行動せよと促すサイコマジックはコロナ後の世界に必要なことかも… サイコセラピー(心理療法)と言いますと、映画でもそうしたシーンを見ることがありますが、治療を受ける患者が寝椅子に横たわり、セラピストからの問いかけに答えていくスタイルが思い浮かびます。この映画のなかでも言われていますが、その療法は言葉のやり取りだけでセラピストと患者が接触するということはないようです。...
アルモドバル監督の自伝的フィクションの物語 アルモドバル監督自身が、この映画は三部作の第三章にあたると語っているようです。ただしあくまでも「意図したことではない」とのただし書きつきです。意図せずケリがついちゃったということはとうとうアルモドバル監督も自分の映画を振り返る年齢になってしまったのかなあと思いましたら、いやいやまだまだ撮るぞと終わっていました。ペ...
ナタリー・ポートマンがマドンナ、レディ・ガガになる 面白い映画でした。ただ、映画そのものが面白いということではなく、この映画、何をやろうとしているんだろう? と考えながら見ていましたら、最後まで集中してみられたという意味です(笑)。ポップスター / 監督:ブラディ・コーベットとにかく、つくりが最初から最後まであざとく感じられるんですが、それがひょっと...
(DVD)不幸物語オンパレードをDVDで見るのはつらい 「新聞記者」を見たときに、プロデューサーの河村光庸さんが映画化にあたってこの人ならと監督をオファーをしたのが藤井道人さんであり、その藤井さんは「政治も勉強したことがないし、自分で新聞も取ったことがなかった(HUFFPOST)」などと最初は断ったという記事を読み、どんな映画を撮る人なんだろうと興味を持って見た映画...
見るべきはクリステン・スチュワートのみ(かな?) おお、J.T.リロイが映画化(ドラマ化)されたんだ! という感じです。というのは、2年半くらい前に「作家、本当のJ.T.リロイ」という映画(ドキュメンタリー)を見て、「映画としては面白くありません。わたしなら劇映画にしますね。それだけ内容は面白いです。」とまとめたことのある題材です。それに、なんといっても J.T....
(DVD)コメディの味わいを出すべきかと… まずは、すごいタイトルだなあと目がいき、大森立嗣監督だからと見た映画です。宮川サトシさんの自伝的漫画が原作なんですね。母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。(新装版)作者:宮川 サトシ発売日: 2018/12/26メディア: 単行本(ソフトカバー) 母を亡くした時、僕は遺骨を食べ...
シャルロット・ゲンズブールが浮き、バランス悪さだけが目立つ シャルロット・ゲンズブール、憑依型俳優に目覚めたか!?というような映画で、ゲンズブールさんが悪魔に取り憑かれたような母親を演じています。ロマン・ガリーというフランスの小説家の半生を描いており、その母親がゲンズブールさんです。母との約束、250通の手紙 / 監督:エリック・バルビエ原題は「La...
ハリウッドにしてはメリハリ不足。実話にとらわれ過ぎ? なぜ今この題材? という感じがする「フォード vs フェラーリ」です。結局映画は、1966年のル・マン24時間レースにおいてフォードがフェラーリに一矢報いるという内容でなんですが、そのどちらも現在はル・マン24からは撤退していますし、題材自体に現代性が乏しい感じがします。と、思いましたが、ウィキペディアを読み...
実話ベースの音楽ものはテッパン! 実話ベースのサクセスストーリーで音楽ものとくれば鉄板でしょう。イギリス、ポート・アイザックの漁師たちのバンド「フィッシャーマンズ・フレンズ」がメジャーデビューし、全英チャートトップ10入りを果たすまでの物語です。2010年に発売されたこのCDがそれです。Port Isaac's Fisherman's Friends...
オリヴィエ・アサイヤスが描く大人のフランス人のノンフィクション(みたいな話) 先日見た「パリの恋人たち」もそうですが、フランス映画には叙情的な邦題をつければ客が増える法則でもあるのでしょうか(笑)。もちろん客が入らなければ映画も見られなくなるわけですからそうした努力なんだろうとは思いますが、それにしてもこの「冬時間のパリ」は下のチラシのような内容の映画ですよ。...
