記事一覧

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー

2020.09.08

は行,

女性の友情物語をバディムービーっぽくやろうとしていることが明快で気持ちいい映画ですね。それに面白いです。監督はオリヴィア・ワイルドさん、俳優としてのキャリアは16年くらいで監督としてはこの映画が初の長編とのことです。脚本に4人の女性がクレジットされており、特にケイティ・シルバーマンさんとは信頼関係が強く、すでに次作も共同で制作されることが決まっているようです。原...

グッバイ、リチャード!

2020.09.05

か行,

人は死を覚悟してしか自由になれない、という皮肉ジョニー・デップさん、もう長らく(私は)新作のプロモーションかスキャンダルネタでしか目にしなくなっており、映画は「スウィーニー・トッド(2007)」か「パブリック・エネミーズ(2009)」以来かと思います。グッバイ、リチャード! / 監督:ウェイン・ロバーツもともと二枚目タイプじゃありませんしコミカルな雰...

タッチ・ミー・ノット

2020.09.03

た行,

ローラと秘密のカウンセリングがサブタイトルとはどうよ?2018年のベルリン映画祭で金熊賞を受賞しています。「ベルリン金熊賞史上、最も議論を呼んだ問題作」なんて宣伝文句が使われている映画です。問題作であるかどうかは別にして確かに劇場公開には迷う映画ではあります。その所為か配給はこれまで目にしたことのない「ニコニコフィルム」となっており、ニコニコ動画が新たに配給会...

ラ・ヨローナ 彷徨う女

2020.09.01

ら行,

ホラーと言うよりも女たちの嘆きと悲しみの映画「火の山のマリア」のハイロ・ブスタマンテ監督の4年ぶりの新作ということになります。この作品は昨年2019年8月のヴェネチア映画祭で上映された映画ですが、IMDbを見ますと、ほぼ同時期の2019年の2月のベルリン映画祭に「Temblores(Tremors、震え?)」という作品が出品されています。ラ・ヨローナ 彷徨...

ソワレ

2020.08.28

さ行,

逃避行ものなのに「僕たちには明日は続く」男女の逃避行ものと言えば「俺たちに明日はない」に勝るものはありません。と、言い切ることに異論のある方はいないと思いますが(笑)、果たして「ソワレ」は現代の「俺たちに明日はない」になったのでしょうか。ソワレ / 監督:外山文治んー、ラスト、そこへ行くんかい…(涙)。まあオチのつけかたが現代的といえば現代的で...

赤い闇 スターリンの冷たい大地で

2020.08.26

あ行,

ホロドモール、ウクライナ、ジョージ・オーウェル、動物農場「ソハの地下水道」のアグニェシュカ・ホランド監督の10年ぶりの新作です。と思いましたら、2017年に「ポコット 動物たちの復讐」という映画が「ポーランド映画祭2018」で上映されているようです。それにIMDbによればその間にもTVドラマをたくさん撮っています。赤い闇 スターリンの冷たい大地で / 監...

この世の果て、数多の終焉

2020.08.24

か行,

フランス版地獄の黙示録なのだが…この映画は、ギヨーム・ニクルー監督のユニークな発想でつくられたものなのか、あるいは単に映画づくりが下手なだけなのか(ペコリ)よくわからないところがあります。日付を追って時間経過を示しながら物語として変化させられない構成、ぶっきらぼうな編集、戦場シーンに不釣り合いな音楽、そしてファーストシーンとラストシーンの意図不明な関連性、どれも...

2020.08.21

あ行,

閉じた価値観の平成ラブストーリー中島みゆきさんの「糸」に着想を得て制作された映画ということです。縦の糸はあなた横の糸は私逢うべき糸に出逢えることを人は仕合わせと呼びますこの歌詞からしてもおよそ内容は想像できますし、そのとおりの映画でした。ただ、覚悟して見に行った割には意外にもさほど苦にならず(ペコリ)見られました。糸 / 監督:瀬々敬久覚...

ポルトガル、夏の終わり

2020.08.19

は行,

ロメールっぽさを使ったアイラ・サックス監督の世界かも映画のつくりがロメールっぽいなあと思いながら見ていましたので、帰り道、さっそく映画のタイトルとロメールでググりましたらやっぱりかなりヒットします。それにアイラ・サックス監督本人が「ロメールを研究した」と語ったかのような記述もあります。ポルトガル、夏の終わり / 監督:アイラ・サックスインタビューがな...

ぶあいそうな手紙

2020.08.17

は行,

ブラジルからハートウォーミングな物語男が、はっきりと人生の残り時間を自覚し始めたとき夢見るファンタジーです。ぶあいそうな手紙 / 監督:アナ・ルイーザ・アゼヴェード実はこの映画、見てからもう2週間くらいは経っています。最近は見る本数も増えてきていますので見たらその日か次の日にはなにか書き残すようにしていますのでこういうケースは珍しいです。映画とし...

