違いがあるようだ… ムニア・メドゥール監督の「パピチャ 未来へのランウェイ」に続く長編二作目です。主演も同じくリナ・クードリさんです。裸足になって / 監督:ムニア・メドゥール物語の説明に終始していないか…やろうとしていることはわかりますし、うまく出来ていれば感動もする物語だ...
原作は『チェスの話』で「ナチスに仕掛けた…」とのニュアンスはほとんどなさそう… オーストリアの作家シュテファン・ツヴァイクさんの『チェスの話(Schachnovelle)』の映画化です。作家としてはよく知りませんが、映画で言えば、パトリス・ルコント監督の「暮れ逢い」が『過去への旅(Widerstand der Wirklichkeit)』の映画化でしたし、...
マッドになりきれないハイジ、パロディにもならずにパクリで終わる… タイトルからしてバリバリのB級ねらいです。こういうセンスの映画には意外と掘り出し物があったりします。が…。マッド・ハイジ / 監督:ヨハネス・ハートマン、サンドロ・クロプシュタインもの足りな~い…もの足りな~い、のひとことですね。チー...
ウォン・カーウァイ臭ぷんぷんの「恋する惑星」風ドラマ、ん? パクリに近いか…。 「風の電話」以降「恋恋豆花」の予告編で見かけたくらいでどうしたんだろうと思っていたモトーラ世理奈さん、映画.comでその後の出演作を見てみてびっくり! むちゃくちゃ売れているじゃないですか?!でもあまり作品に恵まれているようにはみえないですね…(ペコリ)。[to...
このドラマをもってしか、この少年の、この感情を描けないものだろうか… 「Girl/ガール」のルーカス・ドン監督です。相変わらず際どいことをする監督です。CLOSE クロース / 監督:ルーカス・ドン少年の友情とセクシュアリティ昨年2022年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞しています。「逆転のトライアングル」がパ...
ヒロシマ・モナムール、王女メディア、そして母親とは何者か… 昨年2022年のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞の審査員グランプリを受賞しています。現在、この映画の公開に合わせてアリス・ディオップ監督が来日されており、前作のドキュメンタリー「私たち」も上映されるようです。サントメール ある被告 / 監督:アリス・ディオップ母親と...
センスと技術力は感じるが、またも物語は語れても物語を生み出せない日本映画の現状の一作か… 劇場公開時、見逃していますのでDVDです。監督、脚本は土井笑生さん、商業デビュー作とのことです。出演は倉悠貴さんと見上愛さん、どちらも初めて見ます。衝動 / 監督:土井笑生2020年の青春残酷物語2020年東京渋谷、名前を失っ...
ウクライナ、ポーランド、ユダヤの三家族、三人の子どもたちが歴史の波に翻弄される クリスマスキャロルの定番とも言える「キャロル・オブ・ザ・ベル」は「シェドリック(Shchedryk)」というウクライナ民謡をもとにした曲に英語の歌詞がつけられたものだそうです。その「キャロル・オブ・ザ・ベル」が1939年からの戦火の下でしあわせを呼ぶ(はずの…)曲として象徴的に...
前半の良さを後半が台無しに。主演の花瀬琴音さんを生かしきれず、パターンドラマに終わる… チェコにカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭という映画祭があるとのことで、この「遠いところ」は、昨年2022年のコンペティション部門に出品されたとあります。かなり大規模な映画祭です。この作品の受賞はなかったようですが、過去のグランプリ受賞作を見てみましたら、見ている映画では「と...
穴から見える世界は馬鹿な男たちの争いごとであり、破壊され、人が死んでいくだけの何も残さない世界 2014年7月頃のウクライナ東部ドンバス地方の物語です。2023年の今から見ますと、どうしても現在進行中のロシア・ウクライナ戦争という視点で見てしまいますが、そこに力点が置かれた映画ではありません。映画の制作も、2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以...
原題は「Little Kingdom(小さな王国)」、邦題に惑わされず見れば寓話的か、コメディか… えらく情緒的なタイトルである上にメインビジュアルが男女の濃厚なキスシーンという映画がひっそりと公開されていました。2019年のスロバキア映画です。未来は裏切りの彼方に / 監督:ペテル・マガート邦題に惑わされないように…...
逆です。作り話っぽい話は作り話っぽくやらないと現実感は生まれませんよ… 「山女」のタイトルや映画.comの概要を読む限りではさすがに興味は持てませんでしたが、割といい印象が残っている「アイヌモシリ」のタイトルが目に飛び込んできましたので見てみました。山女 / 監督:福永壮志ファンタジーで描くべきじゃないの…さすがに...
前半は兄ヴィットリオへの追悼の意味合い、そして後半はピランデッロの不条理劇(小説)「釘」の映画化です 監督のパオロ・タヴィアーニさんは長くタヴィアーニ兄弟監督として活躍されてきた弟さんの方で、兄ヴィットリオ・タヴィアーニさんは2018年に88歳で亡くなられています。記憶のあるところ(内容には記憶がないが…)では、兄弟監督として撮った「塀の中のジュリ...
タクシードライバー系? カジノもの? いやいやピュア・ラブストーリーでした いまだに「タクシードライバー」や「ポール・シュレイダー × マーティン・スコセッシ」で売らなくちゃいけないというのはどうなんだろう、などと思いながら見に行きましたら…いやいや、結構面白かったですし、びっくりしました(笑)。カード・カウンター / 監...
アンドレア・ライズボローの演技は評価されるべきもののスウィーニーのいい人ぶりと地域コミュニティの暴力性が気になる… アルコール依存症の女性が心やさしき男性の助けで再起するという話です。現実感はありませんが過剰さがなく見やすい映画です。主演のアンドレア・ライズボローさんが今年2023年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされています。受賞したのは「エブリシン...
新人俳優ジュリー・ルドリューがノンバイナリー的存在感を放つニューシネマ クロスビトゥームという、バイクの前輪を上げて走るなどアクロバティックな乗り方で公道を疾走するバイカーたちの話です。ただし、それはあくまでも背景であって、映画のポイントはその集団の中に自らの居場所を見つけようとするひとりの女性(あえてこう書くが、実は違う…)の物語です。...
リーアム・ニーソンに古典的な男性像タフでダンディなハードボイルド・ヒーローはあうのだろうか… リーアム・ニーソンさん、出演作100本ですか、すごいですね。すべてが主演というわけではありませんが、単純に1年に2本撮ったとして50年です。ああ、デビューから45年らしいです。ただ、この古典的な探偵ものフィリップ・マーロウはリーアム・ニーソンさんに合います...
ドキュメンタリー監督らしいじわーと効いてくる映画だが、公開のタイミングを逸している… ニューヨーク・タイムズがアメリカの映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクシュアル・ハラスメントに関する告発記事を発表したのが2017年10月5日、それを契機に世界中で「#MeToo運動」が巻き起こりました。もちろん現在進行中でもあります。この映画は、...