夫ピエールとの愛、ジェンダー不平等社会、科学の功罪、3つの視点 なぜノーベル賞ウィーク(発表)にあわせて公開しないのかなあと思いましたら、東京じゃ10月14日が劇場公開日だったようです。ただ、発表はその前の週に終わっていますので、そもそもあまり意識されていないのかもしれません。某地域では今日(書き終えたら昨日になってしまった)が2週間遅れの公開日でした。...
ひりひりする渇きも足りず、偽りの後ろめたさも描かれず 俳優のエリック・バナさんがベストセラー小説のジェイン・ハーパー著『渇きと偽り』にほれ込み、主演とともにプロデューサーも買ってで出たというオーストラリア映画です。渇きと偽り / 監督:ロバート・コノリー原作を想像してみると…この映画を見て原作の『The Dry(渇...
評価・表裏のない人たちのいい人ファンタジー 荻上直子監督です。「かもめ食堂」と「彼らが本気で編むときは、」の2本を見ているだけですが、いい人ファンタジーをうまく撮る監督の印象です。川っぺりムコリッタ / 監督:荻上直子荻上直子監督自身の小説を原作としています。[aal B09BN825TH]隣人ファンタジ...
タランティーノ風ヤクザものごった煮生煮え版 西島秀俊、斉藤工、宮沢氷魚、玉城ティナ、宮川大輔、大森南朋、三浦友和、奥野瑛太、片岡礼子、奥田瑛二、鶴見辰吾グッバイ・クルエル・ワールド / 監督:大森立嗣ある企画会議でA:次の映画の企画、ヤクザものってのはどうっスかね?B:ヤクザものじゃ東○さんには勝てんだろ。「孤狼の血」...
現実的な俳優が超現実な空間に置かれるシュールさ 「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2017」準グランプリ作品の映画化らしいです。それに引っかかったわけではなく「町田くんの世界」の文字がぱっと目に入ってきましたので思わず(なぜか)ぽちっとしてしまいました。この子は邪悪 / 監督:片岡翔シュールな俳...
構成、編集(モンタージュ)、撮影、音楽が一体となった新しい感覚の映画 プレスリリースのストーリーには「家出をした女性の物語、のようだ」の一行しか書かれておらず、また、マチュー・アマルリック監督自身が「彼女に実際には何が起きたのか、この映画見る前の方々には明らかにはなさらないでください」と語っていると宣伝されている映画です。彼女のい...
ネグレクトの決断、地上に満天の星を見ようとする話ではないのに… ニューヨークの地下には下水道や地下鉄のトンネル内で暮らす人々がいた(いる?)そうです。その母娘の話です。監督はこれが長編デビューとなるセリーヌ・ヘルドさんとローガン・ジョージさんのふたり、連名です。きっと地上には満天の星 / 監督:セリーヌ・ヘルド&ローガン・ジョージ...
ジャン=マルク・ヴァレ監督追悼、2005年からの1970年代青春回顧 昨年2021年の12月25日に亡くなったジャン=マルク・ヴァレ監督の2005年の映画です。亡くなった時はケベック州の湖畔のコテージにひとりだったそうです。警察発表では「Mr. Vallée’s death was not caused by the intervention of...
脚本家渡辺あやの青春は挫折の記憶か?そしてノスタルジー 「ワンダーウォール 劇場版」に出演していた須藤蓮さんの初監督作品です。脚本は渡辺あやさん、「ワンダーウォール」の脚本も渡辺さんですのでその縁のようです。逆光 / 監督:須藤蓮渡辺あや、須藤蓮渡辺あやさんも須藤蓮さんもどんな方かはっきりとは認識できていませんので...
小説の映画化は感想を映像にすることではない 『むらさきのスカートの女』で2019年上期に芥川賞を受賞した今村夏子さんのデビュー作『こちらあみ子』の映画化です。原作は2010年の作品ですが、デビュー作にして太宰治賞、三島由紀夫賞を受賞しています。2020年に芦田愛菜主演で映画化された「星の子」も今村夏子さんの原作です。監督の森井勇佑さんは現在37歳、...
