何かが起きる、何かが起きる…そう思うあなたはドラマ病… フィリピンのブリランテ・メンドーサ監督です。過去に「ローサは密告された」とイザベル・ユペールさんが出演している「囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件」を見ている監督です。2009年の「キナタイ マニラ・アンダーグラウンド」ではカンヌ国際映画祭で監督賞を、そして「ローサは密告された」では主演女優賞を...
ことの重大さを打ち消すかのように軽やかに振る舞うジョイの存在に意味がある… アメリカの連邦最高裁判所が、1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆して「妊娠中絶の権利は憲法で保障されていない」とする判断を下したのは2022年6月24日です。そしてこの「コール・ジェーン」がプレミア上映されたのがその年の1月21日のサンダンス映画祭であり、一般公開はその年の10月...
真面目さは感じるが、人物の背景描写がなくダイジェストのよう… 海外の監督が日本の物語を日本人の俳優で撮るというのは、最近ではヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」がありますが、あれは日本の企画で監督オファーですのでちょっと違いますし、あまりないですね。パトリック・ディキンソン監督は早稲田大学で日本映画を学んでいたとありますし、なんの...
映画としてはまとまっているが、物語が表層を滑っていく… 原作が本屋大賞受賞作ということですし、どこからともなく流れてくる映画の持つ匂いから、おおよそその傾向は想像はついていたのですが、ひとつだけ、え? それなの? という映画でした。どこからともなく流れてきていたのは予告編を見たからと思っていましたが、今トレーラーを見てみましたら見たことのないもので...
吉高由里子さんに感動する… 2年前に NHK BS で放映されたドラマの劇場版だそうです。時代もの(大正時代ですが…)のテレビドラマはきれい過ぎて現実感がありませんのでどうしようかと思ったのですが、伊藤野枝の話ですので見ておくべきか…という映画です。風よ あらしよ 劇場版 / 演出:柳川強吉高由里子さんに感動する…...
ラストシーン、コットがダディ、ダディと二度つぶやく父娘の物語… 一昨年2022年のベルリン国際映画祭ジェネレーション部門(Kplus)でグランプリを受賞したアイルランド映画です。Kplus は主人公が 4歳以上の映画が対象で、11人の子どもたちが審査するという部門です。主人公が14歳以上になりますと 14plus という部門になり、同じ年に川和田恵真監督の...
モノクロ映像? 東松照明? 長崎? 沖縄? セクシュアリティ? 何を描きたいのでしょう… 監督作品としては「パラダイス・ネクスト」「雨にゆれる女」と見てきている半野喜弘監督です。音楽としてはジャ・ジャンクー監督やホウ・シャオシェン監督、日本ですと行定勲監督などの映画で名前をよく見る方です。彼方の閃光 / 監督:半野喜弘映像...
引退宣言を翻しての復帰はロシアによるウクライナ侵略がきっかけでしょうか… 2017年の「希望のかなた」以降見ていないなあと思っていたアキ・カウリスマキ監督、引退宣言をしていたんですね。それを翻しての新作、何を思ってのことでしょう。枯れ葉 / 監督:アキ・カウリスマキロシアによるウクライナ侵略かな…多分、ロシアによる...
青春とは「普通」を拒否するがゆえにいつの時代もイタイもの… 2001年の映画のリバイバル上映です。といっても、それもよく知らずにポチッとして見てきました(笑)。タイトルにもまったく記憶にありませんし、スカーレット・ヨハンソンを知ったのが2003年の「ロスト・イン・トランスレーション」や「真珠の耳飾りの少女」ですので多分見ていないのでしょう。[toc...
スロベニアの美しき栗の森とそこで生きる人間の挫折、悔恨、あるいは希望… スロベニア映画です。あまり馴染みがない国で地図上の位置もぼんやりですのであらためて確認してみました。1992年まではユーゴスラビア社会主義連邦を構成していた共和国で、西はイタリア、北はオーストリアに隣接する国です。ユーゴスラビアといいますとどうして1990年代の内戦が頭に浮かん...