階級社会ではなく格差社会の悲哀と悲劇 昨年2019年のカンヌパルムドール受賞作です。このところの映画界(特に日本?)では、「格差社会」という言葉がこの時代を写すキーワードのように語られていますが、この映画こそはまさにそのものズバリの映画です。それは、現代が「階級社会」ではなく「格差社会」だという意味においてもです。パラサイト 半地下の家族 / 監督:ポン...
ルイ・ガレル、映画で戯れる ルイ・ガレルさん、無茶苦茶楽しんで映画つくってます。公式サイトにある「フランス映画界きってのサラブレッド」という枕詞(的な)がフランスでも言われていることかどうかはわかりませんが、こういう(映画の)センスには二世、三世という環境が大きく影響しているように思います。パリの恋人たち / 監督:ルイ・ガレルどの国にも様々な価値観...
映画は俳優がつくる。田中裕子、佐藤健、佐藤亮平、松岡茉優 俳優でもっている映画でした。田中裕子さん、佐藤健さん、鈴木亮平さん、松岡茉優さん、特に兄弟妹三人、それぞれの人物設定はステレオタイプであっても、映画のシーンとしてはとてもよいバランスでした。ひとよ / 白石和彌白石和彌監督の映画は、デビュー作(かな?)の「ロストパラダイス・イン・トーキョー」から...
ストーリーを語るだけでは感動ものにもならない 平山秀幸監督と聞きますと、どうしても「愛を乞うひと」の、あの激烈な原田三枝子さんの演技が浮かんでしまい、期待値が高くなってしまいます。とは言っても、それ以降は「しゃべれども しゃべれども」「信さん・炭坑町のセレナーデ」くらいしか見ておらず、なかなかシリアス系のものにであう機会がありません。この「閉鎖病棟 それぞれの朝...
ブルーアワーも見られず、ぶっ飛ばしてもおらず 「TSUTAYA CREATORS'PROGRAM(TCP)」の2016年審査員特別賞受賞作の映画化です。TCPのリンク先を見てみますと、今年から企画、監督、脚本と3部門に別れたとありますので、この作品の頃は企画だけなのか、脚本付きなのか、どちらにしても部門なしの審査だったのでしょう。グランプリが1作品、準グランプリが...
同性愛カップルの話ですが、物語もつくりも乱暴ですねぇ… 子どもが欲しい男女それぞれふた組の同性カップルが取った行動の顛末を描いた台湾映画です。日本でも報道されましたが、台湾では今年の5月17日に同性婚を合法とする法律が可決されています。台湾、同性婚認める法案を可決 アジア初 - BBCニュースバオバオ フツウの家族 / 監督:謝光誠 シエ・グアンチェン...
北欧の妖精トロールをめぐるダーク・ファンタジー 「ぼくのエリ 200歳の少女」を前面に出した宣伝がされていますが、それ系ファンタジーを期待していきますと、ちょっと戸惑うかもしれません。ファンタジーはファンタジーでも、視覚的にも内容的にも、こちらはかなりダークです。もっとも、「ぼくのエリ」にしても本質的にはダークな映画ではありますが。ボーダー 二つの世界 /...
ネタバレ ヴァネッサ・パラディがマチューと父と結婚したって!? 映画内容は公式サイトのストーリーを読めばおおよそ想像がつくと思いますが、その想像以上のものはありません(ペコリ)。パリに見出されたピアニスト / 監督:ルドビク・バーナードそのストーリーから概要です。パリの主要ターミナル北駅。「ご自由に演奏を!」 そう書かれたピアノに向かう一人の青年、...
人種差別の複雑な内面化を描く 差別のある社会において、いや、もちろん、現在のところ、そうじゃない社会があるのかと言われれば悲観的にならざるを得ないわけですから、どんな社会においてもということになるのですが、ひとつは、差別する側に属する者は差別される者にどう対したらいいかという話、そしてまた、もう一方の差別される側に属するものは、差別する側の者が自分には差別意識はない...
人の心情を描かずして悲劇は描けるか 原題は単に「Petra」なのに、「ペトラは静かに対峙する」なんて邦題をよく考えついたものだと思います。それだけ配給の担当者の思い入れが強いということなんでしょうか。監督は、現在49歳くらいのスペインのハイメ・ロサレス監督、公式サイトによりますと日本での公開は初めてですが、2000年代から活躍されており、本作で6作目とのことです。...