キリスト教的価値観の脳内妄想映画 こういう映画はキリスト教世界の価値観がないと撮れないでしょう。絶対的なるものへの憧憬、人間の誕生と再生への積極的な関与、性的欲望との葛藤、そして肉体と精神の二元論。基本は「2001年宇宙の旅」の流れの中の映画だと思います。ハイ・ライフ / 監督:クレール・ドニそれにしても、せっかくいい俳優を使っているのに何やってんだか...
パパの奮闘よりもオリヴィエの労働環境の描写が気になる こんな脳天気な邦題をつけるのは誰だ!? っていう映画です。今のフランスってこんな状況かい? と怖くなりますし、じゃあ、日本は? と考えざるを得なくなるような、真面目で、深刻で、救いがあるようでないような、極めてシリアスな映画です。パパは奮闘中! / 監督:ギョーム・セネズこの映画、本当に、ある日突...
東西ドイツの分断は人の心も引き裂く 監督はラース・クラウメさん、前作は「アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男」という、ドイツの検事長フリッツ・バウアーがアイヒマンを追い詰める過程を描いた映画でした。今作はベルリンの壁が建設される少し前の東ドイツの物語です。IMDbによれば、イタリアで生まれ、フランクフルトで育ち、「the German Film and T...
ヌレエフ亡命のラストシーンは見ごたえがあります ルドルフ・ヌレエフ。バレエ好きでなくとも、映画や舞台などアート系の情報に目を通していれば、必ず目にしている名前だと思います。というよりも、映画ファンであれば、「愛と哀しみのボレロ」のジョルジュ・ドンが演じたセルゲイのモデルといったほうが早いかもしれません。ホワイト・クロウ 伝説のダンサー / 監督:レイフ・フ...
水谷豊オリジナル脚本による監督第二作。 水谷豊さん、「相棒」の宣伝映像などでちらちらと見ているくらいで、ちゃんと見たのはこの映画が初めてです。脚本も水谷さんのもので完全にオリジナルだそうです。轢き逃げ 最高の最悪な日 / 監督:水谷豊入りがむちゃくちゃうまいですね、びっくりしました。ドローンを使った空撮で住宅街を走る男を追います。男の息遣いが聞こえ...
出口の見えない、薬物依存の息子とその父の物語 監督が「オーバー・ザ・ブルースカイ」のフェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲンさんということで、まったく内容も知らず、そういえば予告編では親子喧嘩していたなあといった程度の情報で見に行きましたら、えー、こんな話だったの…という映画でした。ビューティフル・ボーイ / 監督:フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン...
これをアメリカのお話と思ってはいけない。 予告編ではコメディっぽい印象を受けたのですが、笑えるところはまったくなく気分が悪くなるような映画でした。これがアメリカの1960年、70年あたりの現実であり、また現在でもその根がなくなっているわけではないことを考えれば、スパイク・リー監督が「グリーンブック」のアカデミー作品賞受賞に怒るのもよくわかります。ブラック・ク...
チャンチャンとオチをつけたら「半世界」にはならないと思うけど… 「半世界」ってタイトル、惹きつけられます。小石清さんという写真家の連作につけられたタイトルから取っているとのことです。小石さんには『初夏神経』という写真集があるようですが、簡単に買ってみようという金額ではありませんでしたので図書館で借りることにしました。半世界 / 監督:阪本順治映画の内...
ほぼ史実でしょうからネタバレなどなにもなく、映像と音楽を楽しみましょう 1969年7月21日02:56(UTC)(ウィキペディア)、人類で初めて月に降り立ったファースト・マンであるニール・アームストロングさんを描いた映画です。ちょうど50年前ですね。ファースト・マン / 監督:デイミアン・チャゼルこれは、IMAXとドルビーアトモスで見るといい映画かも知...
これは村上春樹ワールドへのアンチテーゼかも? 「バーニング劇場版」なんていうタイトルですからテレビドラマの劇場版かと思いスルーしそうでした。イ・チャンドン監督の文字がふっと目に入り見逃さずにすみました。バーニング劇場版 / 監督:イ・チャンドン劇場版の意味はすでに NHKで放映されたからという程度しか知らなかったのですが、エンドロールに何か所かNHKの...
