最新映画一覧

コレクティブ 国家の嘘

2021.10.06

か行,

ドキュメンタリーは真実報道ではなく非俳優によるドラマです前作の「トトとふたりの姉」は、これ、ほんとにドキュメンタリー?! というようなすごい映画でしたけれども、この「コレクティブ」も、ちょっと違う意味ですごい映画でした。東欧ルーマニアの映画なんですが、あれこれちょっと入れ替えれば今の日本にも当てはまりそうでかなり怖い話ではあります。というよりもどの国にもという方...

護られなかった者たちへ

2021.10.03

ま行,

残念、佐藤健、阿部寛の共演生かされずこのところ続けざまに日本映画の社会派ドラマ(と言われる映画)を見ていますので、それが自ら望んだものであるとはいえ、やや食傷気味のところへ、さらにこの「護られなかった者たちへ」です(笑)。ただ、佐藤健さんと阿部寛さんの共演ということで俳優力で見せる映画だろうと期待は大なのですが、さて…護られなかった者たちへ / 監督:瀬...

ディナー・イン・アメリカ

2021.09.30

た行,

パンクカップルはラブコメで世界を変える面白い映画でした。アメリカはこういう映画はうまいですね。社会規範への抵抗とラブストーリーを結びつけ、それでいて暗くならずにポップ(この映画ではパンク)でカラッとしています。犯罪性は抑えられてラブコメ要素がかなり強いのですが、「俺たちに明日はない」「地獄の逃避行」「トゥルー・ロマンス」の系譜でしょうか…。いや、そこまではいって...

クーリエ:最高機密の運び屋

2021.09.27

か行,

キューバ危機は「信頼」で回避された?というスパイ映画ドミニク・クック監督の二作目です。一作目の映画「追想」は、原題が「チェジルビーチで」となっているように、チェジルビーチでの男女の別れのシーンのカメラワークの美しさが印象に残っている映画です。ただ、自分のレビューを読み返してみますと、映画自体にはあまりいい印象を持たなかったようです。しかし、この二作目「クーリエ...

空白

2021.09.25

か行,

父娘のつながりに救いを求めてはダメでしょう????田恵輔(吉田恵輔)監督の「よし」は「????」なのか、「吉」なのか、どっちなんでしょう?公式サイトでも混在しています。これ、どっちでもいいわけじゃなく、検索に引っかからなくなるんですよね。 「????」と「吉」 | 三省堂 ことばのコラム空白 / 監督:????田恵輔 今作は古田新太さん… ...

君は永遠にそいつらより若い

2021.09.22

か行, , 褒めてる映画

吉野竜平監督の構成力と佐久間由衣、奈緒の俳優力が光る原作の津村記久子著『君は永遠にそいつらより若い』を読んでいなければ見なかったかも知れない映画、見てよかったです。俳優よし、構成よしの映画らしい映画でした。君は永遠にそいつらより若い / 監督:吉野竜平吉野竜平監督の構成力が素晴らしい人物にバックボーンが感じられるネタバレあらすじホリガイさ...

由宇子の天秤

2021.09.18

や行,

語るべきは、また描くべきは、人であって物語ではない「火口のふたり」を見て、気になる俳優さんだなあと感じた瀧内公美さん、その主演の映画です。監督は春本雄二郎さん、監督・脚本・編集・プロデューサーということですので、自分の撮りたいものを撮ったということだと思います。2018年に独立映画製作団体「映画工房春組」を立ち上げてのその第一作ということになるのでしょうか。...

スザンヌ、16歳

2021.09.16

さ行,

女16歳、男35歳の恋愛を16歳の側から描くスザンヌ・ランドン監督、現在21歳、撮影時は19歳くらい、この映画のシナリオ(のベース、多分)を書いたのは15歳、そして自ら、監督、脚本、主演という映画です。両親は、ともに俳優のサンドリーヌ・キベルランさんとヴァンサン・ランドンさんです。スザンヌ、16歳 / 監督:スザンヌ・ランドン16歳女子から見た...

浜の朝日の嘘つきどもと

2021.09.12

は行,

高畑充希さんら俳優が映画を救うタナダユキ監督の映画では初めてよかったと思った作品かもしれません(ペコリ)。「赤い文化住宅の初子」以来、数本は見ているのですが、どちらかと言いますとステレオタイプな人物でドラマをつくる印象が強く、過剰な演出を感じるからだと思います。でも、この映画は、そうした過剰さは多少感じられるにしても、俳優によって打ち消されていますし、そもそも...

テーラー 人生の仕立て屋

2021.09.09

た行,

紳士服の世界をウェディングがエレガントに覆うギリシャで育ち、アテネとロンドンで映画製作を学んだというソニア・リザ・ケンターマン監督の初の長編映画です。1982年生まれですから現在39歳です。ちょっと変わった、といいますか、ユニークな感性を感じます。テーラー 人生の仕立て屋 / 監督:ソニア・リザ・ケンターマンメンズスーツからウェディングドレスへ...

