ソニア・ヴィーゲット復権のノルウェー国内向けの映画 いくら日本人がナチス絡みの映画を好きだからといってもこの映画は日本じゃ無理でしょう。「第二次世界大戦中、ナチス占領下のノルウェー。女優として活躍しながらスパイとしてナチスに潜入した女性の驚愕の実話。 激動の時代を生き抜いたソニア・ヴィーゲットの真実の物語。」という映画です。ソニア ナチスの女スパイ / 監...
逃避行ものなのに「僕たちには明日は続く」 男女の逃避行ものと言えば「俺たちに明日はない」に勝るものはありません。と、言い切ることに異論のある方はいないと思いますが(笑)、果たして「ソワレ」は現代の「俺たちに明日はない」になったのでしょうか。ソワレ / 監督:外山文治んー、ラスト、そこへ行くんかい…(涙)。まあオチのつけかたが現代的といえば現代的で...
子育て映画ではなく、家族主義的感動(させたい)映画だった 山田孝之さんがシングルファーザー? ってことで見てきました。ステップ / 監督:飯塚健始まってしばらくは、少しふっくらした印象もあり、へぇー、こういう役もいけるんだと見ていたんですが、映画が進むにしたがって、でも待てよ、この俳優さん、風変わりな役柄でもバタバタしないし崩れないタイプだよなあとい...
「銃」2018版のリベンジ版かと期待したのにコメディでした(笑) 「銃」で失敗したのでリベンジ版の「銃2020」かと思いましたら、まったくもって同じ程度に映画になっていない映画でした。と言うよりも吉本興業の芸人救済映画なのかもしれません。銃2020 / 監督:武正晴それにしてもわずか2年の間に同じような企画の映画を作るくらいですから、よほど原作の『銃...
グレタ・ガーウィグ監督の自由な価値観があふれる 四姉妹の台詞のアンサンブルがすごいです!グレタ・ガーウィグ監督(脚本も)の才能が爆発しています。それにキャスティングもすごいです。ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語 / 監督:グレタ・ガーウィク始まってしばらくは混乱するかもしれません。なにせ四姉妹の2つの時代が同じキャスティングで入り乱れ...
ラストはどちらに取るにしても衝撃的。怖さだけが残らなければいいが… ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督、ほぼ3年に1本というペースが守られています。映画制作のプロセスが3年で出来上がっているんでしょうか、今回も2016年の「午後8時の訪問者」に続いての「その手に触れるまで Le jeune Ahmed(Young Ahmed)」です。この兄弟監督、初期...
男系幻想とジェンダー、セクシュアリティ、宗教、家族再生幻想 「シェイクスピアの庭」なんていうタイトルから、シェイクスピア(以下、ウィリアム)が田舎へ戻り穏やかな余生を過ごす話かと思っていましたら、とんでもない、シェイクスピア一家の結構シビアな愛憎物語でした。もちろんフィクションですが、ウィリアム本人にとってはかなり衝撃的な秘密が明らかになりますので、「シェイクスピ...
ノスタルジックな映像と余韻ある俳優の演技の調和 1980年代が舞台のベトナム映画です。ベトナムの1980年代といいいますと、ベトナム戦争は1975年に終結しているのですが、その後もカンボジアでの覇権争いや中国との戦争があり、安定の兆しが見え始めるのは1990年以降ですので、政治的にも経済的にも大変な時代だったと思います。ドイモイ政策が始まるのも1986年です。た...
グザヴィエ・ドランの転換点となるか グザヴィエ・ドラン監督にとって、母親との関係は永遠のテーマなんでしょう。デビュー作の「マイ・マザー(英題:I Killed My Mother)」に始まり、「Mommy/マミー」というそのものスバリのタイトルもありますし、その他ほとんどの作品に母親の影がちらついています。ジョン・F・ドノヴァンの死と生 / 監督:グザヴィ...
ジュディ・ガーランドの最後のロンドン公演を描く 名前はよく耳にするのに、具体的にはどんな人かも、顔さえも知らない有名人というのが結構います。ジュディ・ガーランドさんもそうで、「オズの魔法使い」のドロシーの人ということとライザ・ミネリのお母さんということくらいしか思い浮かびません。そのジュディ・ガーランドさんの亡くなる直前の半年くらいを描いた映画です。演じたレニー・...