1970年から半世紀、女性解放は遅々として進まず、特に日本では… 1970年前後は第二波フェミニズムの時代であり、日本でもウーマン・リブ(Women's Liberation Movement)と呼ばれた女性解放運動が大きなムーブメントとなっていました。そうした時代の1970年、イギリスで行われたミス・ワールド世界大会の会場で女性解放を訴えようと抗...
岸井ゆきの、ムロツヨシ2人の豹変力(?)俳優力が光る ????田恵輔(吉田恵輔)監督、振り返ってみれば「ヒメアノ~ル」からすべて見ています。「犬猿」「愛しのアイリーン」「BLUE/ブルー」「告白」、好みとして合うわけではないのですが、うまいなあと思うところが多い監督です。よかったのは「犬猿」と「BLUE/ブルー」です。神は見返りを...
1300kmのローカルバスの旅、果たしてその目的は… 公式サイトの宣伝コピーに「数々の映画祭での受賞・ノミネート歴を誇る名監督として評価されるギリーズ・マッキノン監督」というものがあり、え? まったく知らない監督だぁ…と過去のタイトルを見てみましたが、やはりどのタイトルも見た記憶のない監督でした。現在74歳、スコットランドの監督で「ウイスキーと2人...
1924年のジェーンが現代女性のように描かれている イギリスの文学賞ブッカー賞を受賞している作家グレアム・スウィフトさんの『マザリング・サンデー』の映画化です。受賞している作品はこれではなく『ラスト・オーダー』です。今年2022年のブッカー賞には川上未映子さんの『へヴン』が最終候補作に残っていたんですが受賞は逃しています。日本人の受賞はまだひとりも...
今の日本は50年前のアメリカかも… グロリア・スタイネムさんという「女性解放運動のパイオニア(公式サイト)」といわれる女性の伝記的な映画です。英語版のウィキペディアでは「an American feminist journalist and social political activist(フェミニスト、ジャーナリスト、社会政治活動家)」となっています。...
マイク・ミルズ、ホアキン・フェニックス、ウッディ・ノーマン マイク・ミルズ監督はプライベートなところから創作意欲がわく監督のようです。前作の「20センチュリー・ウーマン」では自身の母親、「人生はビギナーズ」では父親、そしてこの「カモン カモン」では自身の子育てをテーマに映画を撮っています。カモン カモン / 監督:マイク・ミルズ...
原作とは違い、男たちの青春ものになってしまった(涙) 柴崎友香さんの『きょうのできごと、十年後』を読み、おもしろかったので、それがデビュー作の続編であることも知らなかったそのデビュー作『きょうのできごと』を読み、そのデビュー作が行定勲監督によって映画化されていることを知り、DVDで見てみました。きょうのできごと a day on ...
超スローモーションのアクションシーンが唯一の見せ場 映画を見る際の選択肢のひとつにいろんな国の映画を見たいということがあります。残念がら最近はその希望もなかなか叶わなくなってきており、そろそろ配信ということも考えなくてはいけないかと思い始めているところなんですが、この「ガンパウダー・ミルクシェイク」は、ナボット・パプシャド監督がイスラエルの方であり、前作の...
ゴゴベリゼ監督自身が過去の思いと折り合いをつける映画か… ジョージアのラナ・ゴゴベリゼ監督の2019年の映画です。現在93歳とのことです。公式サイトにはジョージアを代表する映画監督とありますが、この「金の糸」の前は1992年の「ペチョラのワルツ(Valsi Pechoraze)」という映画が最後であり、ちょうどジョージアが1991年のソ連邦解体後に独立して...
建物にしみ込んだ記憶への詩的な鎮魂ファンタジー ユーリイ・ガガーリン人類で初めて宇宙へ行ったソ連の宇宙飛行士であり軍人です。1961年のことです。この映画はその伝記ものでも何でもありません。パリ南東に隣接するイヴリー=シュル=セーヌというコミューン(地方自治体のこと)にある(あった)「ガガーリン団地(CitéGagarine)」と名付けられた共同住...