アメリカン・ホームコメディで中国を描く 映画のつくりに新鮮さとは違った何かちょっと変わっているなあという感じを受け、なんだろうと考えていたんですが、この映画、中国的な日常生活感をアメリカ的ホームコメディのセンスで描いているからですね。おそらくそうしたカルチャーミックス的な視点が、あるシーンではどことなくノスタルジックな味わいになったり、また別のあるシーンではちょっ...
女性の友情物語をバディムービーっぽく やろうとしていることが明快で気持ちいい映画ですね。それに面白いです。監督はオリヴィア・ワイルドさん、俳優としてのキャリアは16年くらいで監督としてはこの映画が初の長編とのことです。脚本に4人の女性がクレジットされており、特にケイティ・シルバーマンさんとは信頼関係が強く、すでに次作も共同で制作されることが決まっているようです。原...
ブラジルからハートウォーミングな物語 男が、はっきりと人生の残り時間を自覚し始めたとき夢見るファンタジーです。ぶあいそうな手紙 / 監督:アナ・ルイーザ・アゼヴェード実はこの映画、見てからもう2週間くらいは経っています。最近は見る本数も増えてきていますので見たらその日か次の日にはなにか書き残すようにしていますのでこういうケースは珍しいです。映画とし...
バングラディッシュの天才チェス少年、パリに渡る 貧しい家庭の少年がチェスで成功する感動物語なんだろう程度の認識で見に行きましたら、確かにそれはそうだったんですが、映画のつくりになにかしっくりこないものを感じた映画でした。ファヒム パリが見た奇跡 / 監督:ピエール=フランソワ・マンタン=ラバル何がしっくりこないかと言いますと、まず感動物語にしようとして...
見るべきはクリステン・スチュワートのみ(かな?) おお、J.T.リロイが映画化(ドラマ化)されたんだ! という感じです。というのは、2年半くらい前に「作家、本当のJ.T.リロイ」という映画(ドキュメンタリー)を見て、「映画としては面白くありません。わたしなら劇映画にしますね。それだけ内容は面白いです。」とまとめたことのある題材です。それに、なんといっても J.T....
ハリウッドにしてはメリハリ不足。実話にとらわれ過ぎ? なぜ今この題材? という感じがする「フォード vs フェラーリ」です。結局映画は、1966年のル・マン24時間レースにおいてフォードがフェラーリに一矢報いるという内容でなんですが、そのどちらも現在はル・マン24からは撤退していますし、題材自体に現代性が乏しい感じがします。と、思いましたが、ウィキペディアを読み...
実話ベースの音楽ものはテッパン! 実話ベースのサクセスストーリーで音楽ものとくれば鉄板でしょう。イギリス、ポート・アイザックの漁師たちのバンド「フィッシャーマンズ・フレンズ」がメジャーデビューし、全英チャートトップ10入りを果たすまでの物語です。2010年に発売されたこのCDがそれです。Port Isaac's Fisherman's Friends...
オリヴィエ・アサイヤスが描く大人のフランス人のノンフィクション(みたいな話) 先日見た「パリの恋人たち」もそうですが、フランス映画には叙情的な邦題をつければ客が増える法則でもあるのでしょうか(笑)。もちろん客が入らなければ映画も見られなくなるわけですからそうした努力なんだろうとは思いますが、それにしてもこの「冬時間のパリ」は下のチラシのような内容の映画ですよ。...
ブルーアワーも見られず、ぶっ飛ばしてもおらず 「TSUTAYA CREATORS'PROGRAM(TCP)」の2016年審査員特別賞受賞作の映画化です。TCPのリンク先を見てみますと、今年から企画、監督、脚本と3部門に別れたとありますので、この作品の頃は企画だけなのか、脚本付きなのか、どちらにしても部門なしの審査だったのでしょう。グランプリが1作品、準グランプリが...
人種差別の複雑な内面化を描く 差別のある社会において、いや、もちろん、現在のところ、そうじゃない社会があるのかと言われれば悲観的にならざるを得ないわけですから、どんな社会においてもということになるのですが、ひとつは、差別する側に属する者は差別される者にどう対したらいいかという話、そしてまた、もう一方の差別される側に属するものは、差別する側の者が自分には差別意識はない...
