愛とセックスと妄想のカオス… グレッグ・アラキ監督、ロサンゼルス生まれの日系三世の監督です。現在64歳、ウィキペディアなどを読みますとインディ系ではかなり著名な監督さんのようですがまったく知りませんでした。この「ノーウェア」は1997年の映画で、ティーンエイジ・アポカリプス三部作と言われる他の「ドゥーム・ジェネレーション」「トータリー・ファックド・アップ」...
キャスティングが親の七光の結果なら子どもにとってはよくない… 「パリ郊外の団地で育った労働者階級の12歳の黒人少女ネネ(公式サイト)」がパリ・オペラ座のエトワールを目指す話とくれば、おおよそどんな映画かは想像はつくのですが…。ネネ -エトワールに憧れて- / 監督:ラムジ・ベン・スリマン製作側の意図が見えない困った映画…...
実話にもとづく70年後の感動物語と70年間のラブストーリー… 現在91歳のマイケル・ケインさんと残念ながら昨年2023年6月15日に87歳で亡くなられたグレンダ・ジャクソンさんの共演という映画です。さすがにこの年齢ですのでどちらも何本かは見ていますが、これといった映画を思い出せない俳優さんです(ゴメン…)。2度目のはなればなれ /...
あみこ、カナ、山中瑶子監督の分身かな… 前作「あみこ」のレビューに「こういう才能が継続的に映画が撮れるといいのですが…」と書いた山中瑶子監督の長編二作目です。今年2024年のカンヌ国際映画祭の監督週間で上映され、国際映画批評家連盟賞を受賞したとのことです。ナミビアの砂漠 / 監督:山中瑶子ナミブ砂漠の人工水飲み場…...
少女の物語というよりも家族は小宇宙という話… 邦題やチラシなどのビジュアルから少女の感傷的な話の方に引っ張られそうになりますが、それは映画の一面であって全体としてはちょっと違うかもしれません。なにせ原題は「Tótem」ですし、本家のビジュアルも随分印象が違います。夏の終わりに願うこと / 監督:リラ・アビレスTótem 小...
「No.10」はアレックス・ファン・ヴァーメルダム監督自身の10作目という意味らしい… オランダのマルク・ファン・ヴァーメルダム監督の2021年の映画です。初めて目にする名前ですが、2013年に「ボーグマン」という映画でカンヌのコンペティションに選出されたことがあるようです。オランダの映画監督といいますと、「エル ELLE」や「ベネデッタ」のポール・バーホ...
どう考えても理不尽なことなのに、それをスクリーンで見ているだけの居心地の悪さ… 「ソハの地下水道」「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」のアグニエシュカ・ホランド監督です。前作の「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」では、ホロドモールというスターリン時代のソ連邦によるウクライナの人為的な飢餓を知りました。そして、この「人間の境界(Green Border)」で...
この手の舞台劇をそのまま映画にしたらコントにしかならないよ… 時々、いい映画を見逃していないかとDVDレンタル屋さんでポチッポチッとやっていますが、その際にどことなく惹かれて見た2021年の映画です。多分印象的な画像が目についたんでしょう。成れの果て / 監督:宮岡太郎悪い人ファンタジー…2009年に「elePHA...
これも愛 あれも愛 たぶん愛 きっと愛… 映画.com に「東京藝術大学大学院での修了制作「小さな声で囁いて」で注目された若手監督・山本英の商業映画デビュー作」とあったのと橋本愛さんの映画をしっかり見たことがないなあと思い見てみました。熱のあとに / 監督:山本英不思議な映画…映画の内容が不思議なわけではありません...
女性の自立と主体性、男性の家族主義と支配欲… メーサーロシュ・マールタ監督特集上映の一作「アダプション/ある母と娘の記録」が素晴らしかったですので、可能な限り見ようと「ナイン・マンス」を見てきました。これまた、びっくりしました。ナイン・マンス / 監督:メーサーロシュ・マールタ明確な女性の自立と主体性への意識...
