映画は最強のプロパガンダ手段 2022年の今ではドンバスやドネツクの地名も毎日のように耳にしますが、その地名をタイトルにしたこの映画の製作年は2018年です。2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻(侵略)の4年前の映画です。皮肉なことですが、この戦争がなければこの映画が日本で劇場公開されていたかどうかわかりません。2018年のカンヌ映画祭...
トム・クルーズは映画が映画でなくなった時代の最後の映画スター ハリウッド超王道! 見事です。2時間10分、あっという間でした。空中シーンでは知らず知らずのうちに拳を握っている自分に気づきます。懐かしさを感じるのに古くない見事と書いておきながらなんですが、特にすごいところがあるわけではありません。物語はハリウッドの定...
大人の女性のファンタジーに見えても、実は男の… 安倍照雄さんという脚本家のオリジナルストーリーとのこと、平山秀幸監督とともに10年来温めてきた企画でもあるそうです。笑えもし見ていて楽しくなる大人のファンタジーです。ただ、ちょっと見方を変えますと、んー……という映画でもあります。ツユクサ / 監督:平山秀幸大人のしあ...
昭和ノスタルジーの人情噺で自身の昭和度を測る 重松清さんの小説『とんび』の映画化です。中心となっている時代が1960年代から2、30年間の話ですのでいつ書かれたものだろうとウィキペディアを見てみましたら2003年の新聞の連載小説でした。原作を読んでいませんので実際はどうかわかりませんが、映画は昭和ノスタルジーです。自分の昭和度をはかるにはいい映画で...
男でもない女でもないノンバイナリージェンダーの誕生か 昨年2021年のカンヌ映画祭パルムドール受賞作です。「世界が驚愕、混乱、困惑」とか「完全に独創的、脳がブッ飛んだ」などの宣伝コピーが踊っていますので、無茶苦茶期待の映画です。TITANE/チタン / 監督:ジュリア・デュクルノー驚愕するよりも考えてしまう...
男はケーキにまみれて自らの過去に拘泥し、女は朝日にまみれて未来を思う 日本映画は大丈夫か? と思います。松居大悟監督までもが…とかなり心配になります。この手の恋愛映画、それぞれ若干趣きは違うにしても過ぎ去りし過去を引きずった感傷的恋愛映画が立て続けに送り出されています。「ボクたちはみんな大人になれなかった」「明け方の若者たち」たまたま私が見...
後味の悪さが現代につながる 焦げ付かないフライパンの代名詞のような「テフロン」ってデュポン社の登録商標なんですよね。以前、フライパンのコーティングが剥げたので再加工は出来ないかと調べていた時に知りました。フッ素を含んだ合成樹脂は耐熱性や耐薬品性に優れていることからフライパンのコーティングに使われているということらしく、そのフッ素樹脂をデュポンはテフロンと呼...
北白川派に時代劇は無理ではないか… 「北白川派」とは「京都造形芸術大学と映画学科が一丸となり、その全機能を駆使しながら、プロと学生が協働で一年をかけ一本の映画を完成させ、劇場公開を目指すプロジェクト(北白川派)」で、私は「嵐電」「のさりの島」と見てきて結構気に入っているんですが、さすがにこれはちょっと…です。主だったスタッフや俳優は、「監督は若...
トレブリンカ強制収容所の記憶の歌 The Song of Names 映画らしい映画と言いますか、ヨーロッパらしい映画です。監督のフランソワ・ジラールさんはカナダの方ですが、原作の「The Song of Names」がイギリスの小説ですし、原作者のノーマン・レブレヒト(Norman Lebrecht)さんはイギリスの作家であり、音楽ジャーナリストでもあります。...
サルバトール・ムンディがルーブル・アブダビに展示される日は来るか? 1763年以降行方不明(ウィキペディア)となっていたレオナルド・ダ・ヴィンチの最後の傑作「サルバトール・ムンディ」という絵画が、真偽不明のまま、1175ドル(約13万円)から4億5000万ドル(約510億円)に化けてしまったという話です。その過程に関わった人物たちのインタビューで構成されたドキュメ...
