何かが起きる、何かが起きる…そう思うあなたはドラマ病… フィリピンのブリランテ・メンドーサ監督です。過去に「ローサは密告された」とイザベル・ユペールさんが出演している「囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件」を見ている監督です。2009年の「キナタイ マニラ・アンダーグラウンド」ではカンヌ国際映画祭で監督賞を、そして「ローサは密告された」では主演女優賞を...
音楽映画なのに、物語に音楽が絡んでこないもどかしさ… 岩井俊二監督の映画を見るのは、初期の「Love Letter」「PiCNiC」「スワロウテイル」以降、2020年の「ラストレター」までその間がすっぽり抜けています。そのせいもあるのか「ラストレター」では「Love Letter」とつながってしまい「構成力はさすがです。が、今だにこんなに叙情的、かつ感傷的...
ウクライナ、ポーランド、ユダヤの三家族、三人の子どもたちが歴史の波に翻弄される クリスマスキャロルの定番とも言える「キャロル・オブ・ザ・ベル」は「シェドリック(Shchedryk)」というウクライナ民謡をもとにした曲に英語の歌詞がつけられたものだそうです。その「キャロル・オブ・ザ・ベル」が1939年からの戦火の下でしあわせを呼ぶ(はずの…)曲として象徴的に...
カンヌが映画を忘れた… 昨年2022年のカンヌ国際映画祭のパルムドール受賞作です(ホントに?)。リューベン・オストルンド監督は、前作の「ザ・スクエア 思いやりの聖域」で同じくカンヌのパルムドール、前々作の「フレンチアルプスで起きたこと」で2014年のカンヌ「ある視点」部門の審査員賞を受賞しています。思わず昨年の審査委員が誰かを調べてしまいました。審...
夫ピエールとの愛、ジェンダー不平等社会、科学の功罪、3つの視点 なぜノーベル賞ウィーク(発表)にあわせて公開しないのかなあと思いましたら、東京じゃ10月14日が劇場公開日だったようです。ただ、発表はその前の週に終わっていますので、そもそもあまり意識されていないのかもしれません。某地域では今日(書き終えたら昨日になってしまった)が2週間遅れの公開日でした。...
ネグレクトの決断、地上に満天の星を見ようとする話ではないのに… ニューヨークの地下には下水道や地下鉄のトンネル内で暮らす人々がいた(いる?)そうです。その母娘の話です。監督はこれが長編デビューとなるセリーヌ・ヘルドさんとローガン・ジョージさんのふたり、連名です。きっと地上には満天の星 / 監督:セリーヌ・ヘルド&ローガン・ジョージ...
脚本家渡辺あやの青春は挫折の記憶か?そしてノスタルジー 「ワンダーウォール 劇場版」に出演していた須藤蓮さんの初監督作品です。脚本は渡辺あやさん、「ワンダーウォール」の脚本も渡辺さんですのでその縁のようです。逆光 / 監督:須藤蓮渡辺あや、須藤蓮渡辺あやさんも須藤蓮さんもどんな方かはっきりとは認識できていませんので...
1300kmのローカルバスの旅、果たしてその目的は… 公式サイトの宣伝コピーに「数々の映画祭での受賞・ノミネート歴を誇る名監督として評価されるギリーズ・マッキノン監督」というものがあり、え? まったく知らない監督だぁ…と過去のタイトルを見てみましたが、やはりどのタイトルも見た記憶のない監督でした。現在74歳、スコットランドの監督で「ウイスキーと2人...
原作とは違い、男たちの青春ものになってしまった(涙) 柴崎友香さんの『きょうのできごと、十年後』を読み、おもしろかったので、それがデビュー作の続編であることも知らなかったそのデビュー作『きょうのできごと』を読み、そのデビュー作が行定勲監督によって映画化されていることを知り、DVDで見てみました。きょうのできごと a day on ...
ゴゴベリゼ監督自身が過去の思いと折り合いをつける映画か… ジョージアのラナ・ゴゴベリゼ監督の2019年の映画です。現在93歳とのことです。公式サイトにはジョージアを代表する映画監督とありますが、この「金の糸」の前は1992年の「ペチョラのワルツ(Valsi Pechoraze)」という映画が最後であり、ちょうどジョージアが1991年のソ連邦解体後に独立して...