音楽映画なのに、物語に音楽が絡んでこないもどかしさ… 岩井俊二監督の映画を見るのは、初期の「Love Letter」「PiCNiC」「スワロウテイル」以降、2020年の「ラストレター」までその間がすっぽり抜けています。そのせいもあるのか「ラストレター」では「Love Letter」とつながってしまい「構成力はさすがです。が、今だにこんなに叙情的、かつ感傷的...
熊はまぼろし、恐れることはない… ジャファル・パナヒ監督、2018年の「ある女優の不在(3 Faces)」以来です。2010年頃からイラン政府によって拘束されたり、逮捕されて有罪判決が下されて収監されたりが続いているのですが、現在はどうなっているんでしょう。熊は、いない/ノー・ベアーズ / 監督:ジャファル・パナヒ撮り終え...
このドラマをもってしか、この少年の、この感情を描けないものだろうか… 「Girl/ガール」のルーカス・ドン監督です。相変わらず際どいことをする監督です。CLOSE クロース / 監督:ルーカス・ドン少年の友情とセクシュアリティ昨年2022年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞しています。「逆転のトライアングル」がパ...
ウクライナ、ポーランド、ユダヤの三家族、三人の子どもたちが歴史の波に翻弄される クリスマスキャロルの定番とも言える「キャロル・オブ・ザ・ベル」は「シェドリック(Shchedryk)」というウクライナ民謡をもとにした曲に英語の歌詞がつけられたものだそうです。その「キャロル・オブ・ザ・ベル」が1939年からの戦火の下でしあわせを呼ぶ(はずの…)曲として象徴的に...
タクシードライバー系? カジノもの? いやいやピュア・ラブストーリーでした いまだに「タクシードライバー」や「ポール・シュレイダー × マーティン・スコセッシ」で売らなくちゃいけないというのはどうなんだろう、などと思いながら見に行きましたら…いやいや、結構面白かったですし、びっくりしました(笑)。カード・カウンター / 監...
河林満さんの原作のラストを知れば思わずAmazonでポチッ… 原作者の河林満さんも監督の高橋正弥さんも初めて目にする名前です。河林満さんは2008年に57歳で亡くなられているようです。いま河林満さんのウィキペディアを読んでいましたら、ラストシーン、ああやっぱりねということが書かれています。渇水 / 監督:高橋正弥原作は河林満...
幸せは誰もがそう思えるものではなく、自分自身が幸せと思えればそれでいいのだが… つい数日前にカンヌ国際映画祭で脚本の坂元裕二さんが脚本賞を受賞しており、話題性の上でもとてもタイミングのいい公開です。それにしても是枝裕和監督はカンヌに出品する映画はすべて何らかの賞を受賞しています。「ベイビー・ブローカー」「万引き家族」などなど、と思い調べてみましたらそうでも...
原作をなぞっているように感じられ、映画としての力が感じられない… 2017年にイタリアの文学賞ストレーガ賞を受賞しているパオロ コニェッティ著『帰れない山(Le otto montagne)』が原作の映画です。原題の意味は「8つの山」です。映画のなかでその意味が語られます。監督、脚本はフェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲンとシャルロッテ・ファンデル...
フランス的個人主義と家族主義が同居する映画 前作が「アマンダと僕」のミカエル・アース監督の最新作、昨年2022年のベルリン国際映画祭のコンペティションで上映されています。主演はシャルロット・ゲンズブールさん、こちらはたくさん見ていますが、なにが記憶に残っているかと言われれば、やはりラース・フォン・トリアー監督の「アンチクライスト」「ニンフォマニアック」あた...
この乱雑さは気負いの現れ… 「ビー・ガン[凱里ブルース][ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ]フー・ボー[象は静かに座っている]に続く中国第8世代新たなる才能の発見チウ・ション|仇晟 鮮烈の長編デビュー作」と紹介されています。ただこの映画、2018年製作の映画です。郊外の鳥たち / 監督:チウ・ション新たなる才能か、未...