実話にもとづく70年後の感動物語と70年間のラブストーリー… 現在91歳のマイケル・ケインさんと残念ながら昨年2023年6月15日に87歳で亡くなられたグレンダ・ジャクソンさんの共演という映画です。さすがにこの年齢ですのでどちらも何本かは見ていますが、これといった映画を思い出せない俳優さんです(ゴメン…)。2度目のはなればなれ /...
家父長制はあらゆる人の人間性を押しつぶす、特に女性のだが… パキスタンが関係する映画では「汚れたミルク」とか、パキスタン系移民のイギリス映画「ポライト・ソサエティ」「カセットテープ・ダイアリーズ」といった映画を見ていますが、パキスタン人監督によるパキスタン映画は初めてです。この「ジョイランド 私の願い」は2022年のカンヌ国際映画祭ある視点部門に出...
青春とは、孤独と哀愁に抱かれて、人恋しくもあり、そして気まぐれなもの… 「イロイロ ぬくもりの記憶」で2013年カンヌ国際映画祭のカメラ・ドールを受賞したアンソニー・チェン監督、日本では10年ぶりの劇場公開作になります。ただ、その間も2本の長編とアンソロジーの1本を撮ったり、プロデューサーとしてはたくさんの映画に関わっているようです。空音央監督の「HAPP...
映画そのものが徒花… 映画.com に「長編デビュー作「赤い雪 Red Snow」で国内外から高く評価された甲斐さやか監督」と紹介されているもののまったく知らない方でしたので早速見てみました。徒花-ADABANA- / 甲斐さやか「死」の不安、いやむしろ「生」の不安?…映画始まってすぐ、「未知なるウイルスの流行で出...
不可解な大人たちの行動と、そして少女の眼差しの意味するもの… 2014年の「雪の轍」が196分、2018年の「読まれなかった小説」が189分、そしてこの「二つの季節しかない村」が198分、3時間超えが当たり前のヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督です。それだけの時間を掛けないと描けないものがあるということなんでしょうが、それが何なのかを見つけ出すのが難しい監督では...
不幸にまどろみつつ暴力への誘惑を内在化する若き見知らぬ者たち… 見ていないのですが、前作が「佐々木、イン、マイマイン」というちょっと気になっている映画の内山拓也監督です。それに磯村勇斗さん、岸井ゆきのさんの名前がありますのでどんな映画かと楽しみではあったのですが…。若き見知らぬ者たち / 監督:内山拓也不幸にまどろむ若き者...
マルチに生きるのもまた人生、タイホアの叫びが生々しい… 長編デビュー作の前作「春江水暖~しゅんこうすいだん」を見逃していますので期待を持って見に行ったのですが…。西湖畔(せいこはん)に生きる / 監督:グー・シャオガン西湖ってどこにあるの?悠久の中国、自然の旅みたいな映画かと思っていましたら、なんと無茶苦茶濃い〜家...
ドキュメンタリータッチでパワフルだが、ややドラマっぽさが気になる… 「愛について、ある土曜日の面会室」のレア・フェネール監督です。とてもいい印象が残っている映画で、レビューを読み返してみましたら「長編デビュー作でこの映画が撮れますか!28歳にしてこれだけ多様な人間たちが描けますか!」と絶賛しています。助産師たちの夜が明ける / 監...
カンフーやブラック・サバスや宗教というよりもラファエルとリタのラブストーリーかも… なかなか難しい映画だった「ノベンバー」のライナル・サルネット監督です。この「エストニアの聖なるカンフーマスター」を見ますとその難しさの理由が氷解します(笑)。エストニアの聖なるカンフーマスター / 監督:ライナル・サルネット明らかに見ている...
青春ものとしてはクリアさに欠け、社会批判ものとしては煮えきらず、方向性に迷ったのかも… 空音央監督、「そら ねお」と読むそうです。1991年生まれとありますので33歳くらいの方です。坂本龍一さんの息子さんなんですね。この映画は今年2024年のヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門に出品されています。受賞はなかったようです。...
