Blue Heron/ブルーヘロン

ソフィー・ロムヴァリ監督の長編デビュー作

ソフィー・ロムヴァリ監督のプライベート・イメージフィルムといった感じの映画です。物語よりも映像で勝負ですかね。

Blue Heron/ブルーヘロン / 監督:ソフィー・ロムヴァリ

ソフィー・ロムヴァリ監督の心象風景か

ソフィー・ロムヴァリ監督は1990年生まれの36歳です。ロムヴァリさんが生まれる1年前に両親がハンガリーからカナダに移住してきたそうです。

この「Blue Heron/ブルーヘロン」は、30歳半ばとなったハンガリー系移民の映画監督サーシャが幼い頃の家族を振り返る話ですので自伝的な映画かも知れません(未確認…)。

物語はかなり静的で、家族の長男ジェレミーの問題行動に両親が苦しみ、それを幼いサーシャが見つめるというつくりになっています。物語としてはほとんど動きがありませんが、映画終盤には映画の中の語り手である映画監督となった30歳半ばのサーシャが、その時代の両親の前にソーシャルワーカーとして現れるといった描き方もしています。かなり意図曖昧なイメージシーンであり、すぐに実際のソーシャルワーカーに変わっています。

映画にはジェレミーの問題行動がなにゆえかを探ろうとする問題意識は感じられませんし、その後両親がとった方法への評価のようなものもあるわけではなく、とにかくなにを伝えようとしているのかという点においては曖昧な映画です。

結局、両親は悩んだ末にジェレミーを他の家族に預ける選択をしています。施設かも知れませんね。そして、ジェレミーはその後亡くなったと語られていました。そう一言語られるだけです。

ジェレミーは10代半ばくらいでしょうか、サーシャとは父親が違い、母親と別の男性(関係は不明…)との子です。ジェレミーにはほとんど台詞もなく、問題行動として描かれるのは一貫して反抗的で言うことを聞かないということで、屋根だったかに上ったり、家の壁に何度もボールをぶつけたりしていました。万引きで手錠をかけられて連れてこられるシーンもありました。カナダじゃそんなことするんですかね。

前作「Still Processing」の方がいい

という映画なんですが、映画祭での評価はかなり高いようで、ざっとしか読んでいませんが、ウィキペディアにはロカルノ国際映画祭始めあちらこちらであれこれ受賞していると記載されています。

評価は映像と音響処理に対するものかも知れません。サーシャの記憶を映像化しているという意図だと思いますが、たとえば両親の会話シーンがゆっくりと紗のようなものやガラス越しに変化していき、それとともに音声もフェードアウトしていくとか、常に自然音やどこからの音かわからない音楽がうすく入っていたりします。

全編そうしたつくりがされていた印象です。それを美しいと感じるかは人それぞれということかと思います。ただ、映画として動きがなく断片的ですし、つくり手の意志のようなものがうすく、観ていて心が動く映画ではありません。

IMDb を見ましたら過去の作品がすごいですね。2011年から短編が15本も並んでいます。その中でも2020年の「Still Processing」の評価が高いようです。17分の作品でネット上で観られますが著作権があやしいですのでリンクだけにしておきます。

こちらの方(というのも変ですが…)がいいですね。ソフィー・ロムヴァリ監督自身が家族の写真をデジタル化する際に自身の記憶が呼び覚まされていくという映画で、映像的にも美しいですし伝わってくるものがあります。

ソフィー・ロムヴァリ監督は実際に二人の兄を亡くしているようです。

この「Blue Heron/ブルーヘロン」はちょっと気負いすぎましたかね。