これをアメリカのお話と思ってはいけない。 予告編ではコメディっぽい印象を受けたのですが、笑えるところはまったくなく気分が悪くなるような映画でした。これがアメリカの1960年、70年あたりの現実であり、また現在でもその根がなくなっているわけではないことを考えれば、スパイク・リー監督が「グリーンブック」のアカデミー作品賞受賞に怒るのもよくわかります。ブラック・ク...
ほぼ史実でしょうからネタバレなどなにもなく、映像と音楽を楽しみましょう 1969年7月21日02:56(UTC)(ウィキペディア)、人類で初めて月に降り立ったファースト・マンであるニール・アームストロングさんを描いた映画です。ちょうど50年前ですね。ファースト・マン / 監督:デイミアン・チャゼルこれは、IMAXとドルビーアトモスで見るといい映画かも知...
権力の象徴「椅子」をめぐる映画、ではなく音楽とワインの映画かも? この映画は結局のところ、と、いきなり結局というのもなんですが、英題(原題も?)が「The Chair」であるにもかかわらず、邦題を「葡萄畑に帰ろう」とせざるを得ないという、そのことがもっともよくこの映画を現しているのだろうと思います。公式サイト / 監督:エルダル・シェンゲラヤThe C...
ダニエル・デイ=ルイスが映画のバランスを崩している 予告編の「男は女の完璧な身体を愛した」や「オートクチュールのドレスが導く禁断の愛の扉が開かれる」のダサい(ペコリ)コピーと奇妙な抑揚のナレーションに妙にハマり、劇場で予告編が流れる度にぐっと笑いをこらえてきた映画を、ついに見てきました(笑)。ダサいと書いてしまいましたが、映画に対して言っているわけではありませんし...
子役ブルックリンさん(ちゃん)の行く末が気になる… こういう映画を見て必ず思うことは、「この子の将来は大丈夫だろうか?」ということです。この子というのは映画の中のムーニーではありません。ムーニーをやっている子役のブルックリン・キンバリー・プリンスさんのことで、こういう映画というのは、家庭環境がむちゃくちゃ悪く、本人も母親のまねをして Fword を連発するわ、中指...
ドキュメンタリー「健さん」の日比遊一監督が撮った初の劇映画 日比遊一監督という方を知らなかったのですが、名古屋出身でニューヨーク在住なんでしょうか、ウィキペディアには「健さん」という高倉健さんのドキュメンタリーを2016年に撮っており、一昨年のモントリオール映画祭で最優秀作品賞を受賞したとあります。劇映画としては、この映画が第一作とのことです。写真家でもあるよう...
あれやこれやこねくり回しているが結局何も内容のない映画 「ブリムストーン」なかなか覚えられないタイトルで、何だったっけ?と何度も調べてしまいます。こういう映画こそいい邦題をつけてほしいものですが、英辞郎ではこんな訳が出ます。brimstone【名】1.〈古〉硫黄2.地獄の業火3.激しい情熱4.〈古〉口やかましい女およそ「地獄の業火」という意味合いの映画です...
だからやめなさいって言ったのに… だからやめなさいって言ったのに…。って、実際誰かに言ったわけでもないのですが、そもそもこういうカルト的(ちょっと言葉が違いますが…)な映画の続編がうまくいった試しはありません。続編としてどうこう以前に映画としてつまらなさすぎます。30分もすれば飽きてしまいます。それにしても「ブレードランナー」って、時代設定が2019年だ...
クリス・クラウス監督、ナチスと性の問題に切り込む 「4分間のピアニスト」のクリス・クラウス監督です。映画ってラストシーンだなあと思い知らされた映画です。今でも予告編を見ただけで感動して涙が出てきます(笑)。日本公開が 2007年でしたのでもう 10年になりますが、クリス・クラウス監督、IMDb を見てみましても、この間 2010年に「Poll」という映画を撮って...
映画はシンプルなのに物語は深い こういう映画を撮ることが出来る長谷井宏紀監督ってどんな人? と公式サイトを見てみましたら、2009年、フィリピンのストリートチルドレンとの出会いから生まれた短編映画『GODOG』では、エミール・クストリッツァ監督が主催するセルビアKustendorf International Film and Music Festival にてグ...