一作目よりはマシかな、だけど陳腐なシーンが多いなあ… 「DUNE/デューン 砂の惑星」のレビューでは失敗作と断言し(笑)「二作目はない」なんて書きましたが、作っちゃいましたね。どうやらこの勢いでパート3もあるようです。といいますか、そういう物語ということでしょう。デューン 砂の惑星PART2 / 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ...
映画は一見凡庸に見えるが、アンチへの配慮や不確かなものを避けたい思いかも… メイミー・ティルという実在の人物を描いた映画です。1955年に14歳の息子エメットが白人男性に暴行(リンチ…)され殺害されたことを契機に公民権運動の活動家となり、また教育者としても様々な活動をされたようです。2003年に81歳で亡くなられています。ティル ...
フランス革命前夜、フランス初のレストラン誕生秘話 1789年のフランス革命のちょっと前、フランスで初めてのレストランが誕生したというドラマです。実話ではありません。それまで料理というものは王族、貴族、聖職者といった支配者階級だけが理解できるもので、庶民が食事を楽しむという社会規範がなかったのが、革命という社会変革によって料理の世界にもパラダイム転換が起きた...
トレブリンカ強制収容所の記憶の歌 The Song of Names 映画らしい映画と言いますか、ヨーロッパらしい映画です。監督のフランソワ・ジラールさんはカナダの方ですが、原作の「The Song of Names」がイギリスの小説ですし、原作者のノーマン・レブレヒト(Norman Lebrecht)さんはイギリスの作家であり、音楽ジャーナリストでもあります。...
パンクカップルはラブコメで世界を変える 面白い映画でした。アメリカはこういう映画はうまいですね。社会規範への抵抗とラブストーリーを結びつけ、それでいて暗くならずにポップ(この映画ではパンク)でカラッとしています。犯罪性は抑えられてラブコメ要素がかなり強いのですが、「俺たちに明日はない」「地獄の逃避行」「トゥルー・ロマンス」の系譜でしょうか…。いや、そこまではいって...
紳士服の世界をウェディングがエレガントに覆う ギリシャで育ち、アテネとロンドンで映画製作を学んだというソニア・リザ・ケンターマン監督の初の長編映画です。1982年生まれですから現在39歳です。ちょっと変わった、といいますか、ユニークな感性を感じます。テーラー 人生の仕立て屋 / 監督:ソニア・リザ・ケンターマンメンズスーツからウェディングドレスへ...
コメディ、アイロニカル、シュール、パレスチナ、あるいは世界の現実? エリア・スレイマン監督、初めて見ました。パレスチナの映画と言いますと、ハニ・アブ・アサド監督の「パラダイス・ナウ」や「オマールの壁」といった対イスラエル視点の映画を思い浮かべますが、この「天国にちがいない」はちょっと違っています。天国にちがいない / 監督:エリア・スレイマンクスッ...
ゴドー待ちのバリエーションとしてみれば面白い ジム・ジャームッシュ監督のゾンビ映画です。ホラー度ゼロ、パニックシーンなしの一風変わった映画で、コメディかと言われれば確かに笑えるところはありますのでそれをオフビートととらえればジャームッシュ監督らしいとも言えるのですが、なんとも奇妙な映画ではあります。デッド・ドント・ダイ / 監督:ジム・ジャームッシュ...
(DVD)吉本ばなな色はうすいけれどもチェ・スヨンはちょっと気になる デッドエンドの思い出 (文春文庫)作者:よしもと ばなな発売日: 2006/07/07メディア: 文庫 原作は短編集の一作のようで、あとがきには、この「デッドエンドの思い出」が自分の作品の中でいちばん好きと書かれているらしいです。久しぶりに吉本ばななさん読んでみようかな...
30年をかけた偉大なる駄作 なんともとりとめのない映画です。ひとことで言えば批評性に欠けているということなんですが、映画であれ小説であれ、古典を題材にするということは、その古典を現代的意味においてどう読むかということが求められると思います。特に『ドン・キホーテ』は、時代により、人により、表現形態により、様々に取り上げられてきた古典ですので批評性という視点を避けるこ...
