父と息子の軋轢と邂逅ではなく男たちの諦観の物語 189分、およそ3時間の映画です。前作の「雪の轍」が196分ですので、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督にはこの長さがないと語りきれないということなんでしょう。前作では人の業のようなものを延々語ったものの、最後は割と簡単に人と人がわかり会えるような結末で終えていましたが、この映画はどうなんでしょう?読まれなかった小...
筒井真理子さんよりも市川実日子さんの「よこがお」が見えてしまう 世界で認められた監督に対して失礼であることも、一観客からの余計なことであることも承知で言いますが、深田晃司監督は初心に帰るべきじゃないかと思います。よこがお / 監督:深田晃司丁寧に作られていることは認めますが、全く面白くありません。ネタが火サス的であることはまあいいとしても、なにをやろう...
鮮烈デビューの新人監督に厳しいことを書いてしまった(ペコリ) 「是枝裕和・西川美和監督が立ち上げた制作者集団「分福」が満を持して送り出す新人監督、広瀬奈々子」さんのデビュー作です。なんてこと書かなくても、多くの人がこの映画に興味を持たれたのはおそらくこのコピーからでしょう。夜明け / 監督:広瀬奈々子「分福」とはなにかの説明が公式サイトにありました。制...
アンジェラ・ユンも宵闇真珠のタイトルもいいんだけどね… この映画、その内容や出来不出来よりも、どういう経緯でこの映画ができたのかの方に興味がいっちゃいますね。公式サイト / ジェニー・シュン、クリストファー・ドイルと言いますのは、まあ、映画の出来自体はよろしくないんですが、クリストファー・ドイルさんが監督としてクレジットされていることやオダギリジョーさ...
ポーランド発、ややホラー、やや純愛、ややミュージカルなファンタジー映画 面白いのか面白くないのか、洒落ているのかダサいのか、ユニークなのかありきたりなのか、あらゆる点で判断に迷う映画です(笑)。ポーランドのアグニェシュカ・スモチンスカ監督の長編デビュー作とのことです。今ではヨーロッパで製作される映画をどの国の映画だからどうこうと語ることにあまり意味があるとも思え...
文部科学省選定映画という意味ではいい映画かも 「否定と肯定」を見た時だったと思いますが、続けざまにナチスものの予告編が流れ、正直なところ、(映画として)こういうのはもういいよと思ったそのうちの一本です。おそらく、もう1本の「ヒトラーに屈しなかった国王」は本当に見ないでしょうが、こちらは見てしまいました(笑)。見た理由は、監督が「スタンドアップ」のニキ・カーロさん...
ラスト10分のピエールの描き方が見事 この映画、ラストの数シーンが無茶苦茶いいです。その良さというのは、主人公のピエール(ニールス・シュネデール)、下の引用の人物なんですが、彼の心の揺れが映画的に実にリアルなんです。実際にありそうとか現実的という意味ではなく、彼は次どうするんだろう、こうはしないでくれと考えながら見ていると、ああそうするんだ、そうか、そうだよなと...
浅野忠信の役作りしない演技が功を奏して 随分古臭いタイトル付けだなあと目につき、公式サイトを見てみましら、原作が重松清さんの小説で、タイトルも原作通りとのこと、重松清さんは10年くらい前に結構ハマって何作が読みましたが、この作品は知りませんでした。1996年、20年前の作品ですか、中途半端に古いですね(笑)。重松清さんって、少年の話が多いですよね。いじめであった...
歓びのトスカーナではなく、狂気のはての歓び。 「歓びのトスカーナ」ってタイトルに釣られたわけではありませんが(笑)、こんな映画だったんかい!?それにしても、何とも難しいテーマに挑戦したものです。原題の「La pazza gioia」は、直訳すれば「狂気の歓び」というような意味らしく、pazza は「気が狂った, 頭がおかしい」英語では crazy だとすれば、ネ...
実話といいつつ、作られた物語性を強く感じる アンヌ・フォンテーヌ監督、「オーギュスタン 恋々風塵」「ココ・アヴァン・シャネル」「美しい絵の崩壊」「ボヴァリー夫人とパン屋」と聞けば、ああと思い当たるのですが、なぜか一本も見ていません。この「夜明けの祈り」は、マドレーヌ・ポーリアックという女性医師の実話にもとづく物語とのことです。原題の「Les innocentes...
