マルチに生きるのもまた人生、タイホアの叫びが生々しい…長編デビュー作の前作「春江水暖~しゅんこうすいだん」を見逃していますので期待を持って見に行ったのですが…。西湖畔(せいこはん)に生きる / 監督:グー・シャオガン西湖ってどこにあるの?悠久の中国、自然の旅みたいな映画かと思っていましたら、なんと無茶苦茶濃い〜家...
奈緒さんのインティマシー・コーディネーターを入れて欲しいとの要望を三木康一郎監督が拒否したらしい…奈緒さんは「君は永遠にそいつらより若い」を見てからはかなり注目している俳優さんですので主演映画ということで早速見てきました。が、今、他の出演者名を見ようとググっていましたら、なにー! 奈緒さんが「インティマシー・コーディネーターを入れて欲しい」と申し...
あってはいけない感情はない、そりゃそうだけど小児性愛どうするの…朝井リョウ著『正欲』の映画化です。監督は「あゝ、荒野」「前科者」の岸善幸監督です。今年2023年の東京国際映画祭で最優秀監督賞と観客賞を受賞したようです。正欲 / 監督:岸善幸シナリオがよくないのではないか…この映画をみても原作が見えてこないですね。...
ブルキナファソ、シベリア、バングラデシュの辺境地で奮闘する先生と子どもたちを描いたドキュメンタリーです。2013年に「世界の果ての通学路」という映画がありましたが、プロデューサーがバーセルミー・フォージェアさんという同じ方です。世界のはしっこ、ちいさな教室 / 監督:エミール・テロン5言語が飛び交うブルキナファソブルキナ...
穴から見える世界は馬鹿な男たちの争いごとであり、破壊され、人が死んでいくだけの何も残さない世界2014年7月頃のウクライナ東部ドンバス地方の物語です。2023年の今から見ますと、どうしても現在進行中のロシア・ウクライナ戦争という視点で見てしまいますが、そこに力点が置かれた映画ではありません。映画の制作も、2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以...
モンゴルっぽい映画ではなく、真モンゴル映画日本の公式サイトに「“モンゴル映画”と言えば、草原を舞台にした作品を想起する人が多いはず」とあり、確かにそうだなあと思いながらも、さてどんな映画があるのだろう?と考えて思い出されるのは「モンゴル映画っぽい映画」であって、そもそも「真モンゴル映画」を見たことがないことに気づきます。でも、この「セールス・ガー...
着想の面白さだけで映画はもつか…着想が面白い映画です。反面、もったいない感じがする映画でもあります。監督は阪本順治監督、最近の映画では「弟とアンドロイドと僕」「半世界」を見ています。せかいのおきく / 監督:阪本順治青春映画だったの?ラストシーンでしたか、章のタイトルでしたか、どこかに「青春」という言葉が出てきたと記...
イランの女性連続殺人事件に見る女性蔑視の構造…前作の「ボーダー 二つの世界」では、見る者のざわざわ感を呼び覚ますダークファンタジーで驚かせてくれたアリ・アッバシ監督です。アッバシ監督はその長編2作目にして、2018年のカンヌ国際映画祭ある視点部門でグランプリを受賞しています。そして、この最新作では主演のザーラ・アミール・エブラヒミさんが2022年のカンヌ...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価「フタリノセカイ」の飯塚花笑監督、その映画を見たのはちょうど1年前です。正確な製作年がわかりませんのでなんとも言えませんが、1年でこの「世界は僕らに気づかない」ですか! すごいですね。世界は僕らに気づかない / 監督:飯塚花笑ガウと堀家一希に驚くフィリピン人の母と、父親を知らない...
つくられすぎた物語を田中裕子さんが救うある日ちょっと出掛けてくると言ったまま消えてしまった夫を待つ二人の妻の物語です。監督は久保田直さんというドキュメンタリーをたくさん手がけている監督さんです。ただ、この映画は2014年の「家路」に続く2本めの劇映画で、脚本家青木研次さんのオリジナルストーリーということです。千夜、一夜 / 監督...