アナザーラウンド

2021.09.07

あ行,

娘の死のせいか、色濃く漂う破滅欲求「What is youth? A dream. What is love? The dream’s content.」キェルケゴールの言葉から始まります。直訳では「若者とは何ですか?夢。愛とは何ですか?夢の内容」となりますが、映画を見た印象からすれば、「若さとは何だ? 夢さ。愛とは何だ? 夢を見ていただけさ」といったニュアンス...

くじらびと

2021.09.05

か行,

手漕ぎ船と一本の銛で鯨に挑む数日前に劇場で見た予告編、銛一本で巨大なクジラに向かって海に飛び込んでいく人の姿に驚き、早速見に行った映画です。くじらびと / 監督:石川梵手漕ぎ船と銛一本3つの視点と美しい映像血に染まる海ラマレラの人々の本当の姿か手漕ぎ船と銛一本そのトレーラーは多分下のものだったと思います。15秒くらいのところです。...

沈黙のレジスタンス

2021.09.02

た行,

マルセル・マルソー、レジスタンに身を投じるパントマイムといえばマルセル・マルソーさんと、すぐにその名前が出てくる方ですが、パントマイム・アーティストとして世に出るのは第二次世界大戦後のことです。この映画は、その戦争中にナチス・ドイツに対するレジスタンスとして活動していた時代を描いています。第二次世界大戦が始まったが1939年、マルソーさんは1923年生まれですか...

鳩の撃退法

2021.08.31

は行,

藤原竜也×西野七瀬、男女バディーものでいけるんじゃないこの映画を見た理由は「鳩の撃退法」のタイトルにつられただけです(笑)。それだけ映画のタイトルは重要ということでもあります。原作者の佐藤正午さんの名前は見聞きはしていますが読んだことはなく、同名タイトルの原作も知らなかったということです。もちろん見る前にはざっと公式サイトを覗きましたのでわかって見てはいます。...

孤狼の血 LEVEL2

2021.08.27

か行,

サイコパス映画でした。今や、ヤクザ映画は成り立たず?この映画を見るために一作目の「孤狼の血」を見て、さらに柚月裕子さんの原作『孤狼の血』まで読んでいます(笑)。んー、これはヤクザ映画ではなくサイコパス映画ですね。原作には続編があり三部作となっているのですが、映画はそれとは関係がないようでオリジナルストーリーとあります。ただひとつだけ、原作の『孤狼の血』のラ...

Summer of 85

2021.08.24

英数字, 英字

ロッド・スチュワート「セイリング」の2シーンが美しい人には誰でもどう生きるかといった人生に対するスタンスのような代えがたい価値観のようなものがあると思います。それは、自分の人生に対することだけではなく、社会的な出来事や身の回りの人間関係の見え方にも影響します。当然、そうしたものは創作物にも現れ、またそれが作品の持ち味にもなるわけで、フランソワ・オゾン監督のそれは...

ドライブ・マイ・カー

2021.08.22

た行, , 褒めてる映画

細かすぎて伝わらないと音が加福に言う濱口竜介監督、私個人としても評価は高く、大いに期待する監督のひとりですので批判という意味ではなく言えば、映画としてはちょっとやり過ぎじゃないかと思います。言い方をかえれば、力が入り過ぎている感じがしますし、映画の特質である(と私が思う)直感的にわかる(伝わる)ことがおろそかになっています。それもまあ、本人がわかっていることなの...

ひとくず

2021.08.18

は行,

児童虐待が人情噺に利用されている現在の社会問題を昭和の価値観で片付けてしまってはなにも生まれないと思います。「10ANTS」という劇団の上西雄大さんという方が監督であり、主人公である男性を演じている映画です。劇団(兼芸能プロダクション)のウェブページをみてみますと、「かつての大映映画」とか「浪速の人情」などの言葉が踊っていますので、ああ、そういうことねと、それ...

すべてが変わった日

2021.08.16

さ行,

Let him go はアメリカ社会の裏の一面かもラリー・ワトソン(Larry Watson)さんという作家の同名タイトル「Let him go」という小説が原作らしく、その小説の時代設定は1951年であるところを映画では1963年にしています。なぜこんなに中途半端に時代をずらしたのでしょう。アメリカ人にとっては、その10年の違いにもなにか意味があるのかも...

モロッコ、彼女たちの朝

2021.08.14

ま行, , 褒めてる映画

少ない台詞と抑制された演出で静かなるフェミニズム予想に反してとてもいい映画でした。劇場で本編映画の前に流れる予告編をぼんやり見た印象と邦題「モロッコ、彼女たちの朝」の響きから、それぞれ問題を抱えるふたりの女性が助け合いながら問題を解決していく甘めのハッピーな映画なんだろうと思っていました。違っていました。とんでもなく厳しい映画でした。モロッコ、彼女たち...