映画「アンダーカレント」は 心の undercurrent に迫れているか… それなりに何本か見ている今泉力哉監督ですが、「街の上で」あたりでもういいかなと思いそれ以降あまり気にかけていなかったところ、主演が真木よう子さん、井浦新さんという大人の映画のようでしたのでもう1本ということになりました。以下、読み返してみましたら書きすぎ...
もう「다음 소희(次のソヒ)」は出ないでほしい… 2017年に韓国全州で大手通信会社のコールセンターで働き始めた高校生がその3ヶ月後に自ら命を断ったそうです。この「あしたの(ない)少女」は、その起きてはいけないが現実に起きてしまったことをベースにした映画です。原題の「다음 소희(次のソヒ)」には、もう次のソヒは出ないでとの思いが込められているのだと思います...
小気味よい見事な展開と特徴的なカメラワーク メーサーロシュ・マールタ監督というハンガリーの監督の特集上映の1本、1975年のベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した「アダプション/ある母と娘の記録」を見てきました。アダプション/ある母と娘の記録 / 監督:メーサーロシュ・マールタ特徴的なカメラワーク有無を言わせぬ見事な...
16歳で生き別れになった恋人への思いを軸にバランスよくうまくまとまっている… 「Based on the true story of Harry Haft」とクレジットが入っている通り、実在のユダヤ系ポーランド人ハリー・ハントさんの実話にもとづいた映画です。もちろんこうした映画の常道で誇張されているとは思いますが、ことの経緯は実際にあったことのようです。生...
ウォン・カーウァイ臭ぷんぷんの「恋する惑星」風ドラマ、ん? パクリに近いか…。 「風の電話」以降「恋恋豆花」の予告編で見かけたくらいでどうしたんだろうと思っていたモトーラ世理奈さん、映画.comでその後の出演作を見てみてびっくり! むちゃくちゃ売れているじゃないですか?!でもあまり作品に恵まれているようにはみえないですね…(ペコリ)。[to...
ドキュメンタリー監督らしいじわーと効いてくる映画だが、公開のタイミングを逸している… ニューヨーク・タイムズがアメリカの映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクシュアル・ハラスメントに関する告発記事を発表したのが2017年10月5日、それを契機に世界中で「#MeToo運動」が巻き起こりました。もちろん現在進行中でもあります。この映画は、...
イスラム国モロッコの同性愛と夫婦愛とカフタン愛 マリヤム・トゥザニ監督「モロッコ、彼女たちの朝(Adam)」に続く長編二作目です。昨年2022年のカンヌ国際映画祭「ある視点部門」で国際映画批評家連盟賞を受賞しています。青いカフタンの仕立て屋 / 監督:マリヤム・トゥザニミナとハリム少ない台詞と抑制された演出は前作「...
下世話な意味ではないファザー・コンプレックスの映画 スコットランドのシャーロット・ウェルズ監督の長編デビュー作です。現在35歳、過去に短編3本がクレジットされています。また、この「aftersun」の父親カラム役のポール・メスカルさんが今年2023年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされています。受賞は「ザ・ホエール」のブレンダン・フレイザーさんでした。...
11歳の少年は世の不公平や偏見差別を肌身を持って体験する ジェームス・グレイ監督、見ているのは「エヴァの告白」だけです。もうほぼ10年前になりますが、マリオン・コティヤールさんを見に行った映画でよく覚えています。で、この「アルマゲドン・タイム ある日々の肖像」ですが、邦題の副題の言葉の選択が間違っています。日本語として「ある日々の肖像」なんてのはお...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 このところ舞台劇が映画化されたものをよく見ているような気がします。今年に入ってからでも「そして僕は途方に暮れる」がありましたし、昨年は「もっと超越した所へ。」がそうでした。その年の「わたし達はおとな」や「そばかす」も演劇畑の監督の映画でした。たまたまなのか、何かの傾向なのか、どうなんでしょう?この「あつい胸さ...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 2003年、東アジアを中心にSARSが流行していた頃、母親の乳がんの治療のためにアメリカから台湾に戻った13歳の少女が抱く疎外感や母親との軋轢を描いた映画です。この映画が長編デビュー作となるロアン・フォンイー監督の自伝的な映画とのことです。アメリカから来た少女 / 監督:ロアン・フォンイー(...
