ゴドー待ちのバリエーションとしてみれば面白い ジム・ジャームッシュ監督のゾンビ映画です。ホラー度ゼロ、パニックシーンなしの一風変わった映画で、コメディかと言われれば確かに笑えるところはありますのでそれをオフビートととらえればジャームッシュ監督らしいとも言えるのですが、なんとも奇妙な映画ではあります。デッド・ドント・ダイ / 監督:ジム・ジャームッシュ...
ボケとツッコミ連発、イマドキの軽やかな映画 すでに映画館が再開されてから10日ほど経ちますが、いっこうに新作が公開されません。東京で再開されなければ新作は公開されないということです。そうしたことでもなければ見なかったであろう「一度死んでみた」を見てきました。一度死んでみた / 監督:浜崎慎治いろんな意味でおもしろかったです。よくできています。すきがあ...
男系幻想とジェンダー、セクシュアリティ、宗教、家族再生幻想 「シェイクスピアの庭」なんていうタイトルから、シェイクスピア(以下、ウィリアム)が田舎へ戻り穏やかな余生を過ごす話かと思っていましたら、とんでもない、シェイクスピア一家の結構シビアな愛憎物語でした。もちろんフィクションですが、ウィリアム本人にとってはかなり衝撃的な秘密が明らかになりますので、「シェイクスピ...
(完全?ネタバレ感想)常人には理解不能のミステリー イタリア、アルプスの山間の町で起きた少女失踪事件をめぐるミステリーです。トニ・セルヴィッロさんとジャン・レノさんの共演が売りの映画かと思います。監督はこの映画の原作者でもあるミステリー作家のドナート・カリシさん、初監督作品とのことです。霧の中の少女 / 監督:ドナート・カリシもし原作がミステリー小説...
トマ・ピケティさんの著書を読むきっかけになるか…? 数年前に話題になったトマ・ピケティさんの『21世紀の資本』が映画になりました。当時、手にとる前から諦めた記憶があります(笑)。どんな映画になっているのでしょう。21世紀の資本 / 監督:ジャスティン・ペンバートン映画館再開一本目としては選択を誤りました(笑)。これは映画というよりも、ビデオ論文(...
(DVD)16年前の宮﨑あおい、ARATAがむちゃ新鮮。 この自粛期間中にDVDでみた「黒四角」の奥原浩志監督の2004年の映画です。16年前です。その時生まれた子供は16歳、20歳であれば36歳、それなりに時の流れを感じるには十分な年数です。実際、この時18歳の宮﨑あおいさんは現在34歳、29歳のARATAさんは現在45歳となり井浦新に改名されています。...
(DVD)池松壮亮の時代劇はいけるかも。蒼井優は現実的すぎるかな。 自主制作スタイルを貫いて、ということにこだわっているのかどうかはわかりませんが、およそ30年、そのスタイルで20本近くの映画を撮り続けているわけですから、ほんとにすごいことです。海外での評価が高いということがモチベーションになっているのでしょう。ヴェネツィア映画祭との関係が深いようで、この「斬、」...
スペクタクル以外に見どころはない、つまりDVDではつまらない なんだ、空海の映画じゃないのね(涙)。それに、染谷くん、ついに海外映画で主役か! と期待して見たんですが、どうなんでしょう、確かに出ずっぱりではありますが、映画の基本物語には絡んでいません。物語を進めていく狂言回し的な役どころで、俳優としての力が発揮するシーンがありません。空海-ku-kai- ...
(DVD)叙情的すぎる内容を山崎まさよしが救っている映画かも。 山崎まさよしさんは俳優もやるんですね。自然体で特に演技しないところがよかったです。まあ、この映画で濃いー演技をされたらクサくなって見ていられなかったでしょう。影踏み / 監督:篠原哲雄その山崎まさよしさんも初めて、篠原哲雄監督も初めてという映画です。そもそも内容もまったく知らずに見始め...
(DVD)スティーブン・キング絶賛!人間臭いところにかな? スティーブン・キングさんがどんなにキューブリック版「シャイニング」を気に入らなく批判しようとも、やはりキューブリック版は映画として傑作だったことを証明するような続編「ドクター・スリープ」です。ドクター・スリープ / 監督:マイク・フラナガンつじつまを合わせなくてはというプレッシャーが強すぎるの...