号泣必至の家族ファンタジー 夏休みということもあるのでしょう、公開される映画がアニメやら若年層向けの恋愛ものが多く、なかなかそそられるものがありません。そうした中にもきっといい映画があるのでしょうが、見つけ出すのは難しいですね。で、DVD を数本借りました。その1本「湯を沸かすほどの熱い愛」、公開時に見ようかなと思っていた映画ですが見逃しています。湯...
原作の詩集には興味は持つが、映画はダメ 「川の底からこんにちは」ではボロクソに書き、「舟を編む」では褒めまくった(それほどでもない)石井裕也監督の新作です。原作は、最果タヒさんの詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』ということですので、多分、原作というよりも詩に触発されてのオリジナル脚本に近いのではないかと思います。映画のタイトルに「映画 夜空は~」とわざわざ「...
これは単なる「ネスレ・ボイコット」的告発映画でも、勇気あるひとりの男の物語でもない。 この映画、公式サイト(下に引用)の解説などを読みますと、グローバル企業の不正を暴く告発映画のように思われるかもしれませんが、そう簡単な問題ではありません。確かに、「巨大企業の悪」対「それに立ち向かう正義の一個人」という図式は、宣伝上は受けるかもしれませんが、ダニス・タノヴィッチ監...
世代間ギャップ?子どもがいるいないのしあわせ感?世渡り上手が得をする?あれもこれも入れ過ぎなのでは? ノア・バームバック監督、46歳、本人のリアルな時代感覚が反映された映画なんでしょうか。時代に敏感に生きてきたつもりの40代夫婦が、20代の若き男女の新鮮な感覚に刺激を受けつつ、またギャップも感じつつ変わっていく様子が描かれ、また、映画制作における「真実」をめぐる、...
え!?結局、それなの? 3時間20分後のオチにあれはいただけません。ラストがなければまだ見られたのに… 雪の轍(字幕版)発売日: 2016/01/29メディア: Prime Video久しぶりの映画です。原因は分からないのですが、空咳が突然出たりして、怖くてとても映画館へという気になれなかったのです。で、2週間ぶりくらいに見た映画が昨年のカンヌのパルムドール「...
イヴァンがマクシムを侮辱する言葉に「ロリコン」と字幕がついていましたがあれは正しい?フランス語で何と言っていたのでしょう? いやあ、あまりにリアルで、その上シリアスで、見ていてつらくなるような映画でした(笑)。中年というほどではありませんが、自分はまだ青春と思っているのにいつの間にか人の目にはそうは見えなくなっている、そうした年代の男の失恋物語です。若い女性との...
まるで各シーンをシャッフルしたような編集は物語性の拒否かと思ったら、そうでもないような… [aal B06XSS8QYV]冒頭の何分くらいだったでしょう? 夕暮れ時の牧草地。犬と戯れるように幼い女の子が駆け回る。馬が何頭か行き来している。そして、時折響く雷鳴。結構充実した長さだったと記憶していますが、つかみとしてはかなり有効なシーンだったと思い...
疲れた体、心?を癒すには良い映画でした 横道世之介 (スペシャル版) [Blu-ray] 出版社/メーカー: バンダイビジュアル 発売日: 2013/08/07 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (14件) を見る原作を読み、期待して見る映画に良かった試しはないというのが通説ですが、さて、この横道世之介はどうでしょう...
1960年代の話とは言え、なんとも金持ちの男に都合のいいお話しです(笑) 1960年代の話とは言え、なんとも金持ちの男に都合のいいお話しです(笑)。https://www.youtube.com/embed/bmKevUHUuzQまあコメディなんですからどうこう言うことでもないのでしょうが、主役のムッシュ・ジュベール(ファブリス・ルキー...
に「愛とセックス等身大花屋の女」は描けたか? 夕闇ダリア発売日: 2013/11/26メディア: Prime Video「東南角部屋二階の女」には、いい印象も持っていましたので非常に残念なのですが、これは正直つまらなかったです。そういえば、「東南角部屋二階の女」についても何か書いたのですが、どこに書いたのでしょう? このブログ内を検索しても見つかりません。書き散...