音楽映画だと思ったら、ギャング映画だった… ファティ・アキン監督は「クロッシング・ザ・ブリッジ 〜サウンド・オブ・イスタンブール〜」という音楽映画を撮っていますし、趣味は DJ Superdjango としてクラブに出演することという話もあり、音楽映画だろうと思って見に行きましたら…RHEINGOLD ラインゴールド / ファティ...
法廷劇と思いきや、夫婦間のジェンダー観トラブル、いや実は… 昨年2023年カンヌ国際映画祭のパルムドール受賞作です。監督はフランスのジュスティーヌ・トリエ監督、45歳くらいの方です。過去には短編と3本の長編がありますが、日本での公開はこの映画が初のようです。落下の解剖学 / 監督:ジュスティーヌ・トリエ推測、憶測、そして妄...
結局、客の男を描いているだけじゃないのか… 現実の小説家が新作のために2年間娼婦として働き、その実体験を書き綴ったという小説『La Maison』の映画化です。映画がどうこう以前に、その小説家の行為自体が問題にされたり、描かれる性行為のシーンに注目がいったりしますので、映画としては評価が難しい映画です。オートフィクション『...
オペラの映画化で一番やってはいけないパターン この映画の配給会社は映画の内容を偽って売ろうとしているんじゃないかと思っちゃいますね。不当表示に引っかかりませんかね。ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌 / 監督:レイン・レトマーオペラの映画化で一番やってはいけないパターンまあ怒りはともかく、これはミュージカルではありま...
人口の2倍の羊がいるアイスランドじゃないとわからない… アイスランド映画です。監督のヴァルディミール・ヨハンソンさんは1978年生まれですので44歳くらいです。これが監督、脚本の長編デビュー作ですが、撮影や照明、そして特殊効果のスタッフとして20年くらいのキャリアがある方です。LAMB ラム / 監督:ヴァルディミール・ヨハンソン...
奇妙なシナリオとあまりに現実的な俳優たち、残る虚しさ 深田晃司監督の「LOVE LIFE」、現在開催されているヴェネチア映画祭のコンペティションに出品されています。開催が明日9月10日までですので発表は明日ですか。LOVE LIFE / 監督:深田晃司悲劇、喜劇、そして漂う空虚さ深田監督の映画は「東京人間喜劇」「ほとり...
1960年代のロンドンへの郷愁と悪夢の事実 映画を見る際には必ず監督をチェックします。エドガー・ライト監督ってなにか見たことあるかな? と過去の作品一覧を見ましたら、「ワールズ・エンド酔っぱらいが世界を救う!」があり、ああ、あれか、スルーだなと思ったのですが、なにか引っかかるものがあったのでしょう、見てみましたら結構おもしろかったです。いや、おも...
プロメテウス、サシャ・シュナイダーまではわかったけど… 最も苦手な映画を見てしまいました(笑)。評判だったらしい同じロバート・エガース監督の「ウィッチ」という映画も知らず、この「ライトハウス」がスリラーだということもはっきりとは認識せず、なんとなく目にした「人間の狂気」とか「幻想的」とか「美しい映像」とかの言葉に釣られてしまいました。ライトハウス / 監督...
アメリカの真実が真実とは言えない 「ラスト・フル・メジャー」という言葉は、リンカーン大統領の言葉としてよく引用される「人民の、人民による、人民のための政治」が語られたと同じ演説の中の言葉ということです。南北戦争史上最大の戦いと言われる1863年のゲティスバーグの戦いの4ヶ月後に行われた国立戦没者墓地の奉献式でのゲティスバーグ演説です。ラスト・フル・メジャー ...
サンフランシスコ フィルモアへの愛がほとばしる かなり個的で地域性の強い映画ですので共感するかどうかという見方では難しいのですが、主人公ふたりの関係はとても面白いですし、映画のつくりに新鮮さを感じます。ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ / 監督:ジョー・タルボットあらすじジミーの街への愛情と郷愁演劇的なシーンモントはジョー・タルボット...