五体投地のシーンが少ないのは残念、基本は親子ものでした チベット仏教の巡礼といえば「五体投地」です。「ラサへの歩き方 祈りの2400km」で知りました。無茶苦茶いい映画でした。もう一度見たいです。これもそういう映画かなと思いましたがちょっと違っていました。巡礼の約束 / 監督:ソンタルジャ物語の背景や契機となるのはラサへの巡礼ですが、映画のテーマは親...
コメディタッチのダンス&音楽映画でありながら背景はシリアス 映画関係のサイトを見たりしていますと、わりとよく「サニー 永遠の仲間たち」の文字を目にします。見てはいないのですが、そのカン・ヒョンチョル監督の映画ということで興味を持った「スウィング・キッズ」、タイトルやビジュアルからも音楽&ダンス映画だと思われ、おそらくハズレはないでしょう。スウィング・キッズ ...
人は記憶を失えば他者と世界を共有できない、しかし… つい3ヶ月ほど前に「わたしは光をにぎっている」を見たばかりの中川龍太郎監督の「静かな雨」です。原作ものは初めてとありますのでおそらくオファーがあったのでしょう。静かな雨 (文春文庫)作者:宮下 奈都出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2019/06/06メディア: 文庫 映画を見て...
ヒトラーが吹っ飛ぶ寓話的なヒューマンドラマ ナチスを題材にしてコメディ映画を撮るとすれば、それがいいことかどうかは別にしますとヒトラーを茶化すことが一番に思いつきそうですし、そんな映画があったようにも思います。しかし、この「ジョジョ・ラビット」は、そうしたシニカルな手法をとらず、主人公に10歳の少年をおいて寓話的なヒューマンドラマに仕上げています。原作があるよう...
ベトナムの活力を感じる映画 こういう映画が作られるということはその国に活力があるということでしょう。予告編をみていましたら「1969年 サイゴン、アオザイ屋の娘ニュイはサイゴンいちのファッションリーダー!」などと始まります。え!? 1969年? ベトナム戦争は…? と、一瞬声を失くしてしまうような語りに、これはいったいどういうこと? 是非とも見に行かなくてはとい...
笑いと差別は紙一重…かな? 一作目の「ゾンビランド」の成功の後、かなり早い段階から続編の話が出ていたように思いますが、やっと「ゾンビランド ダブルタップ」登場です。ゾンビ好きというわけではありませんが、こういうただひたすら理屈を超えた展開のおバカ映画は大好きです(笑)。言わずもがなですが、何かを語るような映画ではありませんので、以下、感想程度です。ダブルタップは...
この閉ざされた世界から抜け出す先もまた国境に閉ざされた町 「象は静かに座っている」上映時間234分ですからほぼ4時間の映画です。監督のフー・ボーさんは、この映画がベルリン国際映画祭のフォーラム部門でプレミア上映された昨年2018年2月16日から遡ることおよそ4ヶ月前の2017年10月12日に自ら命を断っています。その理由をウィキペディアは「his death w...
マッサージパーラーの受付嬢は何の夢を見たか? 何、このやる気(売る気)のない邦題!? と逆に興味を持った映画です。え? じゃあ成功してるじゃない(笑)。「The Receptionist」引用した画像の真ん中の女性がその「受付」の仕事をしているということで、何の店かと言いますと、マッサージパーラー、その実、性風俗店ということです。ザ・レセプショニスト /...
カトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュであればこその映画 是枝裕和監督のパルムドール受賞後第一作です。引用の画像を見てのとおり、俳優はカトリーヌ・ドヌーブ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークという国際的スター、そして、IMDbを見た限りおもだったスタッフに日本人は入っていないようです。もともと是枝監督は台詞を大切にする監督だと思いますが、さらにこ...
ホアキン・フェニックスの代表作となるか? 多分なる。 今年2019年ベネチア国際映画祭の金獅子賞受賞作品です。とにかく、ホアキン・フェニックスがすごい! につきる映画です。ほぼ一人芝居です。ジョーカー / 監督:トッド・フィリップスこの映画のために24キロ減量したと言われていますが、掛け値なしのその通りで誰だかわからないくらいです。その姿を見せる画...