どんなにファンタスティックであっても台詞なしの違和感は拭えない… 「セリフなし映画」ですか。以前見た「草原の実験」も台詞なしで通していましたがすごい違和感を感じました。この「ゴンドラ」はどうなんでしょう。ゴンドラ / 監督:ファイト・ヘルマーゴンドラは想像の翼を得て…寂れた山間部のゴンドラ(ロープウェイ)は山間の町...
青春とは、孤独と哀愁に抱かれて、人恋しくもあり、そして気まぐれなもの… 「イロイロ ぬくもりの記憶」で2013年カンヌ国際映画祭のカメラ・ドールを受賞したアンソニー・チェン監督、日本では10年ぶりの劇場公開作になります。ただ、その間も2本の長編とアンソロジーの1本を撮ったり、プロデューサーとしてはたくさんの映画に関わっているようです。空音央監督の「HAPP...
「傲慢」も「善良」も、え?と言うほどの今どきのラブストーリーでした… 『高慢と偏見』が意識されているんだろうと思い興味を持ったのですが、見てみれば、「傲慢さ」もほどほど、「善良さ」にいたっては何のこと? という程度の今どきのラブストーリーでした。傲慢と善良 / 監督:萩原健太郎今どきのラブストーリー…あらすじとして...
え? 1977年、フランスではフーコーもサルトルもボーヴォワールもデリダもドゥルーズも性的同意年齢法に反対していた… フランスの作家であり映画監督でもあるヴァネッサ・スプリンゴラさんの2020年の著書『Le Consentement 同意』の映画化です。その著書は、自身が14歳のときから1年あまり、当時49歳(50歳?…)だった作家ガブリエル・マツネフと性...
よくわからない映画でした… 韓国のキム・チャンフン監督、長編デビュー作のこの映画が昨年2023年のカンヌ国際映画祭ある視点部門に出品されています。このろくでもない世界で / 監督:キム・チャンフン物語がよくわからない…18歳のヨンギュは実の母親と再婚相手の男とその娘ハヤンと暮らしているハヤンは学校でいじめ...
心理劇を期待するも、コメディ? ホラー? スリラー? わかんない… 「ハード・コア」以来の山下敦弘監督です。最近は山下監督の名前をみてもそそられる映画がなく、この「告白 コンフェッション」もほぼそんな感じではありますが、ヤン・イクチュンさんが出ているということで見てみました。告白 コンフェッション / 監督:山下敦弘コメデ...
ダルデンヌ兄弟の国のもうひとつの移民の顔… ベルギーのバス・ドゥヴォス監督の2019年の映画です。もう一作、2023年の「Here」と同時公開されています。2014年の長編デビュー作「Violet」以来、長編4作がいずれもがベルリンやカンヌの映画祭で上映されるという注目の監督です。ゴースト・トロピック / 監督:バス・ドゥヴォス...
宗教性はほとんど感じられず、過酷な自然の中では人の争いなど些細なこと… 19世紀末のアイスランドを舞台にした映画です。今から150年くらい前ということになります。当時のアイスランドはデンマークの統治下に置かれていましたので、そうしたことからくる人間関係の軋轢が描かれています。ゴッドランド GODLAND / 監督:フリーヌル・パル...
ことの重大さを打ち消すかのように軽やかに振る舞うジョイの存在に意味がある… アメリカの連邦最高裁判所が、1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆して「妊娠中絶の権利は憲法で保障されていない」とする判断を下したのは2022年6月24日です。そしてこの「コール・ジェーン」がプレミア上映されたのがその年の1月21日のサンダンス映画祭であり、一般公開はその年の10月...
真面目さは感じるが、人物の背景描写がなくダイジェストのよう… 海外の監督が日本の物語を日本人の俳優で撮るというのは、最近ではヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」がありますが、あれは日本の企画で監督オファーですのでちょっと違いますし、あまりないですね。パトリック・ディキンソン監督は早稲田大学で日本映画を学んでいたとありますし、なんの...
