偏見や差別をはねのけることができるのは、やはり「愛」 この映画、アカデミー賞の13部門でノミネートされているそうですが、主演女優賞のサリー・ホーキンスさんは是非とも受賞してほしいですね。おそらく、彼女でなければ映画そのものがこの出来にはならなかったでしょう。もうひとり目立つのが悪役をやっているマイケル・シャノンさん、残念ながらノミネートされていませんが、こちらも賞...
難民、テロ、天使、神、SF、ファンタジー、内容は豊富だけれど… 「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)」のコーネル・ムンドルッツォ監督の日本公開第2作です。残念ながら前作も見ていませんし、監督のことも何も知らず、予告編で面白いかもと思い見てみました。ハンガリーの監督なんですね。ハンガリーといいますとタル・ベーラ監督くらいしか思い浮かびませんが、自分のサ...
かなりシュールなフランス映画、イザベル・ユペールの娘ロリータ・シャマ主演 エリーズ・ジラール監督って誰だっけとググっていましたら、「ベルヴィル・トーキョー」というなんとなく記憶のある映画が前作とのことで、記憶を辿ってみましたら「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ」という企画で上映されていた映画でした。ただ、残念ながら、他の2作「グッバイ・ファーストラブ」と「ス...
とてもバランスの良い楽しめる映画、女性観も今に通じる 映画を見る楽しみって、ジャンルもいろいろありますし、人それぞれですが、こういう映画は多くの人から好まれるんじゃないでしょうか。まず、構成がしっかりしていますし、人物配置もバランスがよく、ほどほどの感動、涙、笑いがあり、とにかく楽しめます。原作ありとなっていますね。リサ・エヴァンス著『Their Finest ...
他人事とは言っていられない日本なのに「君の名は。」でいいのか? 普段どこの国の映画とさほど意識しているわけではありませんが、あらためて考えてみれば、確かに香港映画を見る機会は減りましたね。ここ1年くらいを思い返しても思い当たりません。製作本数も減っているのだろうと調べてみましたら、2015年で59本というのがあります。ウォン・カーウァイ監督の時代(というのは変?...
私は死にますと言われた周りの人間は大変だという話? 最近では、邦題にいかにもベタな「しあわせ」とか「人生」とかが入っているのに、原題はまったくニュアンスが違う映画はきっといい映画に違いないと分かるようになってきました(笑)。この映画の原題は「Truman」犬の名前です。当たりと言えば当たりの、何とも微妙ではあるのですが、まず日本では撮れないだろうと思える大人の味...
実在したフランスの道化コンビ「フティット&ショコラ」の友情、そして人種差別 「ショコラ」と聞きますと、私はジュリエット・ビノシュとジョニー・デップの映画を思い出してしまいます。映画のタイトル付けもなかなか難しいものです。とは言っても「君がいて、僕がいる」はいただけません(笑)。こちらの「ショコラ」は、公式サイトによれば、20世紀初頭フランスで活躍したラファエル・パ...
3つの時代の3組の恋人たちがひとつの物語を紡ぎ出す。「争い」「迷い」そして「許し」 1990年に始まり、その後10年にわたったユーゴスラビア紛争は、これまで幾度も映画になっていますし、多分これからも様々な視点からの映画が作られていくことでしょう。スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、コソボ、マケドニア。それぞれその下に「紛争」がつくわけですが、遠く...
切実な愛の物語を期待していくと乗り遅れますよ。アルモドバル節に身を委ねればOK。 受賞はありませんでしたが、今年のカンヌのコンペ出品作品です。今年のパルムドールは、ケン・ローチ監督の「わたしは、ダニエル・ブレイク」、来年の3月公開です。グランプリが、グザヴィエ・ドラン監督の「Juste la fin du monde」、こちらも来年の2月公開らしく、邦題は「たかが...
マリの女性たちの性と生、女性賛歌的でエロさはないよ 「ロシア西部のヴォルガ川流域に広がるマリ・エル共和国」こういう知らない国や地域の名を聞きますと、え?どこどこと、即、グーグルマップを開きたくなりますし、どんな映画だろう?と興味をそそられます。もっと南のコーカサス地方かと予想してマップを見たのですが、意外にもモスクワに結構近いんですね。と言っても、モスクワから東...