痛々しい。サラームがパレスチナの今だとしたら… パレスチナが舞台の映画は、製作国や監督など、その映画がどのような背景のもとで作られたかをみないと、映画のもつ意味を理解するのは難しいです。この「テルアビブ・オン・ファイア」のサメフ・ゾアビ監督は、(多分)イスラエル国籍のパレスチナ人で、テルアビブで生まれ育っていますがテルアビブ大学卒業後はアメリカに移りコロンビア大学...
セルビアの鉄道運転士は死者のために花を育てる この映画はどんな映画? と聞かれたら、全体的なトーンとしては「アンダーグラウンド」っぽく、物語のベースは「人情もの」で、主演のキャラクターの矜持の有り様が「健さん」的と、そんなふうに答えるのがいいかと思います。鉄道運転士の花束 / 監督:ミロシュ・ラドヴィッチいや、イリヤの鉄道運転士としての矜持の持ち方は健...
絵画を見るようなフランス農村風景が美しい 思っていた以上にいい映画でした。グザヴィエ・ボーヴォワ監督本人も語っているように、まったく戦場を描かない戦争映画という感じです。第一次世界大戦時のフランス、農業を営む一家の物語です。ふたりの息子と娘の夫、成人男性は皆戦場です。母と娘、そしてその一家に雇われた女、その三人の女性たちの物語です。田園の守り人たち / 監...
面白い物語なのに焦点が定まらず…。 映像的にはロマンチシズムの香りがします。ふと「レ・ミゼラブル」が思い浮かぶようなクラシカルでロマンチックなフランスっぽい映画です。ただ、物語自体は第一次世界大戦というヨーロッパを疲弊させた戦争後の話ですので、そんなに明るい話ではありません。天国でまた会おう / 監督:アルベール・デュポンテル私は読んでいませんが、同名...
グレン・クローズさん、オスカー決定でしょう! 主演のグレン・クローズさんがアカデミー主演女優賞にノミネートされているとのこと、間違いなく受賞でしょう。ガガさんも良かったのですが、あれはガガさん本人が良かったということですが、こちらは俳優として素晴らしいです!天才作家の妻 40年の真実 / 監督:ビョルン・ルンゲ俳優の演技が見どころですので、この映画は見...
サイキックもの?父娘もの?青春もの?とはっきりせず…残念。 前作の「母の残像」では良い方に出ていたあまり説明しないという手法が、この映画では悪い方へ出てしまったようです。公式サイト / 監督:ヨアキム・トリアーもともと私自身が、こうしたサイキックホラー系の映画に興味が持てないこともあるのですが、それにしても、映画としての軸がしっかりしていませんし、軸になる...
別れの曲の歌付きとピアノ演奏、どちらもかなりレベルの高い生歌、生演奏です。 カナダ、ケベック州が舞台の映画です。モントリオールが州都かと思っていましたら、ケベック市という都市があるようです。カナダには英語圏とフランス語圏があるのは知っていたのですが、ケベック州は公用語がフランス語のみらしいです。この映画もフランス語です。修道院が経営している寄宿学校が舞台ですの...
ラストシーンが意味不明、あそこであのように切れる理由がわからない。 「母の身終い」のステファヌ・ブリゼ監督、最新作です。主演のヴァンサン・ランドンさんも引き続いての出演で、昨年のカンヌ映画祭で男優賞を受賞しています。ところで、この映画、なぜシネコン(ミッドランドスクエア シネマ)での上映となったのでしょう? 土曜日ということもあり、全体としてはかなり混雑してい...
「暴力」が「乱暴」を超えられず、血の生臭さも折れた歯の痛みも感じられず。 真利子哲也監督を知ったのは、「NINIFUNI」ですが、今自分のレビューを読み返してみますとまず何をおいても重要なのは、何を撮ろうとしているのかという明確な意志でしょう。テーマとかそういうことではなく、もっと直接的な、この人間の熱が撮りたいとか、この風景の凶暴さが撮りたいとか、そういった意味...
残念ながら「預言者」的カタルシスに到達できず。 昨年2015年のカンヌ、パルム・ドールです。受賞時、あまり芳しくない、つまりパルム・ドールに相応しくないといった話がネット上に上がっていましたが、どうなんでしょうか?まあ相応しい相応しくないということ自体にあまり意味がありませんので、要は自分が楽しめるかどうか、自分の眼を信頼するしかないのですが、最近では映画祭に出...