言いたいことが言えない生活を想像できますか?つい先日見た「旅立つ息子へ」が自閉スペクトラム症の青年と父親の映画でした。その際いくつか自閉スペクトラム症に関連するサイトを読んだことがこの映画を見たきっかけです。僕が跳びはねる理由 / 監督:ジェリー・ロスウェル東田直樹さん 自閉症者の見る世界を映像化しようとしているようだが… 5人の自閉症の子ども...
親子の感動物語として売るのは日本映画界の悪しき行い自閉スペクトラム症の青年と父親の物語です。監督はイスラエルのニル・ベルグマンさん、東京国際映画祭で2度グランプリを受賞している監督だそうです。なぜかまったく知りませんでした。旅立つ息子へ / 監督:ニル・ベルグマン父親の子離れ物語 ネタバレあらすじとちょいツッコミ親子愛の勘違いに気づく父親物語...
ややオフビート、ややシュール、総じて真面目で優しい映画原作の漫画も大橋裕之さんという方も知らないのですが、先行上映ということで見てきました。雰囲気的になんとなくギャグ系なんだろうなあと思って見に行ったのですが、そうでもなくシリアスということでもないのですがいたって真面目な(?)映画でした。ちょっとオフビートっぽいところもありますし、シュールなところもあります。...
ノマドファンタジーへの誘い間もなく発表になる今年のアカデミー賞に作品賞、監督賞、主演女優賞など6部門でノミネートされています。先日見た「ミナリ」も同じように6部門でノミネートされていることとあわせて考えますとなんとも興味深いです。どちらもアメリカのルーツに関わるような内容なのにどちらも監督がアジア系であり、そしてどちらも映画の基調がノスタルジックです。ノ...
わかりやすさを拒否することの意味三澤拓哉監督ってどんな人かとウィキペディアを見ていましたら1987年生まれとあり、ん? そういえば2、3日前に見た「14歳の栞」のプロデューサーや監督も同年代だったなあと、まったく関係はないのですが妙に気になったわけです。理由は、かたや時代の先端をいく(目指す?)映像クリエイターたち、かたや時代に反旗を翻す(かのような)映画制作者...
カメラの前のリアリティ、中学2年6組35人の3学期ある中学校の2年生ひとクラス35人の3学期を撮った映画です。ただそれだけです。でも映画になっています。14歳の栞 / 監督:竹林亮映像コンテンツとしての映画編集と音楽見えてくるのはリアルな14歳か?映像コンテンツとしての映画中学2年は14歳、多感との形容詞が似合うこの年令の子どもたちを...
ソ連全体主義再現プロジェクトこの映画を一般的な面白い面白くないという範疇で語ってもあまり意味がないかもしれません。なにせ「DAU」というのは壮大なプロジェクトであり、この映画は、13本の映画と6本のTVシリーズ(14本の映画と3本のTVシリーズかも)のうちの1本ということです。また、プロジェクトの基本的なテーマが全体主義の再現ということであれば、あるいは「静かな...
ノスタルジックなフロンティア精神がアメリカのアイデンティティを刺激する韓国系移民2世のリー・アイザック・チョン監督の自伝的な映画とのことです。ですので映画の中のデビッドが監督の幼い頃であり、映画の内容も監督の記憶やそこから広がった創作ということになるのでしょう。ミナリ / 監督:リー・アイザック・チョンアカデミー賞6部門ノミネートネタバレあらすじ...
ミスコン擁護にも見えるが…男性がミスコンに出るという話であれば、切り口としてはトランスジェンダーかなと思っていましたがそうではなく、主人公の性自認は映画の主題にはあまり関係がないようで、単純に子どもの頃の夢を叶えた男の子という映画…なのかな?MISS ミス・フランスになりたい! / 監督:ルーベン・アウベスミスコンを相対化し得たか? ネタバレあら...
「おしん」の国のクライム映画、イラン・ノワールとなるか…最後まで飽きることなく集中して見られる映画なんですが、でも結局、見終えてなんと評すべきか迷うような映画です。基本的には、警察と麻薬密売組織の戦いを描いたクライム映画ですのでアクションシーンもありますし、サスペンスっぽいところもあります。でもなにか違うんですよね。言うなればまったく価値観の違うところに放り込ま...