権力の象徴「椅子」をめぐる映画、ではなく音楽とワインの映画かも? この映画は結局のところ、と、いきなり結局というのもなんですが、英題(原題も?)が「The Chair」であるにもかかわらず、邦題を「葡萄畑に帰ろう」とせざるを得ないという、そのことがもっともよくこの映画を現しているのだろうと思います。公式サイト / 監督:エルダル・シェンゲラヤThe C...
プラベートフィルムは多いが伝記的映画を期待すると残念 冒頭の海の映像を背景にしたカットがいいなあと思いつつ、何だろう?と思っていましたら、2017年がピアソラの没後25年ということでアルゼンチンで回顧展があり、(多分)その会場のエントランスから階段を上がったところのイメージビジュアルじゃないかと思います。映画の途中に、展覧会のキュレーター(らしき人)が会場セットの説...
18世紀のポルトと2021年の浜松、同じプロットの悲恋物語だが… 舩橋淳監督と言えば「谷中暮色」の監督ですね。 谷中という街の持つ雰囲気もあってか、不思議と印象に残っている映画です。不思議というのは、映画の完成度としてはさほどでもなかったのに何とはなく良かったという意味合いです(笑)。公式サイト 監督/舩橋淳あの映画はENBUゼミナールの俳優コースの卒...
無茶苦茶なネタバレ、面白かったと思う人は読まないで…。 年に数本ある 金返せぇぇぇぇぇぇぇー! の1本です(笑)。公式サイト / 監督:アリ・アスター宣伝文句の今年のサンダンス映画祭で「ホラーの常識を覆した最高傑作」「現代ホラーの頂点」と批評家から最高の評価を受け全米を震撼させたホラー映画がついに日本公開。にやられ、普段ホラーなどめったに興味を持た...
映画としてはよくできているが、バルバラに思い入れがないと難しい 公式サイト / 監督:マチュー・アマルリックフランスの歌手バルバラを描いた映画なんですが、 これは、バルバラに相当思い入れがあり、なおかつ、バルバラについても相当詳しく知っていませんと見ていても楽しめない映画です。私も、ほとんど日本人歌手の歌(カバーも含め)でしかその曲を聞いたことがないのでは...
山下敦弘監督、こんな映画撮ってちゃダメでしょう。 漫画が原作の映画が多くなってきましたね。この映画は、90年代に漫画雑誌「グランドチャンピオン」で連載され、多くの読者の共感を呼んだ伝説のコミック「ハード・コア 平成地獄ブラザーズ」(作:狩撫麻礼、画:いましろたかし)の待望の映画化(公式サイト)とのことです。公式サイト / 監督:山下敦弘別に何が原...
フレディ・マーキュリーの伝記的音楽映画、音楽に感動するもドラマは? 「音楽映画に失敗はない」を地で行ったような映画です。ただ、この言葉、私が言っているだけですけどね(笑)。クイーンのフレディ・マーキュリーの伝記映画と言っていいと思いますが、とにかく、音楽がいいというだけで映画として成立しています。公式サイト / 監督:ブライアン・シンガー正式公開日は今日...
吉田羊さんの良さが出ていないし、村上春樹っぽさもない もう公開3週目に入っている映画なんですが、ずっと気になっていながら見られずにいました。何が気になっていたのか自分でもはっきりしませんが(笑)、おそらく、村上春樹原作ということと吉田羊さんという俳優に興味があったからでしょう。公式サイト / 監督:松永大司1日1回の上映になっているくらいですから、多分ガ...
ネタ的にも、テーマ的にも、作りの上でもハリウッドスタイルのタイ映画 タイの映画、随分見ていませんねえ、「すれ違いのダイアリーズ」以来のような気がします。「バッド・ジーニアス」、タイトル通り、学力優秀な学生がカンニングをする話らしく、面白そうではあります。公式サイト / 監督:ナタウット・プーンピリヤ物語の進め方や手法がハリウッドスタイルの映画ですね。...
やはり大人の鑑賞にはちょっと無理 迷いに迷って見に行った映画です(笑)。何に迷ったかと言いますと、映画の内容はざっと紹介文を読めばおおよそ想像できてしまいますし、やや子供向けかなと思ったのですが、監督のアンダース・ウォルターさんが2014年のアカデミー賞で短編実写映画賞を受賞していること、そして、公式サイトのプロデューサー(クリス・コロンバス)紹介で「パテ...