原作は『チェスの話』で「ナチスに仕掛けた…」とのニュアンスはほとんどなさそう… オーストリアの作家シュテファン・ツヴァイクさんの『チェスの話(Schachnovelle)』の映画化です。作家としてはよく知りませんが、映画で言えば、パトリス・ルコント監督の「暮れ逢い」が『過去への旅(Widerstand der Wirklichkeit)』の映画化でしたし、...
退職金あげるよと言えなければ人生変わらないと思いますが… 2019フィルメックス新人監督賞受賞作とあり、4年前の受賞作を今なの? と思いましたら、「新人監督賞は商業映画の実績がない新鋭監督が対象で、シナリオと過去の映像作品をもとに選考」ということらしく、「賞金50万円のほか、木下グループが5000万円を上限に製作費を提供、劇場公開に向けて企画開発や製作・配...
人は誰もが愛するものを殺す、それでも人は死なない(オスカー・ワイルド) フランソワ・オゾン監督は多作なんてもんじゃないですね、年1本ペースで撮っています。この「苦い涙」も最新作ではなく、もう1本「Mon crime(The Crime Is Mine)」という映画があります。この映画の前にはつい数ヶ月前に「すべてうまくいきますように」、そしてその1年くらい...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 「ライトハウス」のロバート・エガース監督です。そのレビューに書いた通り、かなり苦手な映画だったのですが、なぜかこの「ノースマン」を見てしまいました(笑)。理由は怖いもの見たさ(苦手なもの見たさ)ということではなく、この映画が「ハムレット」の元ネタと言われているスカンジナビアのアムレート伝説を題材にしているらしいという...
唐田えりかの映画的存在感の凄さとシナリオのうまさ 6年ほど前に「蜃気楼の舟」を見ている竹馬靖具監督の最新作、「蜃気楼の船」ではあまりいいことを書いていませんが、この「の方へ、流れる」はとてもいいです。の方へ、流れる / 監督:竹馬靖具唐田えりかという俳優この映画のよさは唐田えりかさんによるところが大きいです。唐...
監督の自伝的映画?マジか?! 配信スルーかDVDスルーでよかったんじゃないの、と思います(笑)。日本の公式サイトによれば「オーガスティン・フリッゼル監督のほぼ自伝的映画」だそうです。マジか?!Never Goin' Back ネバー・ゴーイン・バック / 監督:オーガスティン・フリッゼル内容ほど下品じゃない(笑)確か1...
バルト三国エストニアのダークファンタジー&悲恋物語…かな? 2018年のアカデミー賞外国語映画賞のエストニア代表になった映画です。ノミネートはされていません。ノベンバー / 監督:ライネル・サルネットダークファンタジーただエストニア映画であることにそそられて事前情報ゼロで見に行きましたので全体をつかむことに苦労しました...
ディストピアではなく、起きてはいけないがこれが現実か ミシェル・フランコ監督、「父の秘密」「或る終焉」「母という名の女」と見てきており、その名前をみれば必ず見ようと思う監督のひとりです。現在42歳、メキシコ出身の監督です。その三作ともカンヌで何らかの賞をとっていますし、この新作「ニューオーダー」も2020年のヴェネツィア映画祭で審査員グランプリの銀...
自閉スペクトラム症だとしたら、この描き方でいいのか? 1996年4月28日にオーストラリアのタスマニア島で起きた無差別殺人事件を犯人である27歳の青年に焦点をあわせて描いています。ポートアーサー事件といい、死者35人、負傷者15人の被害者を出した大事件なんですが、日本でどう報道されていたのかも含め記憶にありません。ニトラム / 監...
ブラッドリー・クーパーひとり舞台のやや残念な豪華キャスト 見ているようであまり見ていないギレルモ・デル・トロ監督、直近では「シェイプ・オブ・ウォーター」、さらに遡りますと「パンズ・ラビリンス」くらいです。この映画は、「アリー スター誕生」がとてもよかったブラッドリー・クーパーさん、「キャロル」以降名前をみれば見たくなるルーニー・マーラさんという名前...