ノベンバー

バルト三国エストニアのダークファンタジー&悲恋物語…かな?

2018年のアカデミー賞外国語映画賞のエストニア代表になった映画です。ノミネートはされていません。

ノベンバー / 監督:ライネル・サルネット

ダークファンタジー

ただエストニア映画であることにそそられて事前情報ゼロで見に行きましたので全体をつかむことに苦労しました。そして、つかめませんでした(笑)。事前にあらすじやベースとなっていることを知ってみたほうがいい映画です。

鑑賞後に公式サイトの解説やウィキペディアを読んだりしたのですがそれでも掴みきれません。映画自体に整理されていないところがあるように思います。そもそもそんな気(整理する気)もないのかもしれません。

19世紀のエストニアを舞台にしたダークファンタジー&ラブストーリーといった内容です。

エストニアの代表的作家アンドルス・キヴィラフクの「レヘパップ・エフク・ノベンバー(Rehepapp ehk November)」という2000年に発売された小説が原作です。エストニア語(だと思う)のウィキペディアがあります。

Google翻訳で読んだところによりますと、11月1日から30日の日付がつけられた30の章で成り立っており、「登場人物は人間に加えて、古い異教、ペスト、灰色のオオカミ、クラット、幽霊、狼男など、さまざまな神話の生き物です」とのことです。Google翻訳の限界を差し引いても、ストーリーにまとまりのあるものは感じられず、全体を通して一本これといったものはなさそうです。

映画も同じような印象で雑然としています。その点ではまったく見やすい映画ではないのですが、それでも後半になりますと、リーナとハンスの悲恋物語が前面に出てきてわかりやすくなってきますのでほっとする(笑)ような映画です。

リーナとハンスの悲恋物語

村の女リーナは村の男ハンスに恋をしています。しかし、ハンスはドイツからやってきた領主の娘に一目惚れして頭から離れません。かなうはずもない恋ですが、ハンスは雪だるまを作って願いを叶えようとします。多分、雪だるまを使い魔にして悪魔に魂を売って願いを叶えようとしたんだと思います。しかし、雪だるまが溶けてしまい願いは叶っていないようです。

いずれにしてもストーリーで見せる映画ではなく、モノクロで撮られたそれぞれの美しい画で見せようとしているんだと思います。きっとストーリーとしては辻褄が合っていないでしょう。というよりもそうした映画ではないということです。

一方のリーナは狼に変身したりして(多分、これも悪魔に魂を売ったのでしょう)、領主の城を見上げるハンスを後ろから盗み見て、悶え苦しみ、土(雪かな?)に体を擦り付けて悶え苦しみます。次にリーナは城に仕える侍女からドレスを買い、レースのベールを頭から被り、ハンスに会います。ハンスは恋する領主の娘と勘違いしてリーナにキスをします。ハンスはなぜかはわかりませんが誰かに首をひねられて死にます。リーナが入水して後追い自殺します。

リーナとハンスは水中で出会いキスをします。…だったと思います。

エストニア映画

エストニアに関連する映画を何本か見ていました。

「1950年初頭、エストニア。ソ連の秘密警察に追われる元フェンシング選手のエンデルは、小学校の教師として田舎町ハープサルに身を隠す。エンデルは課外授業としてフェンシングを教えることになる。ある時、レニングラードで開かれる全国大会に出たいと子供たちからせがまれたエンデルは、捕まることを恐れて躊躇うが、子供たちの夢を叶えようと決意する」という静かな感動物語です。

「エストニアが生んだ新しい才能が、ヨーロッパ各国で熱い注目を集めている。長編映画監督デビュー作で、ロカルノ国際映画祭のエキュメニカル賞に輝いた、イルマル・ラーグ監督だ。受賞作『クロワッサンで朝食を』は、ル・モンドを始めとするフランスの名立たるマスコミからも絶賛された」

これはジョージアのアブハジア自治共和国が舞台ですが、エストニア人の家に戦争中のジョージア人とチェチェン人が逃げ込み、エストニア人の老人イヴォが二人を匿うという話で、画や台詞からひろがる情感にじわりと涙がでます。