レイモンドは神になり、ダニエルはカニバリズムの夢に溺れ、エミリーは神の国から追放される… つい半年前に「哀れなるものたち」を見たばかりのヨルゴス・ランティモス監督です。たまたま公開が重なったというわけではなく制作もわりと近接しているようです。その「哀れなるものたち」は幼稚でつまらない映画でしたが、こちらはきっちり映画になっています。でもよくわからないし、面...
「傲慢」も「善良」も、え?と言うほどの今どきのラブストーリーでした… 『高慢と偏見』が意識されているんだろうと思い興味を持ったのですが、見てみれば、「傲慢さ」もほどほど、「善良さ」にいたっては何のこと? という程度の今どきのラブストーリーでした。傲慢と善良 / 監督:萩原健太郎今どきのラブストーリー…あらすじとして...
菅田将暉さん、窪田正孝さん、古川琴音さん、奥平大兼さんを見に行く(だけの)つもりなら… 黒沢清監督って多作な監督ですね。ついこの間「蛇の道」を見たばかりですし、「Chime」という映画も現在公開されているようです。その分なのかどうかはわかりませんが、どの映画も軽めですし、なかなか最後まで面白さが持続する映画がありません(ゴメン…)。...
CODAの話ではなく、五十嵐大の半生記、あるいは青春放浪記みたいなもの… コーダ(CODA)という言葉を、またそれが Children of Deaf Adults の頭文字を取った言葉であり、両親、またはそのどちらかが聴覚障害者の子どものことだと知ったのは2022年のアカデミー賞作品賞を受賞した「コーダ あいのうた」です。ぼくが...
ドラマはほぼすべて創作だと思うがザイア・ジウアニさん本人のすごさは伝わる… 現在46歳、実在のフランスの音楽家、指揮者のザイア・ジウアニさんの17歳から20歳くらいまでを描いた映画です。女性の指揮者というだけではなく、若干20歳にして自らのオーケストラ、ディベルティメント管弦楽団を立ち上げています。パリのちいさなオーケストラ / ...
「私たちの初恋の相手は自然でした」で始まるが… 映画.comの紹介文で「もしも建物が話せたら」のマルグレート・オリン監督と製作総指揮のヴィム・ベンダースさんの名前を目にして、これは見なくっちゃとポチッとしたんですが…。SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース / 監督:マルグレート・オリン「もしも建物が話せたら」は...
ギヨーム・ブラック監督、どこへ行く… 知る人ぞ知る(笑)ギヨーム・ブラック監督です。この映画が最新作になるようですが、わずか40分のドキュメンタリーです。リンダとイリナ / 監督:ギヨーム・ブラックギヨーム・ブラック監督どこへ行く…初ギヨーム・ブラック監督がこの映画ですとこれでさようならかもしれませんね(ゴメン…)...
制作費がないのであればそれに見合ったこだわりでクオリティを上げるべき… 「シサㇺ」とはアイヌ語で隣の人といった意味らしく、歴史的経緯として和人(アイヌ以外の人)を指すようになったんだと思います。また、シサムの「ム」は、小文字表記が正しいアイヌ語の仮名表記です。ただ、小文字ですと検索に引っかからなくなりますので一部「シサム」表記も使っています。ところ...
「二作目を期待しますが、撮らないかもしれませんね」と書いたけど、撮りましたね… 「僕はイエス様が嫌い」の奥山大史監督、その映画を見たのはちょうど5年前です。レビューを読み返してみましたら「びっくりするくらい映画がまとまっています。若いのに老成という言葉まで浮かんで」くるとまで書いています。それに「二作目を期待しますが、撮らないかもしれませんね」とも...
HPやチラシのヴィジュアルが2020東京オリンピックの盗作騒ぎのロゴ(T)みたいなんだけど… 「LETO レト」「インフル病みのペトロフ家」のキリル・セレブレンニコフ監督です。「チャイコフスキーの妻」であるアントニーナ・ミリューコヴァを描いた映画ですが、伝記映画というわけではなく、キリル・セレブレンニコフ監督の大胆な創作です。一昨年2022年のカンヌ国際映...