超スローモーションのアクションシーンが唯一の見せ場 映画を見る際の選択肢のひとつにいろんな国の映画を見たいということがあります。残念がら最近はその希望もなかなか叶わなくなってきており、そろそろ配信ということも考えなくてはいけないかと思い始めているところなんですが、この「ガンパウダー・ミルクシェイク」は、ナボット・パプシャド監督がイスラエルの方であり、前作の...
建物にしみ込んだ記憶への詩的な鎮魂ファンタジー ユーリイ・ガガーリン人類で初めて宇宙へ行ったソ連の宇宙飛行士であり軍人です。1961年のことです。この映画はその伝記ものでも何でもありません。パリ南東に隣接するイヴリー=シュル=セーヌというコミューン(地方自治体のこと)にある(あった)「ガガーリン団地(CitéGagarine)」と名付けられた共同住...
青春旅立ち映画としてはかなり保守的 音楽映画&青春旅立ち映画という感じです。パキスタンをルーツとするイギリス人のサルフラズ・マンズールの回顧録(自伝?)を原作としており、脚本にも本人が参加しています。ブルース・スプリングスティーンの曲によって人生を一歩踏み出したという映画ですのでブルース・スプリングスティーンの曲がふんだんに使われています。...
男たちよ、うるさいぞ! SFはあまり見ないのですが、以前見た同じくダグ・リーマン監督の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」には妙によかったとの印象が残っており、その名が目に入りましたので、ちょっと不安ながらも(笑)見てみましら…いや、面白かったですよ。カオス・ウォーキング / 監督:ダグ・リーマン意表を突く始まり方男性社会と共生社会ノイズネ...
人間関係にツッコミが足りず、かなり古くさい 今泉力哉監督の映画は「知らない、ふたり」以降それなりに見ていますが、そろそろもういいかなと、これは単に個人的趣味の話ではあるのですが、そう思っていたところ志田彩良さんの名前が目に入り、ん?だれっけ?とググりましたら、「ひかりのたび」でした。結構印象に残っている俳優さんですので、もう1本ということで見た映画です。か...
萩原慎一郎の歌集からのオリジナルストーリー 萩原慎一郎さんの歌集『滑走路』をベースにしたオリジナルストーリーの映画です。桑村さや香さんのシナリオがとてもよく、それを大庭功睦監督が俳優の間合いを活かし緊張感を途切れさせず息苦しいくらいに張り詰めた映画にしています。滑走路 / 監督:大庭功睦萩原慎一郎さんとはネタバレあらすじシナリオのうまさが光る...
鵞鳥湖の夜は…いまだ明けず。 なんなんでしょう…、まったく心が騒がない(動かない)映画ですね。動かないのは見ている方が悪い? いやいや、そうでもないでしょう、テレビのサスペンス劇場でも(見ていませんが)もう少し、この先どうなるんだろう? とか、誰が犯人なんだろう? くらいには心は動きます。2014年のベルリン映画祭で金熊賞を受賞したディアオ・イーナン監督の受賞後...
(DVD)叙情的すぎる内容を山崎まさよしが救っている映画かも。 山崎まさよしさんは俳優もやるんですね。自然体で特に演技しないところがよかったです。まあ、この映画で濃いー演技をされたらクサくなって見ていられなかったでしょう。影踏み / 監督:篠原哲雄その山崎まさよしさんも初めて、篠原哲雄監督も初めてという映画です。そもそも内容もまったく知らずに見始め...
映画としての視点が定まらず、コトの成り行きしかみえず 最後まで何をやろうとしているのかわからない映画でした。見終えた後、原作の書評などを読んでみましたら、え? そういう話だったの!? とびっくりしましたので、見られる方は原作を読んでからのほうがいいかもしれません。影裏 (文春文庫)作者:沼田 真佑出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2019/0...
この映画には俳優モトーラ世理奈ではなくハルがいる 10年という時の流れを経てもなお癒やされない悲しみを俳優の演技だけで表現することはかなり難しいことだと思います。それをやってのけたのがモトーラ世理奈さんであり、監督の諏訪敦彦さんです。東日本大震災のことです。ラスト、亡くなった家族へ「風の電話」をするハル=モトーラ世理奈、10分か、15分か、カメラはそのハルをアッ...
