なれなかったのではなく、なりたくなかったボクたちの25年 ああ、これが2020年の日本なんだなあとつくづく感慨にふけざるを得ないような映画です。ボクたちはみんな大人になれなかった / 監督:森義仁残るのは虚しさだけ佐藤、加藤に会う佐藤、テレビ局の下請け仕事に就く佐藤と加藤、ラブホテルへいく普通が嫌いな加藤突然の別れ恋愛ドラマではなく、...
ダークファンタジーというよりもジェントリーファンタジー マッテオ・ガローネ監督は、自然主義的な社会派ドラマとファンタジーものを交互に撮るつもりなんでしょうか。「ゴモラ」「五日物語 3つの王国と3人の女」「ドッグマン」、そしてこの「ほんとうのピノッキオ」です。ほんとうのピノッキオ / 監督:マッテオ・ガローネ子ども向けなのか、大人向けなのか?人形...
言いたいことが言えない生活を想像できますか? つい先日見た「旅立つ息子へ」が自閉スペクトラム症の青年と父親の映画でした。その際いくつか自閉スペクトラム症に関連するサイトを読んだことがこの映画を見たきっかけです。僕が跳びはねる理由 / 監督:ジェリー・ロスウェル東田直樹さん 自閉症者の見る世界を映像化しようとしているようだが… 5人の自閉症の子ども...
あらすじのない絶望的な33シーンのエンドレス映画 ロイ・アンダーソン監督、「さよなら、人類」を見たと思っていましたが、何度も見せられた予告編のせいでそう思い込んだだけのようです。今も予告編を見て、ああ、見た、見たと思いましたが、他のシーンがまったく浮かんできません(笑)。ということで初めてのロイ・アンダーソン監督です。ホモ・サピエンスの涙 / 監督:ロイ・...
芦田愛菜の演技と大森立嗣監督の演出で日日是好日以来の秀作に! 大森立嗣監督というのは(私には)とても不思議な監督で、前作の「MOTHER マザー」でも散々に書きながらなぜか見に行ってしまうという監督です。なにか感じるところがあるからだとは思いますが、それにしても、これも毎回書いていることですが出来不出来の落差が激しい監督です。この映画はよかったです(笑)。...
ロメールっぽさを使ったアイラ・サックス監督の世界かも 映画のつくりがロメールっぽいなあと思いながら見ていましたので、帰り道、さっそく映画のタイトルとロメールでググりましたらやっぱりかなりヒットします。それにアイラ・サックス監督本人が「ロメールを研究した」と語ったかのような記述もあります。ポルトガル、夏の終わり / 監督:アイラ・サックスインタビューがな...
カンボジアの14歳の少年、奴隷船から生還する 配給がイオンエンターテイメントですと郊外にしかないイオンシネマまで足を運ばなくてはいけないという残念なことになります。しかし、これはいい映画でよかったです。ミニシアターでやれば(東京だけではなく)もう少し注目度も上がったのではないかと思います。ボヤンシー 眼差しの向こうに / 監督:ロッド・ラスジェンカ...
行動せよと促すサイコマジックはコロナ後の世界に必要なことかも… サイコセラピー(心理療法)と言いますと、映画でもそうしたシーンを見ることがありますが、治療を受ける患者が寝椅子に横たわり、セラピストからの問いかけに答えていくスタイルが思い浮かびます。この映画のなかでも言われていますが、その療法は言葉のやり取りだけでセラピストと患者が接触するということはないようです。...
ナタリー・ポートマンがマドンナ、レディ・ガガになる 面白い映画でした。ただ、映画そのものが面白いということではなく、この映画、何をやろうとしているんだろう? と考えながら見ていましたら、最後まで集中してみられたという意味です(笑)。ポップスター / 監督:ブラッディ・コーベットとにかく、つくりが最初から最後まであざとく感じられるんですが、それがひょっ...
北欧の妖精トロールをめぐるダーク・ファンタジー 「ぼくのエリ 200歳の少女」を前面に出した宣伝がされていますが、それ系ファンタジーを期待していきますと、ちょっと戸惑うかもしれません。ファンタジーはファンタジーでも、視覚的にも内容的にも、こちらはかなりダークです。もっとも、「ぼくのエリ」にしても本質的にはダークな映画ではありますが。ボーダー 二つの世界 /...
