サスペンスタッチで描かれる高齢レズビアンの恋愛 2021年のセザール賞で新人監督賞受賞の映画です。監督のフィリッポ・メネゲッティさんは1980年生まれですので40歳くらいでの作品になります。公式サイトのプロフィールによりますと、主にイタリアで活動していたようですが2018年からフランスに拠点を移し、この「ふたつの部屋、ふたりの暮らし(DEUX)」が長編ビュ...
ファンタジーだが、新鮮な感覚を感じる 身体的性と性自認が一致している女性ユイとFtMトランスジェンダーの真也の10年にわたる恋愛を描いた映画です。いやあ、面白かったです。社会からの偏見や差別という視点ではなく、それこそユイと真也の「フタリノセカイ」に絞って描いていますのでとても新鮮な感じを受けました。フタリノセカイ / 監...
実話に基づくホロコーストの復讐計画「プランA」 ホロコーストサバイバーの復讐劇、事実に基づく物語ということです。「Nakam(ナカム)」というヘブライ語で復讐という意味を持つグループの存在や映画で描かれるニュルンベルクの水道に毒を流し込んで無差別にドイツ人を殺害しようとした「Plan A」という計画があったのは事実のようです。 映画では語られていませんが「Pla...
レイプリベンジ、ラブコメ、スリリングだが…#MeTooの消費かも 今年のアカデミー賞脚本賞を受賞しているんですね。そんなことも知らずに見ていました。それに作品賞、監督賞、主演女優賞、編集賞にもノミネートされていたようです。プロミシング・ヤング・ウーマン / 監督:エメラルド・フェネルプロミシング・ヤング・マンではなくウーマンネタバレあらすじとちょい...
俳優は豪華だが映画は作りものくさい ビレ・アウグスト監督の2014年の映画「サイレント・ハート」のリメイクとのこと、その映画は日本では2016年の「トーキョーノーザンライツフェスティバル」で上映されています。劇場未公開です。ブラックバード 家族が家族であるうちに / 監督:ロジャー・ミッシェルシチュエーション・ドラマ 俳優は豪華(だと思う)ネタバ...
アンソニー・ホプキンスさんアカデミー賞主演男優賞受賞! アンソニー・ホプキンスさんが、今年2021年のアカデミー賞主演男優賞を受賞しています。アカデミー賞自体にも受賞作品はできるだけ見ようと思う程度の興味しかなく、授賞式も見たことがないのですが、それでもネットニュースのタイトルに今年の授賞式に「異例」とか「予想外」などの言葉がついていたのは記憶しています。今、1、...
犬はパンツをはかない、この邦題なら興行収入倍増だったのに 面白い映画ですね。原題は「Hundar har inte byxor」で、Google翻訳ではスウェーデン語とでますがフィンランドの映画です。英語タイトルは「Dogs Don't Wear Pants」です。「犬はパンツをはかない」あなたは犬なんだからパンツを脱ぎなさい、というニュアンスなんですが、なぜ...
アメリカン・ホームコメディで中国を描く 映画のつくりに新鮮さとは違った何かちょっと変わっているなあという感じを受け、なんだろうと考えていたんですが、この映画、中国的な日常生活感をアメリカ的ホームコメディのセンスで描いているからですね。おそらくそうしたカルチャーミックス的な視点が、あるシーンではどことなくノスタルジックな味わいになったり、また別のあるシーンではちょっ...
女性の友情物語をバディムービーっぽく やろうとしていることが明快で気持ちいい映画ですね。それに面白いです。監督はオリヴィア・ワイルドさん、俳優としてのキャリアは16年くらいで監督としてはこの映画が初の長編とのことです。脚本に4人の女性がクレジットされており、特にケイティ・シルバーマンさんとは信頼関係が強く、すでに次作も共同で制作されることが決まっているようです。原...
ブラジルからハートウォーミングな物語 男が、はっきりと人生の残り時間を自覚し始めたとき夢見るファンタジーです。ぶあいそうな手紙 / 監督:アナ・ルイーザ・アゼヴェード実はこの映画、見てからもう2週間くらいは経っています。最近は見る本数も増えてきていますので見たらその日か次の日にはなにか書き残すようにしていますのでこういうケースは珍しいです。映画とし...
