1階は性衝動、2階は苦悩、3階は抑圧、そして開放「息子の部屋」「ローマ法王の休日」「母よ」のナンニ・モレッティ監督です。昨年2021年のカンヌ映画祭のコンペティションに出品されています。受賞はありませんでした。「TITANE/チタン」がパルムドールに選ばれた年ですから、この映画の傾向じゃそりゃ無理でしょう。3つの鍵 / 監督:ナ...
プラハの春の時代の宗教物語、あるいは脱宗教か?1967年製作のチェコスロバキア(現在はチェコ共和国)の映画です。監督はフランチシェク・ヴラーチルさんという方で1999年に75歳(くらい)で亡くなっています。日本初公開とのことですが、なぜ今この映画か、発掘してきた方に聞いてみたいですね。と思ったんですが、IMDbを見ましたら、2000年代に入ってか...
悪魔的な暴力が観念的な描写で多くは伝わらず映画には見る側にある一定程度の共通する現実意識がないとその良さが伝わってこないものがありますが、この映画もそのひとつです。2020年のサンダンス映画祭で観客賞と審査員特別賞を受賞しています。監督はメキシコのフェルナンダ・バラデスさん、現在40歳くらいの方で、この映画が長編デビュー作のようです。[t...
サリンジャーと過ごしたジョアンナ・ラコフさんの日々作家になることを目指す20代の女性がニューヨークの老舗出版エージェンシーのカリスマ上司の元で日々奮闘して成長していくという物語です。ジョアンナ・ラコフさんの自叙伝『サリンジャーと過ごした日々』が原作です。文学とファッションと業界は違いますが、「プラダを着た悪魔」もローレン・ワイズバーガーさんの体験...
難民問題というよりも17歳サーリャの絶望の物語日本で2020年に難民と認められたのは、難民申請した3,936人のうちわずか47人です(出入国在留管理庁2021/3/31発表による)。クルド人の家族、父親と子どもたち3人の物語です。父親は難民申請をしていますが不認定となり在留資格(言葉の使い方は正確ではない)を失います。子どもたちは日本で育ち、さら...
先進国による途上国への労働搾取と男性による女性差別初めてバングラディシュの映画を見ました。ただ、この映画はバングラディシュ国内の制作環境で撮られた映画ではなさそうですし、映画のターゲットも国内ではなく欧米だと思います。IMDbのデータでは、映画祭にしろ一般公開にしろ、インドの映画祭を除いて欧米と日本での上映だけです。バングラディシュの映画事情に関...
ジェシカも話も現実的なのに物語は不可解な映画「ブンミおじさんの森」以来のアピチャッポン・ウィーラセタクン監督です。相変わらずの誘眠(催眠)映画でした。MEMORIA メモリア / 監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン予想に反してかなりリアルな世界「ブンミおじさんの森」しか見ていない上に細かいところはほとんど記憶...
深層なき愛憎うずまく青春音楽物語かな塩田明彦監督の映画を初めて見ました。すごいですね。先が読めないですし、その先はと言えばとんでもないことのほうが多いのですが、ああ、こういうこともあるかもしれないなあと妙に納得がいきます。青春音楽映画のようにもみえますが、「青春」にも「音楽」にも甘えていないところがいいです。麻希のいる世界 / ...
面白い!沖縄コザ舞台のタイムスリップ&入れ替わり映画これ、むちゃくちゃ面白いですし、泣けますし、感じますし、つくりもうまいです(多分、結果として)。脚本、監督の平一紘さんって誰?ミラクルシティコザ / 監督:平一紘沖縄の沖縄による、日本全国のための映画この映画は、第3回未完成映画予告編大賞でグランプリを受賞した作...
批評性のない社会派映画は見ていてつらい久しぶりに後味の悪い映画を見ました。いや、後味だけではなく中味(そんなものはないから途中の味?)もです。映画の中で起きることに対してというわけではなく、そもそもの制作者たちの価値観がとても気になります。映画の、ひいては制作者の価値観が気持ち悪い性的暴行を許容しているかのようホラー映画のようなセットはな...