映画としてはまとまっているが、物語が表層を滑っていく… 原作が本屋大賞受賞作ということですし、どこからともなく流れてくる映画の持つ匂いから、おおよそその傾向は想像はついていたのですが、ひとつだけ、え? それなの? という映画でした。どこからともなく流れてきていたのは予告編を見たからと思っていましたが、今トレーラーを見てみましたら見たことのないもので...
ラストシーン、コットがダディ、ダディと二度つぶやく父娘の物語… 一昨年2022年のベルリン国際映画祭ジェネレーション部門(Kplus)でグランプリを受賞したアイルランド映画です。Kplus は主人公が 4歳以上の映画が対象で、11人の子どもたちが審査するという部門です。主人公が14歳以上になりますと 14plus という部門になり、同じ年に川和田恵真監督の...
青春とは「普通」を拒否するがゆえにいつの時代もイタイもの… 2001年の映画のリバイバル上映です。といっても、それもよく知らずにポチッとして見てきました(笑)。タイトルにもまったく記憶にありませんし、スカーレット・ヨハンソンを知ったのが2003年の「ロスト・イン・トランスレーション」や「真珠の耳飾りの少女」ですので多分見ていないのでしょう。[toc...
フランス的個人主義と家族主義が同居する映画 前作が「アマンダと僕」のミカエル・アース監督の最新作、昨年2022年のベルリン国際映画祭のコンペティションで上映されています。主演はシャルロット・ゲンズブールさん、こちらはたくさん見ていますが、なにが記憶に残っているかと言われれば、やはりラース・フォン・トリアー監督の「アンチクライスト」「ニンフォマニアック」あた...
この乱雑さは気負いの現れ… 「ビー・ガン[凱里ブルース][ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ]フー・ボー[象は静かに座っている]に続く中国第8世代新たなる才能の発見チウ・ション|仇晟 鮮烈の長編デビュー作」と紹介されています。ただこの映画、2018年製作の映画です。郊外の鳥たち / 監督:チウ・ション新たなる才能か、未...
ペネロペ・クルスの映画監督役がはまっていてびっくり! ペネロペが天才映画監督? マジですか?! 最も似合わない役じゃないですか…。と思って見てみましたら、とんでもない! ペネロペ・クルスさんの俳優力を見損なっていました(ペコリ)。コンペティション / 監督:ガストン・ドゥプラット & マリアノ・コーンおふざけ...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 「オリ・マキの人生で最も幸せな日」のユホ・クオスマネン監督の長編第2作です。その2016年の長編デビュー作はカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で作品賞を受賞しています。そして、この「コンパートメントNo.6」は2021年に同じくカンヌのコンペティション部門でグランプリ受賞です。コンパートメン...
本当の自分を抑え込まなくてはいけない辛さ 1995年、アイルランドの田舎町ではまだまだ性的マイノリティーへの差別意識が渦巻いていたという映画です。さらにその差別によって追い詰められる側がティーンエイジャーですので見ていてつらいものがあります。監督、脚本は「CURED キュアード」のデビッド・フレイン監督です。恋人はアンバー...
現実的な俳優が超現実な空間に置かれるシュールさ 「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2017」準グランプリ作品の映画化らしいです。それに引っかかったわけではなく「町田くんの世界」の文字がぱっと目に入ってきましたので思わず(なぜか)ぽちっとしてしまいました。この子は邪悪 / 監督:片岡翔シュールな俳...
小説の映画化は感想を映像にすることではない 『むらさきのスカートの女』で2019年上期に芥川賞を受賞した今村夏子さんのデビュー作『こちらあみ子』の映画化です。原作は2010年の作品ですが、デビュー作にして太宰治賞、三島由紀夫賞を受賞しています。2020年に芦田愛菜主演で映画化された「星の子」も今村夏子さんの原作です。監督の森井勇佑さんは現在37歳、...