(DVD)世界は音楽で溢れている 映画紹介を読んだ限りでは少女漫画によくあるスポ根系の音楽ものかなと思っていましたら、意外にも、そうした人物間のぶつかり合いや葛藤を描く映画ではありませんでした。そりゃそうですよね、原作が恩田陸さんの直木賞受賞作なんですから。じゃあ、「ピアノの天才たちが集う芳ヶ江国際ピアノコンクールに参加する若き4人のピアニストたち(映画.com...
(DVD)香取慎吾と脚本加藤正人と白石和彌監督がぴったりあった映画 これは劇場で見るべきでした。映画自体がよくできているということもありますが、全体的に画が暗いので家のモニターでは伝わってくるものが半減します。それに、香取慎吾さん、いいですね。映画では始めて見ました。凪待ち / 監督:白石和彌ギャンブル依存症の男が立ち直るまで、まあそう単純でもないん...
(DVD)ビジュアルだけではドラマは生まれない ついつい蜷川実花ワールド! と言いたくなってしまいますが、ちょっと変わってきている感じがします。というより、俳優、特に宮沢りえさんと二階堂ふみさんによるものかも知れません。集中させられるシーンがいくつかあります。人間失格 太宰治と3人の女たち / 監督:蜷川実花「さくらん」と「ヘルタースケルター」しか見...
(DVD)気持ち悪い自己陶酔映画やね。 戦艦大和に山本五十六などという戦争映画には欠かせない要素を入れながらちょっと変わった切り口の映画でした。それに戦争(戦闘)シーンは冒頭の5分くらいの大和が撃沈させられるシーンだけであとはわりと普通のドラマでした。ただ、ラスト20分ほどは意図を測りかねるなかなか意味深な映画です。アルキメデスの大戦 / 監督:山崎貴...
(DVD)吉本ばなな色はうすいけれどもチェ・スヨンはちょっと気になる デッドエンドの思い出 (文春文庫)作者:よしもと ばなな発売日: 2006/07/07メディア: 文庫 原作は短編集の一作のようで、あとがきには、この「デッドエンドの思い出」が自分の作品の中でいちばん好きと書かれているらしいです。久しぶりに吉本ばななさん読んでみようかな...
(DVD)俳優の間合いと表情で物語を語る いい映画じゃないですか!DVDのレンタル開始が2019年12月となっていましたので、最近の映画なのに記憶にないなあと思いながら借りましたら、2012年製作で日本での公開は2014年の映画でした。ひとことで言ってしまえば、時間と空間を超えたラブストーリーということなんですが、その物語そのものよりも、俳優たちの間合いと表情で...
(DVD)半世紀前の実話ものなのにツッコミ不足で立ち位置見えず 不思議な映画だなあと思ってみていたんですが、実話ベースだったんですね!?一年前に公開された映画をDVD鑑賞です。予告編を見た印象では一兵卒が将校になりすましてのし上がっていき、最後にはそれがバレて云々という寓話的な物語かと思っていたのですが、寓話性はほとんどなく、リアルなのかファンタジーなのかよくわか...
(DVD)キャスティングの妙と原作があったほうがいい石井裕也監督 とうとう映画館が休館になってしまいました。Change.org で「#SaveTheCinema 「ミニシアターを救え!」プロジェクト」オンライン署名キャンペーンが始まっています。キャンペーン · #SaveTheCinema 「ミニシアターを救え!」プロジェクト · Change.orgし...
食欲、性欲、そして世界は続くの輪廻観 キム・ギドク監督の「人間の時間」です。結構多作の監督ですが、前回見たのは3年前の「The NET 網に囚われた男」です。それにこの映画もちょうど2年前の2018年2月にベルリンでプレミア上映された映画です。IMDbにもこの映画以降これといったものがリストアップされていません。さすがにネタ切れ気味なのか、あるいは女性俳優への暴行...
歴史ものに、悪いやつもいるし、いいやつもいるってのはダメ! 19世紀のタスマニアを舞台にした、アイルランド人の女性の復讐物語が軸になった映画で、そこにイギリス対アイルランド、そして先住民アボリジニの虐殺をからめた、しかしながら映画の出来としてはあまり良くはなく美しくもありません。ただ、2018年のヴェネツィアで審査員特別賞を受賞しています。ナイチンゲール ...