物語も人物も富山の風景に溶け込んでいるていねいに作られた映画ですね。富山出身、在住(かな?)の坂本欣弘監督が富山を舞台に一年かけて撮ったということです。実際に富山の四季の移り変わりとともに物語は進みますし、有名な砺波の散居村の夕陽風景も使われています。もみの家 / 監督:坂本欣弘もみの家 / 監督:坂本欣弘不登校になった東京の16歳の高校...
主役はモダニズム建築? ジンとケイシー?「モダニズム建築の街コロンバス」を背景に、二人の男女がそれぞれの人生におけるひとつの決断をくだすまでの姿が描かれていく映画です。コロンバス / 監督:コゴナダそもそも「モダニズム建築の街コロンバス」という街を知りませんでしたのでいろいろググってみたんですが、まずアメリカにはコロンバスという街が5ヶ所もあるんです...
幸せは静かにやってくる2016年のカンヌある視点部門でグランプリを受賞したフィンランド映画です。その年は深田晃司監督の「淵に立つ」も出品され審査員賞を受賞しています。オリ・マキの人生で最も幸せな日 / 監督:ユホ・クオスマネンモノクロです。16mmフィルムで撮られているそうです。モノクロですと照明がより重要になってくると思いますが、それがよかったのか...
スウェーデン価値観で描くジョージアかな?全編ジョージア国立舞踊団の物語なのにアカデミー賞外国語映画部門のスウェーデン代表になったという映画です。言葉もジョージア語です。レヴァン・アキン監督がジョージア系のスウェーデン人だからなんですが、アキン監督の精神的母国ジョージアへの強い思いとスウェーデン社会で育った価値観からの強いメッセージが詰まった映画です。ダン...
三島も全共闘もすでに歴史になってしまったという現実三島の楽しそうな顔が印象的です。緊張の裏返しの笑顔ということもあるのかとも思いますが、学生たちから投げつけられる批判をひとことひとこと丁寧に受け止めようとしている時の笑顔は本当に楽しそうです。三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実 / 監督:豊島圭介学生たちが、特に東大生ですので最初から三島に一目...
(DVD)不幸物語オンパレードをDVDで見るのはつらい「新聞記者」を見たときに、プロデューサーの河村光庸さんが映画化にあたってこの人ならと監督をオファーをしたのが藤井道人さんであり、その藤井さんは「政治も勉強したことがないし、自分で新聞も取ったことがなかった(HUFFPOST)」などと最初は断ったという記事を読み、どんな映画を撮る人なんだろうと興味を持って見た映画...
ノスタルジックな映像と余韻ある俳優の演技の調和1980年代が舞台のベトナム映画です。ベトナムの1980年代といいいますと、ベトナム戦争は1975年に終結しているのですが、その後もカンボジアでの覇権争いや中国との戦争があり、安定の兆しが見え始めるのは1990年以降ですので、政治的にも経済的にも大変な時代だったと思います。ドイモイ政策が始まるのも1986年です。た...
グザヴィエ・ドランの転換点となるかグザヴィエ・ドラン監督にとって、母親との関係は永遠のテーマなんでしょう。デビュー作の「マイ・マザー(英題:I Killed My Mother)」に始まり、「Mommy/マミー」というそのものスバリのタイトルもありますし、その他ほとんどの作品に母親の影がちらついています。ジョン・F・ドノヴァンの死と生 / 監督:グザヴィ...
見るべきはクリステン・スチュワートのみ(かな?)おお、J.T.リロイが映画化(ドラマ化)されたんだ! という感じです。というのは、2年半くらい前に「作家、本当のJ.T.リロイ」という映画(ドキュメンタリー)を見て、「映画としては面白くありません。わたしなら劇映画にしますね。それだけ内容は面白いです。」とまとめたことのある題材です。それに、なんといっても J.T....
日常が戦場という現実シリア内戦に関する正しい情報を知ることはかなり困難です。アサド政権と反体制派による政治闘争に始まり、民族闘争、宗教闘争、さらに大国による軍事介入が絡み合っていると言われています。ただこの映画はそうした政治的、宗教的、民族的立ち位置から描かれた映画ではありません。監督のワアド・アルカティーブさん、下の画像の女性ですが、ワアドさんはたしかに反体制...