奥山大史監督、サンセバスチャン国際映画祭新人監督賞受賞作 奥山大史(ひろし)監督、現在23歳、この映画を撮ったのは青山学院大学(映画美?)の卒業制作だそうです。それにしてもびっくりするくらい映画がまとまっています。若いのに老成という言葉まで浮かんできます。僕はイエス様が嫌い / 監督:奥山大史フィックスが多いせいもありますが画が上品ですし光の使い方もう...
東西ドイツの分断は人の心も引き裂く 監督はラース・クラウメさん、前作は「アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男」という、ドイツの検事長フリッツ・バウアーがアイヒマンを追い詰める過程を描いた映画でした。今作はベルリンの壁が建設される少し前の東ドイツの物語です。IMDbによれば、イタリアで生まれ、フランクフルトで育ち、「the German Film and T...
ヌレエフ亡命のラストシーンは見ごたえがあります ルドルフ・ヌレエフ。バレエ好きでなくとも、映画や舞台などアート系の情報に目を通していれば、必ず目にしている名前だと思います。というよりも、映画ファンであれば、「愛と哀しみのボレロ」のジョルジュ・ドンが演じたセルゲイのモデルといったほうが早いかもしれません。ホワイト・クロウ 伝説のダンサー / 監督:レイフ・フ...
18世紀のポルトと2021年の浜松、同じプロットの悲恋物語だが… 舩橋淳監督と言えば「谷中暮色」の監督ですね。 谷中という街の持つ雰囲気もあってか、不思議と印象に残っている映画です。不思議というのは、映画の完成度としてはさほどでもなかったのに何とはなく良かったという意味合いです(笑)。公式サイト 監督/舩橋淳あの映画はENBUゼミナールの俳優コースの卒...
フレディ・マーキュリーの伝記的音楽映画、音楽に感動するもドラマは? 「音楽映画に失敗はない」を地で行ったような映画です。ただ、この言葉、私が言っているだけですけどね(笑)。クイーンのフレディ・マーキュリーの伝記映画と言っていいと思いますが、とにかく、音楽がいいというだけで映画として成立しています。公式サイト / 監督:ブライアン・シンガー正式公開日は今日...
終末系ビジュアルの中で描かれる純愛もの、ただ既視感は強し タイトルをちらっと見て「ホステル」? と、見てはいないのにタイトルだけ記憶しているホラー映画が浮かんだのですが、そうではなく「ホスティル」でした。「敵意のある」といった意味のようです。伝染病(と公式サイトにはある)によりほとんどの人類が死滅した世界を舞台にしており、クリーチャーに変貌した人間の「敵意」を現し...
「母をたずねて三千里」かと思いきや、探すべきは父だった ♫ ポンチョに夜明けの風はらませて~、って「母をたずねて三千里」ですか? と思いながら公式サイトなど見ていましたら、青春覚醒ロードムービーなんてそそられるコピーもあり、太賀くんや染谷くんも出ていますし、ということで見てみました。廣原暁(ひろはらさとる)監督、まだ31歳なんですね。2010年に、東京藝術大学でし...
フランス製グラフィックノベル(漫画?)の映画化 プレルジョカージュさんが映画監督!?と驚きと期待を持って見た映画です。アンジュラン・プレルジョカージュさんは、フランスのコンテンポラリーダンスの振付家で自身のカンパニーも持っている方です。もう30年くらい前になりますが、初めてプレルジョカージュさんの作品「肉体のリキュール」を見た時のインパクトと感動は今でも記憶して...
ポルトガルの古都ポルトの(特に夜の)街並みが美しい 監督のゲイブ・クリンガーさんは、「大学で映画学を教え批評家としても活躍するブラジル出身の新鋭。処女作でヴェネチア国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞を受賞、本作は長編劇映画初挑戦ながら、ジム・ジャームッシュがその稀有な才能に惚れこみ、製作総指揮を名乗り出た。(公式サイト)」という方です。で、映画はと言いますと、男と...
アメリカ人にはこれが典型的なフランス人なのかな? 監督のエレノア・コッポラさんは、その名前のとおりフランシス・フォード・コッポラさんの妻、そしてソフィア・コッポラさんのお母さんになります。映画界でのという意味ではその存在を知りませんでしたが、「地獄の黙示録」の制作現場の裏側を撮影したドキュメンタリー「ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録」でエミー賞を受賞して...