パンクカップルはラブコメで世界を変える 面白い映画でした。アメリカはこういう映画はうまいですね。社会規範への抵抗とラブストーリーを結びつけ、それでいて暗くならずにポップ(この映画ではパンク)でカラッとしています。犯罪性は抑えられてラブコメ要素がかなり強いのですが、「俺たちに明日はない」「地獄の逃避行」「トゥルー・ロマンス」の系譜でしょうか…。いや、そこまではいって...
紳士服の世界をウェディングがエレガントに覆う ギリシャで育ち、アテネとロンドンで映画製作を学んだというソニア・リザ・ケンターマン監督の初の長編映画です。1982年生まれですから現在39歳です。ちょっと変わった、といいますか、ユニークな感性を感じます。テーラー 人生の仕立て屋 / 監督:ソニア・リザ・ケンターマンメンズスーツからウェディングドレスへ...
マルセル・マルソー、レジスタンに身を投じる パントマイムといえばマルセル・マルソーさんと、すぐにその名前が出てくる方ですが、パントマイム・アーティストとして世に出るのは第二次世界大戦後のことです。この映画は、その戦争中にナチス・ドイツに対するレジスタンスとして活動していた時代を描いています。第二次世界大戦が始まったが1939年、マルソーさんは1923年生まれですか...
細かすぎて伝わらないと音が加福に言う 濱口竜介監督、私個人としても評価は高く、大いに期待する監督のひとりですので批判という意味ではなく言えば、映画としてはちょっとやり過ぎじゃないかと思います。言い方をかえれば、力が入り過ぎている感じがしますし、映画の特質である(と私が思う)直感的にわかる(伝わる)ことがおろそかになっています。それもまあ、本人がわかっていることなの...
「羊飼いと風船」にいたるペマ・ツェテン監督の過渡期の映画 ペマ・ツェテン監督の2015年の作品、先日見た「オールド・ドッグ(2011)」と「羊飼いと風船(2019)」のちょうど真ん中、それぞれその間にもう一作ずつあるようでそれは見ていないのですが、映画のつくりの変化になるほどと思える映画です。タルロ / 監督:ペマ・ツェテンこだわりをすごいと感じるか...
(DVD)三浦透子、井之脇海主演、越川道夫監督、俳優二人のPV風 越川道夫監督ということでDVDを借りてみました。この内容で122分?!という驚きの映画です。月子 / 監督:越川道夫プロモーションフィルムのよう三浦透子さんと井之脇海さんネタバレあらすじプロモーションフィルムのようもちろん122分のプロモーションフィルムというのも考えにく...
親子の感動物語として売るのは日本映画界の悪しき行い 自閉スペクトラム症の青年と父親の物語です。監督はイスラエルのニル・ベルグマンさん、東京国際映画祭で2度グランプリを受賞している監督だそうです。なぜかまったく知りませんでした。旅立つ息子へ / 監督:ニル・ベルグマン父親の子離れ物語 ネタバレあらすじとちょいツッコミ親子愛の勘違いに気づく父親物語...
アクションに走りすぎて肝心の人物描写がない… 吉田修一さんの『鷹野一彦シリーズ』3部作のうち、2011年に月刊誌に連載された『太陽は動かない』と、その後書き下ろしで2015年に発刊された『森は知っている』の2作を原作としてます。ちなみに3作目の『ウォーターゲーム』は2作めに続いて2015年から2016年にかけて新聞連載されています。その頃から映画化の話が持ち上がっ...
コメディ、アイロニカル、シュール、パレスチナ、あるいは世界の現実? エリア・スレイマン監督、初めて見ました。パレスチナの映画と言いますと、ハニ・アブ・アサド監督の「パラダイス・ナウ」や「オマールの壁」といった対イスラエル視点の映画を思い浮かべますが、この「天国にちがいない」はちょっと違っています。天国にちがいない / 監督:エリア・スレイマンクスッ...
サスペンス、オカルト、スリラー?よくわからんけどD級かな まあなんともうるさい映画ですね。全編、音楽やら効果音で煽ったり驚かせようとしています。が、成功していません。ダニエル / 監督:アダム・エジプト・モーティマー音付けはゲームみたいなもの? ネタバレあらすじとちょいツッコミ二世俳優音付けはゲームみたいなもの? ゲームはしませんので...