クジラに落ちた男

クジラのお腹の中の描写にもう少しアイデアはないのかな

海外の映画、特にアメリカ映画以外の劇場公開が本当に少なくなりました。なかなか採算が取れないとか円安とか観客の嗜好の変化とか原因はいろいろあるのでしょう。どうなっていくんでしょうね。
ということで、最近は邦画ばかり観ていますのでなにかないかと、これです。

クジラに落ちた男 / 監督:ブライアン・ダッフィールド

マッコウクジラの消化器官

映画.com などで解説文を読めばほとんど想像できてしまう映画です。興味はクジラのお腹の中をどうやって映像化しているんだろうくらいでしょう。

ちょっとアイデアが足りないですかね。106分の映画で半分くらいはお腹の中だったと思いますが、映像はまったく変化なしです。肉の塊を模したグチャグチャした中でもがいているだけでした。

さすがに飽きてきますので、映画が終わったらクジラの消化器官がどうなっているのか調べてみようという考えで頭の中が一杯になっていました(笑)。

マッコウクジラの消化器官は、4つに分かれた胃と非常に長い腸を持ち、主に主食であるダイオウイカなどの硬いくちばしをすり潰して消化する特徴があります。消化できないイカのくちばしなどが腸内で結石化したものは、のちに「龍涎香(りゅうぜんこう)」と呼ばれる貴重な香料になります。

  • 4つの胃を持つ: 反芻(はんすう)動物ではないものの、胃が4つの部屋(前胃や主胃など)に分かれています。
  • 最初の胃(前胃): 消化液を分泌せず、飲み込んだイカなどを筋肉の動きでゴリゴリと物理的にすり潰します。
  • 後続の胃: 強力な胃液が分泌され、分解が進められます。

(Gemini)

胃が4つの部屋に分かれているということですので、ジェイ(オースティン・エイブラムス)はほとんど1つ目の部屋に留まっており、映画中頃でネバネバしたものにとらわれ始めて皮膚が溶け出したりするあたりで2つ目の部屋に送られたということのようです。そこからどうやって1つ目に戻ったんでしょうね。

ジェイはダイオウイカに絡め取られて一緒に飲み込まれていますので一応クジラ研究はされているということです(当たり前か…)。ジェイが武器に使うのもイカのくちばしですしね。

ネタバレあらすじ

ジェイの父親ミット(ジョシュ・ブローリン)が船上でやたら咳をするシーンから始まります。何なんだろうと思っていましたら、ミットは潜水時につける重りを普段着のまま腰に巻き海に飛び込みます。自殺です。

あまり説明はされませんが、ミットは回復の見込みのない(ということでしょう…)病に冒されており、病院では死にたくないということのようです。気持ちはわかります。

ミットは海の男であり、ジェイにも幼い頃から海についてスパルタ教育、今で言えば子どもを精神的に支配するかなり虐待に近い接し方をしてきています。フラッシュバックとして何シーンか挿入されています。

ミットが亡くなって1年後、ジェイは父親の骨を探しにひとりで海に潜ります。父親の亡霊を断ち切りたい思いと父親に認められたい思い半々のような描き方がされています。

ということで、海に潜り、巨大ダイオウイカに襲われ、その足に絡め取られ、イカと一緒に巨大マッコウクジラに飲み込まれます。後はすでに書いたようにクジラの胃の中で約1時間もがき続けることになります。それをデッカイ音で危機感を煽っていました。

で、脱出はクジラの中のメタンガス(胃にそんなものある?…)に電池をショートさせた火花で爆発させて海の中に出ようという計画です。そのアイデアが過去の父親の教えや会話を思い出すことで生まれるということになっています。父親の教えが役に立つシーンは他にもありましたが忘れました(笑)。

海に放り出さえたジェイは漁師たちに救助されます。後日、片腕を失い、まだ傷の癒えないジェイが父親の自分宛ての遺書を読むシーンで終わります。

感想:アメリカ的精神と男らしさ?

ダニエル・クラウスさんという作家の同名タイトルの小説『クジラに落ちた男』が原作とのことです。

ダニエル・クラウスさんはピューリッツァー賞を受賞しているとあり、へえと思いましたらピューリッツァー賞はジャーナリズムの賞だけではなくフィクション部門もあるようです。知りませんでした。ダニエル・クラウスさんの『Angel Down』の受賞は今年2026年です。

ウィキペディアを読んでいましたらピューリッツァー賞フィクション部門の選考基準にこんな記述があり笑ってしまいました。ただ当初のものであり今は削除されているそうです。

Annually, for the American novel published during the year which shall best present the wholesome atmosphere of American life, and the highest standard of American manners and manhood,
毎年その年に出版されたアメリカの小説のうち、健全なアメリカン・ライフ、またアメリカ的精神と男らしさを最も高いレベルで表現した小説に贈られる

この映画の原作『Whalefall』は受賞作品ではありませんし、読んでいるわけではありませんが、映画から想像するに「アメリカ的精神と男らしさ」がキーになって描かれているように思います。ただし、なにせ2023年発表の作品ですので否定的意味においてかも知れません。

なお、「Whalefall』とは、

Whalefall(ホエールフォール)とは、死んだクジラの体が海底に沈み、その肉や骨がエサの少ない深海の生物たちを長期間養って独自の生態系を作る自然現象(日本語では「鯨骨生物群集(げいこつせいぶつぐんしゅう)」)を指す科学用語です。
(Gemini)

とのことです。