アンヌの身体や人生のことはアンヌが決めるべきということ すごい映画です。昨年2021年のヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞受賞作です。今年、ノーベル文学賞を受賞したフランスのアニー・エルノーさんの『事件 L'Événement』という著作をベースにした映画で、内容も内容なんですが、エルノーさんはオートフィクションの作家と言われている方で、著作の多くが...
原作にとらわれすぎた脚本に問題あり…かな? 平野啓一郎さんの『ある男』の映画化です。監督は「愚行録」「蜂蜜と遠雷」「Arc アーク」の石川慶監督です。えー、自分でもびっくり、長編はすべて見ています。ある男 / 監督:石川慶安藤サクラさんが深いです出演は、妻夫木聡さん、安藤サクラさん、窪田正孝さんです。今注目の仲野太賀さ...
どこにも鬼がいない昭和愛憎ものの表層 よく知られた話ですが、瀬戸内寂聴(当時は瀬戸内晴美)さんは、1966年くらいから7年間ほど井上光晴さんと恋愛関係にあり、その関係を精算するために出家して寂聴を名乗るようになっています。井上光晴さんは既婚者ですので不倫ということになり、その間の二人と井上さんの妻郁子さんを描いた映画です。あちらに...
「Business Plot」というスキャンダルが元ネタらしいのだが… 新型コロナウイルスの影響が今出てきたのか、メジャー系じゃない実写映画の興行成績が振るわない(と感じるけどどうなんでしょう…)せいなのか、そそられる映画が入ってこなくなっているように感じます。以前ならおそらく見ていなかったこの「アムステルダム」です(ペコリ)。...
DVD・親が親として振る舞うべき規範を失った社会、子どもは無防備に放り出される もう一年前になりますが、「君は永遠にそいつらより若い」を見て、その構成力に驚いた吉野竜平監督のデビュー作「あかぼし」を見てみました。10年前の作品です。あかぼし / 監督:吉野竜平構成力は確かだが、導入は…DVD鑑賞、それもパソコンのディス...
静謐というべきか、静止画像のような映画は蝶になれるのか 前作「コロンバス」に続くコゴナダ監督の長編第二作です。コゴナダ監督は韓国系アメリカ人で、その名は野田高梧という脚本家に因んだものとのことです。野田高梧(のだこうご)さんは、小津安二郎監督の「晩春」以降の脚本のすべてで小津監督と共作となっている方です。「KOGO NODA」からということでしょう。...
余命何ヶ月ものだがアプローチは終末期医療という新鮮さ いわゆる「余命何ヶ月」ものなんですが、ちょっとアプローチが違った映画でした。監督はエマニュエル・ベルコさん、俳優としては「モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由」など見ていますが、監督作品は初めてです。見る者の集中力を途切れさせないいい映画でした。愛する人に伝える言葉 / 監督:エ...
コロンビア映画、父親の思い出とファミリーストーリー コロンビアのエクトル・アバド・ゴメスさんという「医師、大学教授、ジャーナリスト、人権活動家。コロンビア国立公衆衛生学校の創設者(ウィキペディア)」を描いた映画です。というよりも、そのファミリーの映画といったほうが正確かもしれません。妻と5人の娘たち、そして父親と同じ名前を持った一人息子エクトル・アバド・フ...
万雷の拍手をどうみるか、感動?疑問?気持ち悪い? 2020年のカンヌ映画祭のオフィシャルセレクションとして上映された映画です。この年は新型コロナウイルス蔓延のために映画祭が中止となり、全56作品がオフィシャルセレクションとして「カンヌレーベル」のくくりで各地の映画祭で上映されています。この映画はコメディ部門の一作としてアングレーム映画祭で上映されています。...