「血」で始まり「血」で終わることの意味自由に生きるということは本当に難しい、特に女性にとっては社会的タブーが多すぎます。この映画のブリジットのように生きられればと誰もが思うことでしょう。でも、ブリジットの悩みは尽きない、という映画です。セイント・フランシス / 監督:アレックス・トンプソン脚本:ケリー・オサリヴァ...
日本映画界の失われた30年松本優作監督、この「ぜんぶ、ボクのせい」が商業デビュー作とのこと、ちょうど30歳くらいの方です。「秋葉原無差別殺傷事件をモチーフにした『Noise ノイズ』(19年)が国内外の映画祭で話題を呼んだ」と紹介されています。んー、これではかなり厳しいと思いますが…。ぜんぶ、ボクのせい / 監督:松本優...
戦闘は終わっても戦争は終わらないこの映画は、2015年にノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチさんの代表作『戦争は女の顔をしていない』に着想を得て生まれたものとのことです。監督は、映画制作当時26、7歳(現在31、2歳)のカンテミール・バラーゴフ監督、戦闘は終わっても決して終わることのない戦争を描いています。2019年のカンヌ...
終始正論で迫られ涙を流さざるを得ない世の中の不条理に対して終始正論で迫ってきますので涙を流さざるを得なくなる映画です。保護司 阿川佳代交錯する阿川佳代と工藤誠の物語阿川佳代の物語(現在)工藤誠の物語(現在)拳銃強奪、連続殺人事件工藤兄弟の物語(過去)阿川佳代の物語(過去)そして、事件は終幕へ阿川、工藤を説得する...
中華料理(薬膳)は文化の壁を越える?中国市場向けにつくられた映画か(多分そう)と思うほど中華料理が持ち上げられています。その点ではちょっとやり過ぎかなと思いますが、ラップランドの自然の中で料理を通してフィンランドと中国の価値観の接点が生まれるという映画です。世界で一番しあわせな食堂 / 監督:ミカ・カウリスマキミカ・カウリスマキ監督ネタバレあらす...
信仰、赦し、正しさ、良心とは何か?だが基本はエンターテイメント狙い昨年2020年のアカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされたポーランド映画です。つい先日見た「この世界に残されて」にも書いたのですが、受賞したのは作品賞も受賞した「パラサイト」でした。ただ映画のテーマ性としては、描けているかどうかは別にしてこちらの方がより深い人間性に迫ろうとしています。聖な...
マンスプ系の夫は妻の癒やしにまどろむこれは映画や声優の話というよりも夫婦の物語です。さらに言えばマンスプ系の夫とそれに気づい(ていたけれども自分を騙してい)た妻の物語です。で、ラストがどうなるか?それにより、映画が「甘い」のか、「甘くない」のかがわかります。声優夫婦の甘くない生活 / 監督:エフゲニー・ルーマンマルガリータと百万本のバラ映画の...
神話は水中ではなく地上にあるようだ前作(前前作?)の「鉱 ARAGANE」と言い、この「セノーテ」と言い、タイトルづけや宣伝ヴィジュアルがうまいですね。映画そのものよりも(ペコリ)タイトルが印象づいており、この「セノーテ」も見てみようとなりました。セノーテ / 監督:小田香公式サイトさえ見ずに行きましたので何も知らなかったのですが、愛知芸術文化セン...
ジョージアの神話的、かつ寓話的な美しい映画とにかく美しく、神話的で、それでいてといいますか、それだからこそですが、現代文明批判といいますか、環境破壊への批判的メッセージが感じられる映画です。ジョージアのザザ・ハルヴァシ監督の2017年の作品、その年の東京国際で上映されたようです。聖なる泉の少女 / 監督:ザザ・ハルヴァシこの映画の主演、ナーメを演じ...
ヴィム・ヴェンダース監督の最新作はラブサスペンスか?ヴィム・ヴェンダース監督、73歳、まだまだ精力的です。1,2年に1本の割合で撮っている印象です。前作の「アランフェスの麗しき日々」では言葉の洪水でついていくのが大変でしたが、この「世界の崖ての鼓動」は、しばらく前から流れていた予告編を見て、ん? ヴィム・ヴェンダース監督? と、何となくベタな恋愛ものの印象でちょ...