謎解きでもなく、ドキドキ感を煽ることもなく、なのに面白い…前作「悪なき殺人」では、2019年の東京国際映画祭で最優秀女優賞と観客賞を受賞していたドミニク・モル監督です。この「12日の殺人」では、昨年2023年のセザール賞で作品賞、監督賞、助演男優賞、有望若手男優賞、脚色賞、音響賞を受賞しています。期待できそうです。12日の殺人 ...
映画としてはまとまっているが、物語が表層を滑っていく…原作が本屋大賞受賞作ということですし、どこからともなく流れてくる映画の持つ匂いから、おおよそその傾向は想像はついていたのですが、ひとつだけ、え? それなの? という映画でした。どこからともなく流れてきていたのは予告編を見たからと思っていましたが、今トレーラーを見てみましたら見たことのないもので...
菊地凛子さんの苦労の跡が見える…(涙)菊池凛子さん主演の映画を初めて見ます(多分…)。過去の出演作を見てみますと何作かは見ていますが、ほとんど記憶がありません。話題になったということもあり、どうしても記憶は「バベル」までさかのぼってしまいます。監督は熊切和嘉さん、こちらもしばらく見ていないようで「武曲 MUKOKU」以来です。...
1階は性衝動、2階は苦悩、3階は抑圧、そして開放「息子の部屋」「ローマ法王の休日」「母よ」のナンニ・モレッティ監督です。昨年2021年のカンヌ映画祭のコンペティションに出品されています。受賞はありませんでした。「TITANE/チタン」がパルムドールに選ばれた年ですから、この映画の傾向じゃそりゃ無理でしょう。3つの鍵 / 監督:ナ...
俳優の無駄遣い。新しい女性アクション映画を。このところ日本映画を見ることが続いていますのでちょっと気分転換にということと、ジェシカ・チャステイン、ペネロペ・クルス、ファン・ビンビン、ダイアン・クルーガー、ルピタ・ニョンゴという錚々たるメンバーということと、そして、さらに女性が主人公のスパイアクションものということで見に行ったのですが…...
瞳に映る世界ではなく女性たちが今現在置かれている世界原題の「Never Rarely Sometimes Always」の意味がわかるシーンは圧巻です。その一連の質問をオータムにしている女性は俳優ではなく実際の人工妊娠中絶クリニックのカウンセラーとのことです。17歳の瞳に映る世界 / 監督:エリザ・ヒットマン女性たちが置かれている世界 女性を性...
奇跡のラブストーリー?ちょっと待てよ…チェン・ユーシュン監督が「台湾ニューシネマの異端児」と呼ばれているとの紹介に目が止まった映画です。ただ、その言葉が当てはまるのは1995年の「熱帯魚」や1997年の「ラブゴーゴー」の二十数年前のことだと思います。その後2013年の「祝宴!シェフ」まではCMなど広告の仕事をしており映画は撮っていないようです。1秒先の彼女...
カメラの前のリアリティ、中学2年6組35人の3学期ある中学校の2年生ひとクラス35人の3学期を撮った映画です。ただそれだけです。でも映画になっています。14歳の栞 / 監督:竹林亮映像コンテンツとしての映画編集と音楽見えてくるのはリアルな14歳か?映像コンテンツとしての映画中学2年は14歳、多感との形容詞が似合うこの年令の子どもたちを...
同情の涙に消費させてはいけないチョ・ナムジュ著『82年生まれ、キム・ジヨン』が韓国で社会現象になっているとの話や邦訳が出たことが話題になった小説の映画化です。原作未読でこの映画を見た率直な感想としては、予想とは随分違い、社会現象となったことになかなか結びつかない印象です。82年生まれ、キム・ジヨン / 監督:キム・ドヨン映画で描かれているのは、専業...
トマ・ピケティさんの著書を読むきっかけになるか…?数年前に話題になったトマ・ピケティさんの『21世紀の資本』が映画になりました。当時、手にとる前から諦めた記憶があります(笑)。どんな映画になっているのでしょう。21世紀の資本 / 監督:ジャスティン・ペンバートン映画館再開一本目としては選択を誤りました(笑)。これは映画というよりも、ビデオ論文(...