ジュディ・ガーランドの最後のロンドン公演を描く名前はよく耳にするのに、具体的にはどんな人かも、顔さえも知らない有名人というのが結構います。ジュディ・ガーランドさんもそうで、「オズの魔法使い」のドロシーの人ということとライザ・ミネリのお母さんということくらいしか思い浮かびません。そのジュディ・ガーランドさんの亡くなる直前の半年くらいを描いた映画です。演じたレニー・...
(DVD)コメディの味わいを出すべきかと…まずは、すごいタイトルだなあと目がいき、大森立嗣監督だからと見た映画です。宮川サトシさんの自伝的漫画が原作なんですね。母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。(新装版)作者:宮川 サトシ発売日: 2018/12/26メディア: 単行本(ソフトカバー) 母を亡くした時、僕は遺骨を食べ...
(DVD)在日コリアン一家の人情劇、やはり舞台向きしばらくDVD月間ということになりそうです。「焼肉ドラゴン」鄭義信さん脚本、演出の2008年の舞台劇の映画化で、監督も鄭さんです。焼肉ドラゴン / 監督:鄭義信ウィキペディアによれば、舞台劇の方は新国立劇場と韓国の芸術の殿堂(예술의 전당)の共同制作で韓国の梁正雄さんとの共同演出だったとのことです...
見なくてはわからないリアリティとダイナミズム革命のダイナミズムとはこういうものかも知れない。というのが、この映画を見てまず最初に思ったことです。戦争は突発的にでも起きますし、ある一人の意志で起こすこともできますが、革命はそういうわけにはいきません。ある集団、階層、階級に共通した「怒り」がベースになければ革命は起きません。最初から最後まで「怒り」が渦巻いた映画...
五体投地のシーンが少ないのは残念、基本は親子ものでしたチベット仏教の巡礼といえば「五体投地」です。「ラサへの歩き方 祈りの2400km」で知りました。無茶苦茶いい映画でした。もう一度見たいです。これもそういう映画かなと思いましたがちょっと違っていました。巡礼の約束 / 監督:ソンタルジャ物語の背景や契機となるのはラサへの巡礼ですが、映画のテーマは親...
日本で上映する意味のない映画この映画を日本で上映する意味が何かありますかね?「愛より強く」以降ほぼすべての映画を見ているファティ・アキン監督ですので見ましたが、ただ単にアルコール依存症のサイコパスの男の日常を見せているだけで、人間性に関わる普遍性なし、ホラーとしての深さもなし、映画的な面白さもなし、(日本ではという意味での)現代性もなしという映画です。屋...
コメディタッチのダンス&音楽映画でありながら背景はシリアス映画関係のサイトを見たりしていますと、わりとよく「サニー 永遠の仲間たち」の文字を目にします。見てはいないのですが、そのカン・ヒョンチョル監督の映画ということで興味を持った「スウィング・キッズ」、タイトルやビジュアルからも音楽&ダンス映画だと思われ、おそらくハズレはないでしょう。スウィング・キッズ ...
昭和(バブリー)的昼メロ&女性旅立ちドラマしばらく前までは、邦画はほとんど DVDですましていたんですが、最近では劇場で見る比率が上がってきています。多分、単館系の洋画の上映が東京以外では少なくなっているからでしょう。「Red」正直、見ながらなぜこれを見ようとしたのか、何気なくクリック(予約なので)してしまったような記憶しかなく、自分ながら不思議でした。つま...
映画としての視点が定まらず、コトの成り行きしかみえず最後まで何をやろうとしているのかわからない映画でした。見終えた後、原作の書評などを読んでみましたら、え? そういう話だったの!? とびっくりしましたので、見られる方は原作を読んでからのほうがいいかもしれません。影裏 (文春文庫)作者:沼田 真佑出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2019/0...
人は記憶を失えば他者と世界を共有できない、しかし…つい3ヶ月ほど前に「わたしは光をにぎっている」を見たばかりの中川龍太郎監督の「静かな雨」です。原作ものは初めてとありますのでおそらくオファーがあったのでしょう。静かな雨 (文春文庫)作者:宮下 奈都出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2019/06/06メディア: 文庫 映画を見て...