労働者よ、もっと怒れ!とケン・ローチ監督は言っている ケン・ローチ監督はもともと策を弄するような映画は撮らない直球勝負の監督ですが、前作の「わたしは、ダニエル・ブレイク」からさらにその傾向が強まり、この映画では行くところまで行っている感じがします。言い方を変えますと、ケン・ローチ監督、前作にも増して心の底から怒っています。家族を想うとき / 監督:ケン・ロ...
エンタメ映画の王道でシリーズ化をねらう? 特に何かを期待して見るような映画ではなく(批判ではない)、映画の楽しみ方のひとつとしてはありかなという映画です。笑いの要素がやや不足してはいますが、全体としては楽しめます。個々の俳優を見る映画でもあります。カツベン! / 監督:周防正行と言ったことよりも、この映画の企画がどういう形で生まれてきたか興味がありま...
ジャ・ジャンクー監督、「青の稲妻」「長江哀歌」、そしてどこへ? 2001年から2017年という17年間の時代の変化を背景にした男と女の、ではなく女と男の愛の変遷、言い換えれば女と男の意地の張り合いが描かれます。前作の「山河ノスタルジア」も1999年に始まり、2014年、そして2025年と2000年代を時代背景としていましたので、およそこの20年が、中国という国の変...
作家役のリリー・ジェームスが好印象 映画らしい映画、というのも変ですが、構成がしっかりしていますし、謎解きあり、恋愛ありで、最後はちょっと収め過ぎくらいにきっちりオチがついています。映画の原題「The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society」と同名の原作があります。 ガーンジー島の読書会 (上)作者...
R18+の大人のアニメかも?と思う男の妄想ファンタジー 後半に入り、そろそろ結末やなあ、どうするんだろう? と思っていましたら、ん? 何だって? ジョーク? え!? マジ!みたいな思わぬ展開に、そういう話だったのねと、そもそもの男女ファンタジーに、60年代(70年代?)的四畳半ファンタジーが加わり、妙に納得できる映画でした。火口のふたり / 監督:荒井晴...
映画というよりビデオアートと思って見たほうがいい 「あまりに衝撃的な内容に各国の映画祭で途中退場者続出!」と煽っていますが、もしそれが本当だとすれば、それは映画がつまらないからでしょう。カニバ / 監督:ヴェレナ・パラヴェル、ルーシァン・キャステーヌ=テイラーつまらないというのも正しくないかもしれません。まず、この映画、たとえば、カニバリズムであると...
ネグレクトを愛情視点で描いていいものか? まためんどくさい映画を見てしまいました(笑)。これが今の話なら、完全に児童虐待でアウトです。それをこんな脳天気な父娘の愛情物語に描くなんて、いくら1970年代の話だとしても、映画にするならもう少し考えるべきかと思います。もうこんなブラックな家族ファンタジーはやめましょうよ、という映画です。ガラスの城の約束 / 監...
チェ・ヒソの文子は現実の文子を思わせる 半年くらい前に金子文子の獄中手記『何が私をこうさせたか』を読んだばかりですので、個人的にはとてもタイミングのいい映画でした。月曜日の昼間に観に行ったのですが、意外にも(ペコリ)そこそこ入っており、ちょっと驚きでした。金子文子と朴烈 / 監督:イ・ジュンイク『何が私をこうさせたか』は、映画の中でも文子が獄中で執筆す...
悠久のガンジスの生と死、そして家族 「終活」なんて言葉が頻繁に使われるようになっていますので、ついつい、インド版終活映画なんて言いたくなってしまいますが、よくよく考えてみますと、これは送る側の映画ですね。公式サイト / 監督:シュバシシュ・ブティアニいくつくらいの設定でしょうか、80歳くらいでしょうか(*1)、上の画像の老人ダヤ(ラリット・ベヘル)ですが、...
見えていなかったのはジーナ? それともジェームズ? マーク・フォースター監督、見たのは「チョコレート」だけかと思っていましたが、あらためてウィキペディアを見ていましたら「マシンガン・プリーチャー」? あら? 見たような記憶が…とブログ内を検索してみましたら、ありました(笑)。ただ、読み返してみても全くよみがえってきません。それにしても、いろんな映画を撮る監督ですね...