VR映画を目指すもドラマで破綻これは企画倒れ、いやいや企画は実現しているんですからそうじゃなくて、なんて言うんでしょう、企画段階では面白そう! となるのに実際にやってみると意外につまらないという映画です。もしこの映画を楽しみたいと考えるならば、少なくともドルビーシネマか IMAXで見るべきかと思います。そうすれば多少なりとも VRゲームのような感覚が味わえるかも...
佳山明さんあっての映画だが…。この映画、ユマを演じている佳山明さんにつきます。オーディションで選ばれた演技未経験の方とのことです。佳山さんの自然体の心地よさが映画全体を覆っています。まるであて書きしたかのようにしっくり収まっています。37 seconds サーティセブンセカンズ / 監督:HIKARI監督は HIKARIさん、公式サイトに「本作は2...
二人の教皇が互いに赦しを請い、そして与えるNetflix オリジナルの映画はネット配信の1週間前にイオンシネマで劇場公開するパターン(契約?)が定着しているようです。この映画もそうで、ネット配信は12月20日からされており、その1週間前からイオンシネマで公開されていました。このパターンはこれまで数本見に行っていますが、そのどれも客の入りはあまりよくありません。と...
勇者たちの休息ギヨーム・ブラック監督のセンスが光る「7月の物語」71分、「勇者たちの休息」38分、さらに「7月の物語」の方は、実質的には「日曜日の友だち」と「ハンネと革命記念日」の2本に分かれているという、劇場公開作としてはかなり変則的です。ただ、「7月の物語」を見れば、ギヨーム・ブラック監督の良さは十分に伝わりますし、他の作品も見たくなることは...
エリート教師は教育格差問題を解決するか過去には「パリ20区、僕たちのクラス」「バベルの学校」「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」といった映画もあり、もう少しドラマっぽいものでは「オーケストラ・クラス」もそうですが、移民や貧困層の多い地域の学校が舞台のフランス映画というのは日本でもよく公開されています。そうした映画がフランスに多いのか、公開される映画の国別比率の問題な...
「スター・トレック」ファンであってもなくても楽しめるけど、現実を考えると重い「自閉症を抱える少女ウェンディが500ページの脚本を届けるためハリウッドを目指す」(映画.com)と紹介されている映画ですので、正しく理解しているとは言えない「自閉症」自体を調べたほうがいいだろうとウィキペディアなど読んでみましたが難しいですね。公式サイト / 監督:ベン・リューイン...
子宮に残された2重螺旋は双子の夢を見るフランソワ・オゾン監督は、ほんとに映画の志向性がわからない監督です(笑)。 前作「婚約者の友人」を見て、やっとフランソワ・オゾン監督がわかったぞと思ったのもつかの間、今作はかなりミステリー色が強い上に、性愛表現がかなりの比重を占めますし、ラスト近くには一瞬オカルトかと思わせるようなシーンもあったりと、フランソワ・オゾン監督ら...
反戦、反権力かと思いきやアメリカ賛美の映画かなあ…?最近は「6才のボクが、大人になるまで。」が代表作に挙げられることが多いようですが、私には、やはり「ビフォアー・サンライズ」の枕詞がしっくりくるリチャード・リンクレイター監督です。ウィキペディアを見てみますと他にもたくさん撮っているようですが、タイトルにさえ記憶がなく、自分自身ちょっとびっくり。公式サイト /...
ネタバレする必要もない実話を事件の当事者が演じるクリント・イーストウッド監督、 87歳ですか。すごいなあと思いますが、上には上がいるもので、よく知られているところでは、ポルトガルのマノエル・ド・オリヴェイラ監督は、105歳で撮った「レステルの老人」が遺作になっていますし、日本でも新藤兼人監督が、99歳だったでしょうか、亡くなる前年の2010年に「一枚のハガキ」を...
ウェイ・ダーション監督、青春恋愛ミュージカルに挑む?ウェイ・ダーション監督、前作「セデック・バレ」から随分年月が経っていますね。日本公開からは5年です。あの歴史大作から打って変わって、最新作は、何と青春ミュージカルです。「海角七号 - 君想う、国境の南 -」が青春映画でしたから、さほど違和感はないのですが、ミュージカルとはまた大胆な。それもほぼ全編、歌で構成...