死ねばいいのに

原作の京極夏彦著『死ねばいいのに』を読めばいい

亜佐美を殺したのは誰だ?のミステリーでもなく、お前(映子)は何者!のサスペンスでもなく、ほぼ一対一の会話で構成されているのに会話劇でもなく(理由は後述…)、弁護士がやたら頑張っているのにリーガルドラマでもなく、この映画は一体何なのだ(笑)。

死ねばいいのに / 監督:金井純一

ネタバレあらすじ

はい、説明ドラマです。

最初から最後まで過去に起きたことが言葉によって説明されます。一対一の会話劇には見えますが、その会話によってそれまで見えなかった風景が見えてくるわけではなく、一方によって責められまくってもう一方が白状するだけです。まあ警察の取り調べ(知らないけど…)みたいなものです。

映子、三人を取り調べる

緑の草に覆われた河川敷、土手の上に映子(奈緒)が立っています。映子が河川敷におりてきますと数カ所にライトが灯り、机や椅子などが見えてきます。

どういう意図かはわかりません(理屈付けは最後にわかる…)がイメージシーンです。

亜佐美(伊東蒼)がビルの屋上で殺されています。首には絞められた圧迫痕があります。

亜佐美の上司寛之のもとに映子が現れます。映子は訝しげな表情の寛之に亜佐美の知り合いだと名乗り、亜佐美との不倫関係を問いただし始めます。寛之は亜佐美との関係は真剣だった、亜佐美はいつもしあわせだと言っていたと必死に弁解します。映子はただ都合のいい女と利用していただけじゃないのと突き放し、最後に死ねばいいのにと言い放ち去っていきます。

二人目は亜佐美の高校時代(だと思う…)の先輩佳織です。佳織は亜佐美のアパートの隣の部屋に住んでいます。映子が亜佐美のことを知りたいと言いますと、佳織はあの子は高校時代からヤリ〇〇で、私の彼氏まで寝取っていったと話し始めます。それに対して映子は、あなたネットで亜佐美をディスってましたね、亜佐美は知っていましたよ、彼氏のことも無理やり部屋に押し入ってきたと佳織を責めます。そして最後には死ねばいいのにと言います。

三人目は今カレだったか元カレだったかの雄也です。雄也は兄貴(ヤクザ?…)から買わされたモノだから好きにしていいと言い放ちます。映子が暴行していましたねと責めますと映子まで殴り飛ばします。そして、亜佐美とは結婚するつもりだったと泣き崩れます。映子は死ねばいいのにと去っていきます。

映子、取り調べられる

映子は警察に行き、亜佐美のことを聞きたいと迫ります。

シーン変わって拘置所の映子に弁護士(平山テツ)が面会しています。経緯は描かれませんが亜佐美殺害の被疑者として逮捕されたということでしょう。

ここからは映子と弁護士のやり取りとなり、亜佐美との出会いから殺害までが映像で説明されます。死刑でいいという映子に弁護士が声を荒らげてなぜ、なぜと迫っています。

経緯を簡単に書きますと、ある夜、映子は路上で男(佳織の元カレかな…)に絡まれている亜佐美を助けます。亜佐美は映子にありがとうと言い、人懐っこい笑顔を向けて一緒に歩ことか、お茶しよとか言ってきます。別れ際には連絡先を交換することになり、次の日には一緒にご飯を食べることになり、待ち合わせの店があいにく休業であったため亜佐美のアパートに行くことになります。

亜佐美は寛之とこと、佳織とのこと、雄也のことをなんのためらいもなく話します。上に映像で説明されると書きましたが、今思い出せる画がほとんどありませんのでそうでもなかったかも知れません。ときどきワンカット挿入されていただけだったような、とにかく後半は映子が弁護士に問いただされるような展開で、それに対し映子は淡々と答えていた印象です。

その夜、亜佐美が大好きな場所に行こと言い、映子を連れ出します。どこかのビルの屋上です。亜佐美は屋上からの夜景を見て「しあわせ」とうれしそうです。映子はこんな何でもない風景なのにと思います。

そして、映子は今がしあわせならしあわせのまま死ねばいいのにと亜佐美の首を絞めます。

え? こんな簡単でしたっけ? 思い出せません(笑)。

この後でしたか、映子が亜佐美のアパートに入り、パソコンに残されたメール、日記、ブログ(のようなもの…)をすべて消去し、コップの指紋も消します。

冒頭の河川敷のシーンは亜佐美のパソコンの壁紙が緑の野原であることからであり、前半の3人とのやり取りには河川敷の同じようなセットでのやり取りの画がときどき挿入されていました。

感想:映画にしなくても小説を読めばいい

原作は京極夏彦著『死ねばいいのに』です。

この映画であれば小説を読めばいいです。

読んでいませんので適当は話ですが、小説の物語を説明しただけの映画じゃないかと思います。今は物語への評価が優先される時代ですのでこの映画もそれなりに評価されるのかも知れませんが、さすがにもう少し人物に奥行きがないとつまらないです。せめて映子が亜佐美を殺害するにいたった内面を描かないと映画にはならないでしょう。

亜佐美は自他境界が曖昧な幼児期そのままに大人になった人物と理解できますが、映子の行動には人間性がまるで感じられません。シナリオにも演出にも人物造形ができておらずその意志もないということです。

奈緒さんと伊東蒼さんはその俳優力からして当然の出来と思いますが、いかんせん映画に俳優を生かすだけの広がりがありません。