カーワ、覚醒す。乾いた戦争映画のリアル戦争映画のジャンルに入るんだろうとは思いますが、ちょっと違った感じの映画です。こうした戦争映画で面白いというのもなんですが、とにかくちょっと変わっていて面白い映画です。モスル~ある SWAT 部隊の戦い~ / 監督:マシュー・マイケル・カーナハン映画の背景アメリカ映画だがすべてアラビア語ネタバレあらすじ前半...
権力は真実を黒塗りにする。どの国でも、いつの時代でも。2021年の今、アメリカが正義の国などと信じている人はいないと思いますが、少なくともこういう映画がつくられる国ではあります。2011年のアメリカ同時多発テロをうけ、ブッシュ政権が、容疑者の名のもとに法にもとづかない方法によって多数のイスラムを長期拘束し、拷問まで加えて自白を強要していた事実を暴いています。...
残念、佐藤健、阿部寛の共演生かされずこのところ続けざまに日本映画の社会派ドラマ(と言われる映画)を見ていますので、それが自ら望んだものであるとはいえ、やや食傷気味のところへ、さらにこの「護られなかった者たちへ」です(笑)。ただ、佐藤健さんと阿部寛さんの共演ということで俳優力で見せる映画だろうと期待は大なのですが、さて…護られなかった者たちへ / 監督:瀬...
少ない台詞と抑制された演出で静かなるフェミニズム予想に反してとてもいい映画でした。劇場で本編映画の前に流れる予告編をぼんやり見た印象と邦題「モロッコ、彼女たちの朝」の響きから、それぞれ問題を抱えるふたりの女性が助け合いながら問題を解決していく甘めのハッピーな映画なんだろうと思っていました。違っていました。とんでもなく厳しい映画でした。モロッコ、彼女たち...
誰も傷つかいない閉じた世界の恋愛ファンタジーこの人たちの頭の中には恋愛しかないのか?(笑)という映画です(ペコリ)。全編いわゆる恋バナの映画です。街の上で / 監督:今泉力哉誰も傷つかない(漫画的)恋愛ファンタジーネタバレあらすじとちょいツッコミ恋バナだけでは先がなくはないか…誰も傷つかない(漫画的)恋愛ファンタジー今泉力哉監督の映画、...
ウンディーネ(オンディーヌ)モチーフの重層的なラブ・ファンタジー単なるラブ・ファンタジーもクリスティアン・ペッツォルト監督にかかると、どことなく社会性を帯びてわかりにくくなるという典型かと思います(笑)。水を抱く女 / 監督:クリスティアン・ペッツォルトウンディーネ(オンディーヌ) ネタバレあらすじとちょいツッコミクリスティアン・ペッツォルト監...
ノスタルジックなフロンティア精神がアメリカのアイデンティティを刺激する韓国系移民2世のリー・アイザック・チョン監督の自伝的な映画とのことです。ですので映画の中のデビッドが監督の幼い頃であり、映画の内容も監督の記憶やそこから広がった創作ということになるのでしょう。ミナリ / 監督:リー・アイザック・チョンアカデミー賞6部門ノミネートネタバレあらすじ...
映画に隙きはないが味わいも薄い天野千尋監督の映画は短編を2本見ているだけですが、映画づくりがうまくて隙がない印象です。この映画もその印象どおりでした。ミセス・ノイズィ / 監督:天野千尋映画に隙きはない…が、ネタバレあらすじとちょいツッコミ(なし)説明的で味わいがない映画に隙きはない…が、基本は三幕構成的であり、オチもきっちりついていま...
300歳の恋バナ映画年をとっても恋をすれば人生楽しいよ、という映画です。ただし、この俳優集めてこの映画か…と悲しくなったりもします(涙)。また、あなたとブッククラブで / 監督:ビル・ホールダーマン見どころは豪華俳優陣(だけ?)ネタバレあらすじとちょいツッコミダイアン(ダイアン・キートン)ビビアン(ジェーン・フォンダ)シャロン(キャンディ...
オルフェウスとヴィヴァルディの夏とつかの間の愛日本語タイトルの「肖」が反転してありますね。ちょっとばかりあざといのではと思いますが、まあ「振り返る」がキーワードでもありますし、鏡に姿を写すシーンもかなり多いですのでそこからなんでしょう。燃ゆる女の肖像 / 監督:セリーヌ・シアマアデル・エネルにエロイーズって合ってる? ネタバレあらすじとちょいツ...