ジョージ・クルーニー監督の真面目さはこういう映画には向かない(気がする) 脚本にジョージ・クルーニーとコーエン兄弟がクレジットされていますのでどういうことだろうと思いましたら、もともとコーエン兄弟の脚本があり(ウィキペディアでは1986年)、まあ言ってみればお蔵入りしていたものをジョージ・クルーニーが手を加えて映画化したということらしいです。率直なところ、お蔵入り...
批評的であることはいいけれど、心優しき映画ではないですね この映画をひとことで言いますと、見ながら「ハイ、ハイ」「ハイ、ハイ」とついつい口をついて出てしまう映画です(笑)。前作「フレンチアルプスで起きたこと」を見ての、私が感じるこの監督の立ち位置と、この映画の予告編を見ての予想で、見なくてもいいんじゃないと思っていたのですが、気に入りそうな映画ばかり見ていても視野...
男の過ぎ去った青春妄想映画だが、あえてお勧めする あまりのメロドラマに、涙と笑いが同時に起きてしまいビックリ!はたしてこの映画はお勧めすべき映画なのかと迷うような(?)よくできた映画でした。とりあえずは素直におすすめ映画にピックアップしておきます(笑)。 ただし、内容は女性の人格を無視した男の妄想映画ですのでご注意。監督は、半年くらい前に「ギフテッド gift...
きれいごと過ぎない? 彩乃(佐々木心音)がいいです。 ほとんど何も知らずに、瀬々敬久監督の名前で見に行ったところ、異常におじさん比率が高く、といっても自分もそのうちのひとりに数えられそうですが、それはともかく、一体何だったんでしょう?もしや「紗倉まな」さんファン? と、今、公式サイトを見ながら思ったわけです。それが確かかどうかはわかりませんが、紗倉まなさんという...
老いたエレ・マリャの表情とシワに数十年の思いを感じる ラップランドは、映画の舞台になったりしますし、割と耳にする言葉、地域なんですが、サーミ人というもともと遊牧を主とする先住民が暮らしていた地域を指す言葉なんですね。ただ、『ラップランドという呼称が本来、"辺境"の地を指す蔑称』でもあるので注意が必要とのことです。で、1930年代にスウェーデンが行っていたサーミ人の...
観念が先走っては映画にならない 観念的に作り上げられた映画ですね。テーマがあって、それをどう表現するかと書き上げられた脚本、映画ということです。一概に悪いというわけではないでしょうが、難しいでしょう。特にこういう犯罪ものは観念だけでは成り立たないですよ。むしろリアリティにこだわり抜いた中から何かしら人間存在自体に関わるような、それこそ真理みたいなものがみえて...
かなり新鮮ではあるが、何が伝わってくるかといえば微妙 久々に「新鮮」さを感じた映画でした。映画の舞台はインド・ムンバイですが、歌も踊りもありませんし、ベタな人情噺もありません。ああ、歌はありましたね。ただ、いわゆるボリウッド・ダンスミュージックではなく、民族楽器を伴奏にしたプロテストソングといいますか、民衆詩人のような人がメッセージ性の強い詩を朗唱するように歌っ...
著作を読んでみたくなります 「サラ、いつわりの祈り」「サラ、神に背いた少年」 「J.T.リロイ」ガス・ヴァン・サント監督の「エレファント」の脚本、そしてまた「サラ、いつわりの祈り」の原作者と言われてみれば、あの頃漠然と見知っていたかもしれないと思うほどには知っているのですが、あらためて、ああ「J.T.リロイ」とはこういうことだったのねとよくわかりました。下の写真...
アンジェイ・ワイダ監督の遺作、心に残る映画です 見終わって帰る足取りが重くなりました。これ、映画としてはもちろん褒め言葉、内容的には、何というのでしょう、むちゃくちゃ重いシーンがあるとか、ドーンと心に響く(響きますが…)とかではなく、そうですね、過去の出来事だとか、他の国のことだとかと距離を取って見られない空気を今の日本に感じるからということかもしれません...
主演のソーコ Soko がいいです。で、リリー=ローズ・デップはどうでしょう? バレエやコンテンポラリー・ダンスについては多少の知識はありますが、ロイ・フラーさんという方は知りませんでした。公式サイトに「モダン・ダンスの祖」というコピーが使われており、え? イサドラ・ダンカンじゃないの? と、やや疑問を感じたんですが、映画の中にはしっかりとイサドラ・ダンカン...