ゴッドファーザーに囚われ続けるマフィアもの いわゆるマフィアものの映画でかなり渋くつくられていますので、そこそこ見ごたえはあります。ただ、人生の終わりを感じ始めた(のだと思う)大物マフィアが自分自身の生涯を語る現在とそのマフィアの過去が交錯して描かれますので、わかりにくい部分も多いですし集中しづらいところがある映画です。それにしても邦題を「ギャング...
吉野竜平監督の構成力と佐久間由衣、奈緒の俳優力が光る 原作の津村記久子著『君は永遠にそいつらより若い』を読んでいなければ見なかったかも知れない映画、見てよかったです。俳優よし、構成よしの映画らしい映画でした。君は永遠にそいつらより若い / 監督:吉野竜平吉野竜平監督の構成力が素晴らしい人物にバックボーンが感じられるネタバレあらすじホリガイさ...
映画菅田将暉、高畑充希共演を期待したのにお茶くみだけだった これまでですとDVDでは見るにしても公開日に劇場へ足を運ぶような映画ではないのですが、菅田将暉さんと高畑充希さんの共演であればと早速見に行きました。それに、新型コロナウイルスのせいで製作される映画も少なくなっているのか、特に海外からはあまり映画が入ってこなくなっているような気がします。見たいと思う映画が少...
映画の技法を学ぶべき、記憶の技法は明らかにならず 「記憶の技法」という一風変わった言葉のつなぎに目がとまり、宣伝コピーの「孤高のカリスマ漫画家、吉野朔実作品の初映画化」で興味をそそられ、監督:池田千尋で見てみるかとなった映画です。記憶の技法 / 監督:池田千尋漫画は読みません(読めません)ので原作がどうであるかはまったくわかりませんが、映画には「記憶の...
ボーイズラブは純愛の幻を見る 最近では映画を見ますと、これを女性で描いたらどうなるんだろうとか男性で描いたらどうなるだろう?と必ず考えてしまうようになっており(笑)、この映画でも今ヶ瀬を女性で描いたらどうなるだろう?と考えてみましたら、修羅場だ!となる凄い映画でした(笑)。窮鼠はチーズの夢を見る / 監督:行定勲しかし、映画はまったく修羅場になどな...
この一昔前感はふくだももこのもの?向井康介のもの? ふくだももこさんという名前、なにで見たのかなあ?と記憶をたどってみましたら「おいしい家族」を見ようか見まいかと迷った時でした。結局見なかったのですが、今回は松本穂香さんと脚本の向井康介さんの名前が目に入り見ることにしました。君が世界のはじまり / 監督:ふくだももこ松本穂香さんは「わたしは光をにぎっ...
(完全?ネタバレ感想)常人には理解不能のミステリー イタリア、アルプスの山間の町で起きた少女失踪事件をめぐるミステリーです。トニ・セルヴィッロさんとジャン・レノさんの共演が売りの映画かと思います。監督はこの映画の原作者でもあるミステリー作家のドナート・カリシさん、初監督作品とのことです。霧の中の少女 / 監督:ドナート・カリシもし原作がミステリー小説...
(DVD)池松壮亮の時代劇はいけるかも。蒼井優は現実的すぎるかな。 自主制作スタイルを貫いて、ということにこだわっているのかどうかはわかりませんが、およそ30年、そのスタイルで20本近くの映画を撮り続けているわけですから、ほんとにすごいことです。海外での評価が高いということがモチベーションになっているのでしょう。ヴェネツィア映画祭との関係が深いようで、この「斬、」...
グリーンランド、人口80人の村の実在の人々が演じるドラマ グリーンランドの物語です。といっても、そもそものグリーンランドの位置をイメージしようとしても、北欧の…アイスランドの…と、(私は)その程度の曖昧さで終わってしまいます。その意味では、こういう映画は、それを機にいろいろ調べたりすることを含めて、知らないことを知るいいきっかけになるかと思います。北の果て...
巨大スーパーマーケットの通路に東西ドイツ統一後の人々の悲哀が満ちている 希望の灯り? 似たようなタイトルの映画、あったよなあ…。ああ、アキ・カウリスマキ監督の「街のあかり」「希望のかなた」だ。って、これはひょっとして配給の戦略(笑)?まあ、原作が収録されている短編集のタイトルが『夜と灯りと』だからということもあるのでしょうが、タイトルだけではなく、台詞や編集の間合...