バングラディッシュの天才チェス少年、パリに渡る 貧しい家庭の少年がチェスで成功する感動物語なんだろう程度の認識で見に行きましたら、確かにそれはそうだったんですが、映画のつくりになにかしっくりこないものを感じた映画でした。ファヒム パリが見た奇跡 / 監督:ピエール=フランソワ・マンタン=ラバル何がしっくりこないかと言いますと、まず感動物語にしようとして...
見るべきはクリステン・スチュワートのみ(かな?) おお、J.T.リロイが映画化(ドラマ化)されたんだ! という感じです。というのは、2年半くらい前に「作家、本当のJ.T.リロイ」という映画(ドキュメンタリー)を見て、「映画としては面白くありません。わたしなら劇映画にしますね。それだけ内容は面白いです。」とまとめたことのある題材です。それに、なんといっても J.T....
ハリウッドにしてはメリハリ不足。実話にとらわれ過ぎ? なぜ今この題材? という感じがする「フォード vs フェラーリ」です。結局映画は、1966年のル・マン24時間レースにおいてフォードがフェラーリに一矢報いるという内容でなんですが、そのどちらも現在はル・マン24からは撤退していますし、題材自体に現代性が乏しい感じがします。と、思いましたが、ウィキペディアを読み...
実話ベースの音楽ものはテッパン! 実話ベースのサクセスストーリーで音楽ものとくれば鉄板でしょう。イギリス、ポート・アイザックの漁師たちのバンド「フィッシャーマンズ・フレンズ」がメジャーデビューし、全英チャートトップ10入りを果たすまでの物語です。2010年に発売されたこのCDがそれです。Port Isaac's Fisherman's Friends...
オリヴィエ・アサイヤスが描く大人のフランス人のノンフィクション(みたいな話) 先日見た「パリの恋人たち」もそうですが、フランス映画には叙情的な邦題をつければ客が増える法則でもあるのでしょうか(笑)。もちろん客が入らなければ映画も見られなくなるわけですからそうした努力なんだろうとは思いますが、それにしてもこの「冬時間のパリ」は下のチラシのような内容の映画ですよ。...
ブルーアワーも見られず、ぶっ飛ばしてもおらず 「TSUTAYA CREATORS'PROGRAM(TCP)」の2016年審査員特別賞受賞作の映画化です。TCPのリンク先を見てみますと、今年から企画、監督、脚本と3部門に別れたとありますので、この作品の頃は企画だけなのか、脚本付きなのか、どちらにしても部門なしの審査だったのでしょう。グランプリが1作品、準グランプリが...
人種差別の複雑な内面化を描く 差別のある社会において、いや、もちろん、現在のところ、そうじゃない社会があるのかと言われれば悲観的にならざるを得ないわけですから、どんな社会においてもということになるのですが、ひとつは、差別する側に属する者は差別される者にどう対したらいいかという話、そしてまた、もう一方の差別される側に属するものは、差別する側の者が自分には差別意識はない...
これをアメリカのお話と思ってはいけない。 予告編ではコメディっぽい印象を受けたのですが、笑えるところはまったくなく気分が悪くなるような映画でした。これがアメリカの1960年、70年あたりの現実であり、また現在でもその根がなくなっているわけではないことを考えれば、スパイク・リー監督が「グリーンブック」のアカデミー作品賞受賞に怒るのもよくわかります。ブラック・ク...
ほぼ史実でしょうからネタバレなどなにもなく、映像と音楽を楽しみましょう 1969年7月21日02:56(UTC)(ウィキペディア)、人類で初めて月に降り立ったファースト・マンであるニール・アームストロングさんを描いた映画です。ちょうど50年前ですね。ファースト・マン / 監督:デイミアン・チャゼルこれは、IMAXとドルビーアトモスで見るといい映画かも知...
権力の象徴「椅子」をめぐる映画、ではなく音楽とワインの映画かも? この映画は結局のところ、と、いきなり結局というのもなんですが、英題(原題も?)が「The Chair」であるにもかかわらず、邦題を「葡萄畑に帰ろう」とせざるを得ないという、そのことがもっともよくこの映画を現しているのだろうと思います。公式サイト / 監督:エルダル・シェンゲラヤThe C...