青春とは「普通」を拒否するがゆえにいつの時代もイタイもの… 2001年の映画のリバイバル上映です。といっても、それもよく知らずにポチッとして見てきました(笑)。タイトルにもまったく記憶にありませんし、スカーレット・ヨハンソンを知ったのが2003年の「ロスト・イン・トランスレーション」や「真珠の耳飾りの少女」ですので多分見ていないのでしょう。[toc...
スロベニアの美しき栗の森とそこで生きる人間の挫折、悔恨、あるいは希望… スロベニア映画です。あまり馴染みがない国で地図上の位置もぼんやりですのであらためて確認してみました。1992年まではユーゴスラビア社会主義連邦を構成していた共和国で、西はイタリア、北はオーストリアに隣接する国です。ユーゴスラビアといいますとどうして1990年代の内戦が頭に浮かん...
音楽映画なのに、物語に音楽が絡んでこないもどかしさ… 岩井俊二監督の映画を見るのは、初期の「Love Letter」「PiCNiC」「スワロウテイル」以降、2020年の「ラストレター」までその間がすっぽり抜けています。そのせいもあるのか「ラストレター」では「Love Letter」とつながってしまい「構成力はさすがです。が、今だにこんなに叙情的、かつ感傷的...
熊はまぼろし、恐れることはない… ジャファル・パナヒ監督、2018年の「ある女優の不在(3 Faces)」以来です。2010年頃からイラン政府によって拘束されたり、逮捕されて有罪判決が下されて収監されたりが続いているのですが、現在はどうなっているんでしょう。熊は、いない/ノー・ベアーズ / 監督:ジャファル・パナヒ撮り終え...
このドラマをもってしか、この少年の、この感情を描けないものだろうか… 「Girl/ガール」のルーカス・ドン監督です。相変わらず際どいことをする監督です。CLOSE クロース / 監督:ルーカス・ドン少年の友情とセクシュアリティ昨年2022年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞しています。「逆転のトライアングル」がパ...
ウクライナ、ポーランド、ユダヤの三家族、三人の子どもたちが歴史の波に翻弄される クリスマスキャロルの定番とも言える「キャロル・オブ・ザ・ベル」は「シェドリック(Shchedryk)」というウクライナ民謡をもとにした曲に英語の歌詞がつけられたものだそうです。その「キャロル・オブ・ザ・ベル」が1939年からの戦火の下でしあわせを呼ぶ(はずの…)曲として象徴的に...
タクシードライバー系? カジノもの? いやいやピュア・ラブストーリーでした いまだに「タクシードライバー」や「ポール・シュレイダー × マーティン・スコセッシ」で売らなくちゃいけないというのはどうなんだろう、などと思いながら見に行きましたら…いやいや、結構面白かったですし、びっくりしました(笑)。カード・カウンター / 監...
河林満さんの原作のラストを知れば思わずAmazonでポチッ… 原作者の河林満さんも監督の高橋正弥さんも初めて目にする名前です。河林満さんは2008年に57歳で亡くなられているようです。いま河林満さんのウィキペディアを読んでいましたら、ラストシーン、ああやっぱりねということが書かれています。渇水 / 監督:高橋正弥原作は河林満...
幸せは誰もがそう思えるものではなく、自分自身が幸せと思えればそれでいいのだが… つい数日前にカンヌ国際映画祭で脚本の坂元裕二さんが脚本賞を受賞しており、話題性の上でもとてもタイミングのいい公開です。それにしても是枝裕和監督はカンヌに出品する映画はすべて何らかの賞を受賞しています。「ベイビー・ブローカー」「万引き家族」などなど、と思い調べてみましたらそうでも...
原作をなぞっているように感じられ、映画としての力が感じられない… 2017年にイタリアの文学賞ストレーガ賞を受賞しているパオロ コニェッティ著『帰れない山(Le otto montagne)』が原作の映画です。原題の意味は「8つの山」です。映画のなかでその意味が語られます。監督、脚本はフェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲンとシャルロッテ・ファンデル...