単純な伝記ものっぽくややもの足りないが、動くジャニスを堪能 「ジャニス・ジョプリン」時代とともに記憶されているスターであるがゆえに、知っているようで知らない人物のひとりです。よく分からないままにレコードを買った記憶があります。ドラッグのせいで亡くなったことをいつどこで聞いたかは覚えていません。あの時代がゆえのスターであり、あの時代がゆえの早逝だったのだと思...
セカンド・インパクトはゴジラの来襲だった! 第一作目のゴジラが制作されたのは1954年なんですね。さすがに同時代に見ていることはありませんので、記憶にあるのはテレビ放映なのか、あるいはいくどか話題になったことで見たような気になっているのか、そんなところだと思います。で、「シン・ゴジラ」面白かったです。それに、これエヴァンゲリオンですね。比較したり分析できるほど「...
YouTube 映像の再構成で、新しい映像表現は生み出せるか? シリアが内戦状態に陥ったのは2011年、もう5年余続いていることになります。それに関わる多くの映像が YouTube や Facebook にあげられているらしく、それらをオサーマ・モハンメド監督が再構成した映画ということです。監督自身はパリ在住らしく、この映画のためにシリアに入ったのかどうかは定...
MTV世代が撮った懐かしの80年代UKポップス映画。やっぱり人は30年前を懐かしがる。 「音楽映画にハズレはない」は、ほぼ定説ですし、その上「青春恋愛もの」とくれば、これはもう鉄板でしょう。とにかく、何も考えなくてもいい、楽しめる映画でした。デュラン・デュランやザ・キュアー、アーハ…、後は、ホール&オーツも流れていましたっけ? といった感じで、一度は...
こういうドラマがウソっぽく感じられないのがアメリカの強さ(かな?)。メリル・ストリープのギターや歌は見応え、聴き応え充分。 もうそろそろ配給もこうしたタイトルで人の歓心を買おうとすることがマイナスになると知るべきでしょう。ロックですよ、ロック。ジョナサン・デミ監督なので見に行きましたが、そうでもなければ、こんなタイトルの映画など見に行きませんよ(笑)。そのせい...
ジェンダー・マリアージュは同性婚という意味にはならないのではないでしょうか? カリフォルニア州で同性婚が法的に(再び)認められるまでを追ったドキュメンタリーです。2,3年前、LGBT に関する本を何冊かまとめて読んだことがあり、この映画が追っている「提案8号」についても事の成り行きだけは知っていました。映画は、2013年6月28日に下されたカリフォルニア州での「...
アイドル映画ぽいけれど、意外にもシニアにもいけますよ、この恋愛シミュレーション映画(笑)。 今泉力哉監督、名前は何年か前から見聞きしていたのですが、機会に恵まれず見逃していました。で、「知らない、ふたり」、上映館の解説のチラシ画像、下の引用と同じものですが、それが結構いい感じだったのと「恋愛群像劇を得意とする」とのコピーに惹かれて見に行きました。で、結果ですが、...
俳優でもっている映画、石橋蓮司、淡路恵子、二階堂ふみがいいです。相変わらず演出は過剰。 見ようと思いリストアップしてあるDVD(Blu-ray)がなかなか消化できません。そのひとつ、タナダユキ監督の「四十九日のレシピ」です。この監督の作品は、「百万円と苦虫女」「ふがいない僕は空を見た」と、見た二本とも苦手な印象しか残っていないのですが、でもなぜか次の作品も見よう...
これはどうも少年と犬の話ではなく馬鹿な大人の話のようだ このところ何やかやと話題になるトルコですが、映画で言えば、最近では「雪の轍/ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督」を思い出します。ロケーションはカッパドキアでしたが、内容はトルコっぽさ(よく知りませんが)はあまり感じられず、どちらかと言いますとヨーロッパっぽい視点の映画でした。それに比べますとこの「シーヴァス」には土...
あまりにアメリカ映画過ぎてどうなの?とは思いますが、過剰さもなく、楽に見られて、ほど良いところなのかなあとは思います 世の中には二種類の映画があります。世の凡人に刺激を与えようとする映画か、落ち込んだ人を勇気づけようとする映画かです。ホントか?(笑)まあ、正直、これを見て勇気づけられる人がいるとも思えませんが、一応後者の範疇には入るのでしょう。離婚やら男女の別れや...