アメリカの真実が真実とは言えない「ラスト・フル・メジャー」という言葉は、リンカーン大統領の言葉としてよく引用される「人民の、人民による、人民のための政治」が語られたと同じ演説の中の言葉ということです。南北戦争史上最大の戦いと言われる1863年のゲティスバーグの戦いの4ヶ月後に行われた国立戦没者墓地の奉献式でのゲティスバーグ演説です。ラスト・フル・メジャー ...
アクションに走りすぎて肝心の人物描写がない…吉田修一さんの『鷹野一彦シリーズ』3部作のうち、2011年に月刊誌に連載された『太陽は動かない』と、その後書き下ろしで2015年に発刊された『森は知っている』の2作を原作としてます。ちなみに3作目の『ウォーターゲーム』は2作めに続いて2015年から2016年にかけて新聞連載されています。その頃から映画化の話が持ち上がっ...
女性たちは軽やかに階層社会を超える「あのこは貴族」とのタイトルから漫画原作のラブコメだろうとスルーしていたのですが、ちらちらと目にする細切れ情報からどうも違うようだと思い直し見てみましたら、ふたりの俳優に現代的な存在感のあるいい映画でした。あのこは貴族 / 監督:岨手由貴子女性たちは軽やかに階層社会を超える想像力を刺激するネタバレあらすじとちょ...
音楽と俳優でみせる映画、深くはないけど楽しいいい音楽といい俳優がいれば映画は成り立つという典型でしょうか。もちろん、コメディやファンタジーに限ってのことであり、シリアス系であれば当然それらとともに監督なりつくり手の視点が問われることになりますのでこの限りではありません。ステージ・マザー / 監督:トム・フィッツジェラルドこの映画はいわゆるファンタジ...
涙なき難病ものは舞台劇の原作ゆえか難病で死期が近い少女のラブストーリーです。え、またか?!というくらいポピュラーな題材ですが、ちょっと雰囲気が違っており、感動ものを期待していきますと物足りないかもしれません。泣ける場面はありません。ベイビーティース / 監督:シャノン・マーフィBabyteeth=乳歯の意味するもの 涙なしの難病ものから何がみえ...
センスもよく、遊び心もあり、美しい楽しい映画でした。そしていい映画でした。このところ押し付けがましいドラマばかり、特に日本映画なんですが、物語を説明的に語る映画を見ることが多く、それらに比べてこの映画はとても新鮮で、あれこれ考えながら見られるとても楽しい映画でした。わたしの叔父さん / 監督:フラレ・ピーダセンドラマは見る者の心の中に生まれる酪...
中華料理(薬膳)は文化の壁を越える?中国市場向けにつくられた映画か(多分そう)と思うほど中華料理が持ち上げられています。その点ではちょっとやり過ぎかなと思いますが、ラップランドの自然の中で料理を通してフィンランドと中国の価値観の接点が生まれるという映画です。世界で一番しあわせな食堂 / 監督:ミカ・カウリスマキミカ・カウリスマキ監督ネタバレあらす...
アイドルオタクの真髄を見たかったのに…松坂桃李主演、今泉力哉監督の青春物語とありましたので見てみるかと、ただハロプロというものも知りませんでしたので(笑)ちょっとだけ調べて、ああ、モー娘。ねなどと軽い気持ちで見に行きましたら…こんな話だったのね。あの頃。 / 監督:今泉力哉アイドルオタクの話でした。あまり弾けない...
映画に隙きはないが味わいも薄い天野千尋監督の映画は短編を2本見ているだけですが、映画づくりがうまくて隙がない印象です。この映画もその印象どおりでした。ミセス・ノイズィ / 監督:天野千尋映画に隙きはない…が、ネタバレあらすじとちょいツッコミ(なし)説明的で味わいがない映画に隙きはない…が、基本は三幕構成的であり、オチもきっちりついていま...
エピソードつなぎの安易なドラマになっていないか…西川美和監督、ついに原作ものか?!と思ったのですが、正直、これまでの自作のオリジナル脚本との違いはあまり感じられませんでした。いい意味で言えば、もともときっちりした脚本の存在が感じられる映画を撮る監督ですので、この映画でも原作に納得し、それを完全に自分のものにして脚本を仕上げたんだろうと思います。すばらしき...