フランス的個人主義と家族主義が同居する映画 前作が「アマンダと僕」のミカエル・アース監督の最新作、昨年2022年のベルリン国際映画祭のコンペティションで上映されています。主演はシャルロット・ゲンズブールさん、こちらはたくさん見ていますが、なにが記憶に残っているかと言われれば、やはりラース・フォン・トリアー監督の「アンチクライスト」「ニンフォマニアック」あた...
この乱雑さは気負いの現れ… 「ビー・ガン[凱里ブルース][ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ]フー・ボー[象は静かに座っている]に続く中国第8世代新たなる才能の発見チウ・ション|仇晟 鮮烈の長編デビュー作」と紹介されています。ただこの映画、2018年製作の映画です。郊外の鳥たち / 監督:チウ・ション新たなる才能か、未...
日本の多くの同世代に見られることを望むのだが… フィンランドの青春映画です。フィンランドの映画は結構見ていますが思い返してみますとかなり多彩です。どの国にもいろんな映画があるという当然といえば当然のことなんですが、つい最近の「コンパートメントNo.6」、これは大人の映画でオススメです。フィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベックを描いた「魂のまなざし」...
ペネロペ・クルスの映画監督役がはまっていてびっくり! ペネロペが天才映画監督? マジですか?! 最も似合わない役じゃないですか…。と思って見てみましたら、とんでもない! ペネロペ・クルスさんの俳優力を見損なっていました(ペコリ)。コンペティション / 監督:ガストン・ドゥプラット & マリアノ・コーンおふざけ...
カンヌが映画を忘れた… 昨年2022年のカンヌ国際映画祭のパルムドール受賞作です(ホントに?)。リューベン・オストルンド監督は、前作の「ザ・スクエア 思いやりの聖域」で同じくカンヌのパルムドール、前々作の「フレンチアルプスで起きたこと」で2014年のカンヌ「ある視点」部門の審査員賞を受賞しています。思わず昨年の審査委員が誰かを調べてしまいました。審...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 「オリ・マキの人生で最も幸せな日」のユホ・クオスマネン監督の長編第2作です。その2016年の長編デビュー作はカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で作品賞を受賞しています。そして、この「コンパートメントNo.6」は2021年に同じくカンヌのコンペティション部門でグランプリ受賞です。コンパートメン...
DVD 一年ほど前に「麻希のいる世界」という同じく塩田明彦監督の映画を見てその手法に興味がわき、正月休みに旧作の「害虫」を見てみました。宮崎あおいさんと蒼井優さんの映画です。二人は同い年なんですね。20年前の映画ですので若い! 撮影当時は15、6歳ということだと思います。害虫 / 監督:塩田明彦画が説明的「麻希のいる世...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 今年2022年初めの劇場公開時には、イスラエルとパレスチナの若者たちがオーケストラを組むという内容をみて、まあよくある音楽を使った感動ものだろうとパスしていたのですが、ちょっと気になってDVDを見てみましたら、感動ものには違いありませんし、ヨーロッパ視点の映画ではありますが、現実の厳しさを無視していない点ではいい映画...
岸井ゆきのさんを見る映画です、でももっと出来るはず… 岸井ゆきのさんが聴覚障害のあるボクサーを演じています。ただそれだけですがいい映画でした。監督は「きみの鳥はうたえる」や「Playback」の三宅唱監督です。ケイコ 目を澄ませて / 監督:三宅唱役作りに一年は必要じゃないかケイコ(岸井ゆきの)には先天性の聴覚障害があ...
本当の自分を抑え込まなくてはいけない辛さ 1995年、アイルランドの田舎町ではまだまだ性的マイノリティーへの差別意識が渦巻いていたという映画です。さらにその差別によって追い詰められる側がティーンエイジャーですので見ていてつらいものがあります。監督、脚本は「CURED キュアード」のデビッド・フレイン監督です。恋人はアンバー...