前半はややかったるいが、後半に至れば傑作! 昨年2016年のベルリンで銀熊審査員グランプリを受賞しています。今では「サラエヴォ」と聞きますと、「ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争」を思い浮かべますが、この映画は第一次大戦のきっかけとなった「サラエヴォ事件」が主なテーマです。ただ、直接的テーマはそうであっても、現在に至る(バルカン半島周辺の)人々の争い、民族、国家などな...
巨大なアナコンダのごときアマゾンを上る(下る?)神話的物語かな? 今年のアカデミー外国語映画賞にノミネートされたコロンビア映画です。監督のシーロ・ゲーラさんは、Variety誌の「2016年に注目すべき監督10人」に選ばれているそうです。これですね。10 Directors to Watch: Ciro Guerra: ‘Embrace of the Serpen...
監督は「キンキーブーツ」のジョエル・エドガートン、サイコ・スリラーより心理劇にすべきだった? 監督ジョエル・エドガートンと聞いても、何も浮かんでこなかったのですが、「キンキーブーツ」のチャーリーを演っていたオーストラリア出身の俳優さんでした。ハリウッドでもたくさん出演しているようですが、残念ながら他の映画は見ていないです。この映画が初監督作品とのことですが、脚本は...
言葉のないところに叙情的風情が生まれる。2025年、現実の世界は「世界」になる。 ジャ・ジャンクー監督が帰ってきた! そんな感じのする映画です。前作「罪の手ざわり」のレビューを読み返してみますと、ジャ・ジャンクー監督の何かが変わっていく過渡期ではないかなどと書いていますが、結局「青の稲妻」や「世界」に戻ったのでしょう。ただ、当然十年余という時間は、人も、そして国...
俳優2人の演技はともかく、30代の夫婦に起きたことを70代の老夫婦が演っているような違和感を感じます 昨年のベルリンで女優賞と男優賞を受賞しています。俳優の名前を記憶するのが苦手な方ですので、シャーロット・ランプリングさんと名前を聞いても映画が浮かんできません。ググってみましたら、ああ「リスボンに誘われて」でライムントが訪ねて行くアマデウの妹役の俳優さん! それに...
ゾンダーコマンドたちが、サウルに子どもはいないと言っていましたが、あれは何を意味しているのでしょうか? 昨年のカンヌ、グランプリ作品です。先日のアカデミー賞外国語映画賞も受賞しているようです。それもあって混んでいたんでしょうか?この映画、ゾンダーコマンドという「ナチスが選抜した、同胞であるユダヤ人の死体処理に従事する特殊部隊(公式サイト)」である主人公サウルを追っ...
安易に情緒的な親子ものに走らず、社会的矛盾を重層的に描いていて好感が持てます。 実際に起きた誘拐事件をもとに撮られた映画だそうです。確かに、エンドロールのバックで、モデルとなった実在の人たちと思われるカットか何枚か入っていました。切り替えも早かったですし、字幕を読んだりしているうちに、誰が誰とも理解できず、あの中に誘拐犯の妻にあたる人はいたのでしょうか?出演した...
もうそろそろ神は在るかなどという不毛な問いには終止符を打ちましょうよ ネットに「おそロシア」という言葉がありますが、この映画、そのまんまですね。それにしても一体いつの時代?と言いたくなるような設定で、いくら地方とはいえ、ロシアには今でもこんな地域があるのでしょうか?もちろん程度の差こそあれ、似たようなことはどの国にだってあるとは思いますが、それにしてももう少しメ...
監督自身の網膜に焼き付けられてきた残像や鼓膜に記憶されてきた残響を一本にまとめ上げたような映画 随分前に予告編を見て、これは絶対見なくっちゃと待ちに待った映画です! と言いながらも公開から一週間経っていますので、大きなことは言えません。あらら、1日1回の上映ですね。さほど入らないとふまれたのでしょうか、良い映画なだけに残念です。邦題を、原題の「A Girl Wa...
まるで写真展を見ているかのようにそれぞれのカットは素晴らしい。だが… んー、相当力が入っている感じはするのですが、何だか膜が張ったように遠い感じです。この映画が、あの「ペルシャ猫を誰も知らない 」の監督の作品だとは、にわかには信じられないくらいです。手法が全く違いますし、重厚というのか、大人すぎるというか、他の作品を見ていませんのでなんとも言えませんが、あるいはバ...