この映画の時間は止まっている。あるひとつの感情が約2時間に渡って繰り返されているよう 「息子の部屋」を見たような記憶はあるのですが、全く内容を思い出せないという程度ですので、初ナンニ・モレッティ監督ということになります。カンヌの「エキュメニカル審査員賞」というものを受賞していますので、どんな賞?と調べてみましたら、「エキュメニカルとはキリスト教の教会統一の意。キリ...
出だしはやや退屈ですが、中盤からはお母さんの存在感に惹きつけられ、そしてラストは「そっちか!?」とびっくり! グアテマラの映画です。昨年のベルリンで、銀熊アルフレッド・バウアー賞を受賞しています。久しぶりにびっくりしました! この手のびっくりは「父の秘密」以来です。ドンデンとか、秘密が明らかになるとか、そういった部類のことではありませんので、それを知ったから...
コソボ独立反対のデモ(暴動?)のシーンはうまく撮れていたと思いますが、映画としてはややとりとめのない印象 セルビアの映画です。民族や宗教が交錯するバルカン半島は、実感として日本人には一番理解し難い地域かもしれません。特にセルビアが属していた旧ユーゴスラビアは、「七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、二つの文字、一つの国家」(ウィキ)と形容さ...
本気で安田顕さんを主役で撮ろうとしたのか問いたいですね。 横浜聡子監督、私の中ではかなり期待度の高い監督で、「ウルトラミラクルラブストーリー」以来、長編を待ち望んでいた監督です。短編では、「おばあちゃん女の子、真夜中からとびうつれ」を見ているのですが、もう4年前ですね。「ウルトラミラクルラブストーリー」からは8年です。まあ、映画を撮るのもそう簡単ではない...
「馬々と人間たち」は馬と人間が共存している感じがしましたが、これは羊を脇に置いた人間の映画ですね 2015年のカンヌ「ある視点」部門のグランプリ作品です。同じ年、黒沢清監督の「岸辺の旅」が監督賞を受賞しています。ところで「ある視点」部門って何なんでしょう? ウィキには「1998年、若き才能を認め、フランス国内での配給を支援する補助金を提供することで、革新的で大胆な...
人間みんなバードピープルですよ。 予告を見た印象ではもっとファンタスティックな映画かと思っていましたら、結構シリアスで、ちょっと不思議な感じの映画でした。ファンタジーをイメージしたわけは、主役の役名がオドレイで、演じているのがアナイス・ドゥムースティエときていて、似ているわけではないのですが、なんとなく「アメリ」のオドレイ・トトゥが浮かんでしまい、きっとアナイス...
川べりの廃船、そこへ素潜りで行き来し魚や貝で生活の糧を得る少年、設定は大いに期待をもたせるのだが… イラン映画を見始めたのは、ご多分にもれずアッバス・キアロスタミ監督の「友だちのうちはどこ?」からですが、振り返ってみますと、そのままイラン国内の映画事情を反映しているのかどうかは分かりませんが、イラン映画というのは作家性の強い作品が多いですね。そうしたところが日本や...
これ、エンディングも「希望に満ち(公式サイト)」てはいないよね…。 冒頭、大きなベッドにふたりの幼い子どもが気持ちよさそうに眠っています。カメラはその姿をじっと捉えています。至福の時はゆったり流れる、と思いきや、突然映像は切り替わり、部屋の中を慌ただしく動きまわる子供を追いかけるように、カメラもまた手持ちのまま激しく動きまわります。おお、いけるじゃない、この...
私が審査委員長なら、パルムドールでも、金熊でも、金獅子でも何でもあげちゃいます これは「映画」です!余計なことは語らない、余計な演技はしない。画が全てであり、画にとらえられた人が全てです。そして、ラストカットのカタルシス。いや、この映画の場合、たしかにストンと心に落ちはしますが、カタルシスという言葉は当たらないかもしれません。なぜなら、二人の子どもたちにとっ...
実は共演がすごい!「コーヒーをめぐる冒険」に「4分間のピアニスト」 もう少し期待して見に行ったのですが、思ったよりも単調で、オチも単純なものでした。と言っても、読めたということではなく、そもそも「トリック」やら「ラストのドンデン」で売ろうとして作られていないのかも知れません。ほぼ全編ベンヤミンの告白で進行するわけですから、そりゃ最後にひっくり返ることくらい誰でも予...