ファヒム パリが見た奇跡

2020.08.16

は行,

バングラディッシュの天才チェス少年、パリに渡る貧しい家庭の少年がチェスで成功する感動物語なんだろう程度の認識で見に行きましたら、確かにそれはそうだったんですが、映画のつくりになにかしっくりこないものを感じた映画でした。ファヒム パリが見た奇跡 / 監督:ピエール=フランソワ・マンタン=ラバル何がしっくりこないかと言いますと、まず感動物語にしようとして...

ボヤンシー 眼差しの向こうに

2020.08.13

は行,

カンボジアの14歳の少年、奴隷船から生還する配給がイオンエンターテイメントですと郊外にしかないイオンシネマまで足を運ばなくてはいけないという残念なことになります。しかし、これはいい映画でよかったです。ミニシアターでやれば(東京だけではなく)もう少し注目度も上がったのではないかと思います。ボヤンシー 眼差しの向こうに / 監督:ロッド・ラスジェンカ...

破壊の日

2020.08.09

は行,

豊田利晃監督、変われ!と叫ぶ変われ!!破壊の日 / 監督:豊田利晃と言われて、変わらなくっちゃと思うか、変えなくっちゃと思うか、あるいは はあ? と思うか、はたまたお前こそ変われと思うか、人それぞれという映画でしょうか。クラウドファンディングで制作資金が集められた映画らしく、そのこと自体も知らず今いろいろ読んでみたところでは、東京オリンピックの開...

君が世界のはじまり

2020.08.07

か行,

この一昔前感はふくだももこのもの?向井康介のもの?ふくだももこさんという名前、なにで見たのかなあ?と記憶をたどってみましたら「おいしい家族」を見ようか見まいかと迷った時でした。結局見なかったのですが、今回は松本穂香さんと脚本の向井康介さんの名前が目に入り見ることにしました。君が世界のはじまり / 監督:ふくだももこ松本穂香さんは「わたしは光をにぎっ...

あなたの顔

2020.08.05

あ行,

ツァイ・ミンリャン監督、坂本龍一音楽2013年のヴェネチア映画祭で「郊遊 ピクニック」が上映された際に引退を語った(らしい)ツァイ・ミンリャン監督ですが、真意は商業主義的なシステムでは撮らないということだったらしく、実際それ以降もショートフィルムやドキュメンタリーをたくさん手がけています。この映画もそのひとつということなんでしょう。台北に暮らす12人の一...

ドヴラートフ レニングラードの作家たち

2020.08.03

た行,

美しき長回し、重層的な台詞、再現される1971年のソビエト映画の内容、特に台詞は半分も理解できていないと思いますが面白かったです。DVD化されればぜひもう一度見たい映画です。ドヴラートフ レニングラードの作家たち / 監督:アレクセイ・ゲルマン・Jr.まずセルゲイ・ドヴラートフという作家自体を知りません。その作家の1971年11月7日までの6日間を...

はちどり

2020.07.31

は行,

キム・ボラ監督の記憶の映画のように見える…全編、幻を見ているような映画です。あるいは、思春期、この映画のウニは14歳ですが(私には)すでに遠い過去になってしまったあの頃、世界はこう見えていたのかもしれません。はちどり / 監督:キム・ボラ…とは思うのですが、映画としては非常にわかりにくいです。もう少し正確に言いますと、わかりにくいシーンが何シー...

LETO レト

2020.07.29

おすすめ映画, 英数字, 英字

80年代ソ連の切ない青春物語と皮肉を込めた反権力半月ほど前に見た「WAVES ウェイブス」に対しては「初めから終わりまでべったりくっついた音楽がうるさいですし、画のつくりがあざとすぎる」とやや(かなり?)批判的に書きましたが、この映画も同じようにほぼ全編音楽がついており、画の点でも下の画像のように基本はモノクロで時々カラーになったりアニメーションが入ったりとか...

リトル・ジョー

2020.07.26

ら行,

寓話的ファンタジーなのだが寓話性が足りず「ルルドの泉で」のジェシカ・ハウスナー監督の最新作です。主演のエミリー・ビーチャムさんが昨年2019年のカンヌで女優賞を受賞しています。ハウスナー監督の映画は日本ではほぼ10年ぶりということになりますが、2014年に「Amour fou」という映画を撮っているようです。英題は「Mad Love」ですので狂った愛みたいなニュ...

グレース・オブ・ゴッド 告発の時

2020.07.25

か行,

現在進行中の実話を描くフランソワ・オゾン監督公式サイトには現在でも裁判が進行中とあります。フランス、リヨンのカトリック教会の聖職者による児童への性的虐待事件を描いた映画です。実話に基づいているということで、エンドロールの前にその後の裁判の経過がスーパーで入っており、確か2020年の日付もあったように記憶していますがどういうことなんでしょう? この映画の製作年は2...