ホラーと言うよりも女たちの嘆きと悲しみの映画 「火の山のマリア」のハイロ・ブスタマンテ監督の4年ぶりの新作ということになります。この作品は昨年2019年8月のヴェネチア映画祭で上映された映画ですが、IMDbを見ますと、ほぼ同時期の2019年の2月のベルリン映画祭に「Temblores(Tremors、震え?)」という作品が出品されています。ラ・ヨローナ 彷徨...
岩井俊二監督らしい叙情的感傷映画…でいいのか? 構成力はさすがです。見る前にどんな話かと公式サイトのあらすじを読んでみましたら、読み方もよくわからない役名が並び、過去と現在を同じ俳優の二役で配役したりとなんだかややこしい話だなあと思ったのですが、実際に見てみれば、現在と過去の行き来も自然ですし、二役にもまったく違和感がありません。それと俳優、特に松たか子さんでも...
感動するか、あまりの作り込みに引くか、あなたはどちら? こういう映画は苦手だなあ…(笑)。なにがって、全編、ストーリーを説明されているような映画ですし、それに、なんだか壇上から教訓話を聞かされているような窮屈さを感じません?ライフ・イットセルフ 未来に続く物語 / 監督:ダン・フォーゲルマンそれもそのはずでした。この映画、二世代にわたる二つのルー...
ケニア、自由にあるがままに生きたいと願う少女たち ケニア映画です。アフリカを「舞台」にした映画ではないアフリカ映画って見たことがあるのだろうかと思い返してみても記憶がありません。この映画の製作は南アフリカの Big World Cinema というプロダクションで、アフリカ映画がたくさんラインナップされており面白そうなものがあります。監督のワヌリ・カヒウさんは1...
事件は描いても人を描かず。吉田修一「犯罪小説集」を映画化 吉田修一さんの小説が映画化されたものはほとんど見ていますが、なかなか小説を越えるものが出ないです。吉田修一さんはどちらかといいますとストーリーテラーですので、物語を追っていくだけの映画では、ただ映像化しただけで終わってしまうからではないかと思います。この「楽園」の原作は『犯罪小説集』という5編の短編を収録し...
バート・レイノルズファン御用達、男の癒やし映画 バート・レイノルズさん、もちろん名前は知っていますし、顔を見れば、ああこの俳優さんかとわかりますが、おそらく映画は見たとしてもすべてDVDだと思いますのであまり記憶はありません。昨年2018年9月6日に82歳で亡くなられているんですね。この映画は、ちょうど1年後の今年9月6日を劇場公開日にしているようです。...
過去と現在、現実と幻、見えるものと見えないものが出会う場所。 嵐山と四条大宮を結ぶ京福電気鉄道嵐山本線のことを「嵐電(らんでん)」と呼ぶそうです。路面電車ですね。その嵐電を舞台にした三組のラブストーリーを描いた映画です。 嵐電 / 監督:鈴木卓爾監督は鈴木卓爾さん、「楽隊のうさぎ」で知った監督です。今読み返してみましたら、「この映画には、すぐれたドラマ...
今年2019年がサリンジャー生誕100年、よく出来た伝記映画です 今年2019年がJ.D.サリンジャーの生誕100年になります。映画は、サリンジャー20歳くらいから、『ライ麦畑でつかまえて』が完成し出版された1951年、32歳ごろまでを描いた伝記映画です。その後、クレアという女性と二度目の結婚をし、一男一女をもうけ、50歳くらいで離婚するところまでがおまけ程度につ...
内なるサリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』を見つめる映画かな? 1969年という時代背景もあるかもしれませんが、アメリカン・ニューシネマの香りがする青春映画です。タイトルにもある通り、青春のバイブルとも呼ばれる J・D・サリンジャー作『ライ麦畑でつかまえて』によって救われる16歳の少年ジェイミーの物語です。サリンジャーも登場します。とても見やすく作られています。...
戦争に勝者などいません。どちらも敗者です。 シリア内戦は、ウィキペディアによりますとすでに7年、未だ収束の道筋もみえない状態(のよう)です。日々の報道でしか知る由もないので、本当のところ何が起きているかを理解することは大変難しく、どんな報道、どんな発言、どんな映像であれ、ある種フィルターがかかっていないものはないわけで、とにかくできるだけ多くの情報に接するしかないと...