緯度と理屈っぽさは比例する?スペイン映画なら笑ってすますのに… すでにハリウッドでのリメイクも決まっているとのこと、この映画は間違いなくハリウッド向きですね。こんな個的なテーマを、こんな偉そうに上から目線でやられた日にゃ、たまったものじゃありません。その辺、ハリウッドはうまいもので、個人の尊厳を脅かすようなテーマを直接的には描きませんし、ちょっと穿った言い方をす...
女性監督の描くセックスシーンはやたら生々しくエロいような気がするのですが… ふがいない僕は空を見た発売日: 2013/11/26メディア: Prime Video相変わらず、と言っても「百万円と苦虫女」しか見ていないのですが、ステレオタイプな人物や群像でドラマづくりをする監督ですね。「百万円…」では、それが相当鼻についてうんざりしたものですが、この映画は、構成がし...
出来るならば、70歳になっても80歳になっても、こういう映画を作り続けて欲しいとは思います 「その男、凶暴につき」に続き、「HANA-BI」と「キッズ・リターン」です。やはり、見る時代によって、というより自分の年齢でしょうか、随分印象が違います。[aal B0741C57S1]公開時と同じように、今でも、俳優ビートたけしの、つまり監督北...
ラストも過剰ではなく程よい感動をもたらしてくれます。気持ちのいい映画でした。 パレードへようこそ(字幕版)発売日: 2015/09/25メディア: Amazon インスタント・ビデオこの商品を含むブログ (3件) を見るベタだけど感動しますね、こういう映画は。テンポもいいですし、いろいろ細かいエピソードをちりばめて楽しませてくれます。『パレードへようこそ』予告編...
個人的趣味の問題なのかも知れませんが、オーソドックスに時間軸に沿って音楽と映像だけで見せてもらった方が感動したような映画です パプーシャの黒い瞳 Blu-ray 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 2015/10/31 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (2件) を見る何だかもったいない感じがします。興味をそ...
日本でこういう映画が生まれないのはなぜなんでしょう? パリよ、永遠に(字幕版) 発売日: 2015/09/02 メディア: Amazonビデオ この商品を含むブログを見るドイツ人であるフォルカー・シュレンドルフ監督がフランスでこういう映画を撮るということがドイツとフランスの成熟した関係を現しているということなんでしょう。残念ながら、なか...
こうした映画を見ますと、日本で語られるグローバルだの多様性だのという言葉が実に空虚に聞こえます。 バベルの学校 [DVD]発売日: 2015/10/10メディア: DVD何気なく映画の紹介欄をみていましたら「やさしい嘘」の文字が目にとまり、「えっ?」と思い、読んでみますと、ジュリー・ベルトゥチェリ監督のドキュメンタリー作品とのこと、「バベルの学校」という映画をやっ...
熱さのない冷めた復讐の連鎖がなんとも虚無的です ブルー・リベンジ [Blu-ray]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2015/08/19メディア: Blu-rayこの商品を含むブログ (2件) を見る新鮮な感じで面白かったのですが、なんとも表現の難しい映画です。復讐ものですがアクションものではなく、サスペンスであってもドキドキはほとんどなく、そもそも復...
森と湖の国フィンランドの美しき風景とタンゴがよく合っていました [aal B00WQTCJKM]フィンランドの美しき自然とタンゴ、よく合います。https://www.youtube.com/embed/RZgXEQDeXsYタンゴ発祥の地をめぐり、ブエノスアイレスで活動する3人のタンゴミュージシャンがフィンランドを旅する...
完全にベルリンの金熊にだまされました(笑) 薄氷の殺人メディア: Prime Video完全にベルリンの金熊にだまされました(笑)。映画『薄氷の殺人』予告編カメラが微妙に揺れる冒頭のシーン、ビニールシートに包まれた、多分死体だろう物体が土の中に埋もれています。やがてそれはトラックの荷台だと分かり…、なんて、結構出だしは良かったのですが、しばらく見ていますと、首...