美しきタイ ナコーンパノムと美しくもほろ苦きユーとミーの青春物語… タイ映画です。タイトルや画像のとおり、双子のユーとミーのちょっとほろ苦い青春物語です。高校生の年齢設定だと思います。制作会社は「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」や「ハッピー・オールド・イヤー」のGDH559です。この会社の映画はどれもレベルが高いです。ふたごの...
フィリップを演じているエリック・クルム・ジュニアさんがすごい… 映画の紹介文からの刷り込みや画像からの印象を捨てて見ますとこれがなかなかすごい映画なんです。まずは「ナチスの妻たちを次々に誘惑」とか「ナチスへの復讐」という言葉を忘れましょう(笑)。フィリップ / 監督:ミハウ・クフィェチンスキ1941年、ワルシャワ・ゲットー...
「No.10」はアレックス・ファン・ヴァーメルダム監督自身の10作目という意味らしい… オランダのマルク・ファン・ヴァーメルダム監督の2021年の映画です。初めて目にする名前ですが、2013年に「ボーグマン」という映画でカンヌのコンペティションに選出されたことがあるようです。オランダの映画監督といいますと、「エル ELLE」や「ベネデッタ」のポール・バーホ...
どう考えても理不尽なことなのに、それをスクリーンで見ているだけの居心地の悪さ… 「ソハの地下水道」「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」のアグニエシュカ・ホランド監督です。前作の「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」では、ホロドモールというスターリン時代のソ連邦によるウクライナの人為的な飢餓を知りました。そして、この「人間の境界(Green Border)」で...
謎解きでもなく、ドキドキ感を煽ることもなく、なのに面白い… 前作「悪なき殺人」では、2019年の東京国際映画祭で最優秀女優賞と観客賞を受賞していたドミニク・モル監督です。この「12日の殺人」では、昨年2023年のセザール賞で作品賞、監督賞、助演男優賞、有望若手男優賞、脚色賞、音響賞を受賞しています。期待できそうです。12日の殺人 ...
リュック・ベッソン監督が帰ってきた! リュック・ベッソン監督、なに以来か思い出せないくらい久しぶりです。サイト内を検索しましたら「マラヴィータ」「ルーシー」以来です。10年ぶりのこの「DOGMAN」、すでに自分の撮りたいと思うものがなくなっているんじゃないかと思われるリュック・ベッソン監督ですのでどうなんでしょう。DOGMAN ド...
ヴィム・ヴェンダース監督と役所広司さんでなければ撮れなかったでしょう… 劇場公開日の12月22日の朝刊に見開きで広告が出ていてびっくりしました。PERFECT DAYS / 監督:ヴィム・ヴェンダースマーケティング戦略…新聞の広告はこれです。すごいなあ。配給会社も命運をかけてますね、なんて思っていま...
ギャスパー・ノエ監督の映画への真面目さを強く感じる感傷なき死の描写… ギャスパー・ノエ監督は、「アレックス」「CLIMAX クライマックス」「ルクス・エテルナ 永遠の光」と見てきた私の中では真面目な監督という位置づけになっています。この映画もこれ以上ない真面目さで人の「死」、最期というものを描いています。おすすめ映画に入れていますが、決して楽しい映...
心の中の葛藤が画からにじみでる… もう2年前になりますが「君は永遠にそいつらより若い」を見て、吉野竜平監督の構成力がすごい! って思いましたので、アイドル云々の内容についていけるかなあ(笑)と心配しながらも見てみました。やはり吉野竜平監督、構成力もさることながら演出力もなかなかのものです。ファンファーレ / 監督:吉野竜平...
差別、偏見、欺瞞が渦巻く17分、「福田村事件」にはない現実感 「4ヶ月、3週と2日」「汚れなき祈り」「エリザのために」のクリスティアン・ムンジウ監督、2022年の最新作です。ムンジウ監督はこの映画の前にはジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ(ダルデンヌ兄弟)監督やミシェル・フランコ監督とともに「母の聖戦」のプロデューサーに名を連ねています。...
ダルデンヌ兄弟監督がドキュメンタリ作家の原点に帰ったような劇映画 1999年の「ロゼッタ」以降すべて見てきているジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督です。このサイト内では新しい方から「その手に触れるまで」「午後8時の訪問者」「サンドラの週末」「少年と自転車」について書いています。という、ほぼすべてのドラマ作品を見てきた中でもこの「トリとロ...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 「オリ・マキの人生で最も幸せな日」のユホ・クオスマネン監督の長編第2作です。その2016年の長編デビュー作はカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で作品賞を受賞しています。そして、この「コンパートメントNo.6」は2021年に同じくカンヌのコンペティション部門でグランプリ受賞です。コンパートメン...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 娘が誘拐された母親を追ったメキシコの映画ですが、監督はルーマニア系ベルギー人(だと思う…)のテオドラ・アナ・ミハイさん、この映画の制作時は40歳くらいの方だと思います。IMDbによりますと、過去にドキュメンタリーの長編1本短編4本を撮っており、ドラマとしてはこの映画がデビュー作になります。なのにプロデューサー陣がすご...
唐田えりかの映画的存在感の凄さとシナリオのうまさ 6年ほど前に「蜃気楼の舟」を見ている竹馬靖具監督の最新作、「蜃気楼の船」ではあまりいいことを書いていませんが、この「の方へ、流れる」はとてもいいです。の方へ、流れる / 監督:竹馬靖具唐田えりかという俳優この映画のよさは唐田えりかさんによるところが大きいです。唐...
アンヌの身体や人生のことはアンヌが決めるべきということ すごい映画です。昨年2021年のヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞受賞作です。今年、ノーベル文学賞を受賞したフランスのアニー・エルノーさんの『事件 L'Événement』という著作をベースにした映画で、内容も内容なんですが、エルノーさんはオートフィクションの作家と言われている方で、著作の多くが...
クリステン・スチュワートのダイアナが自由への物語を生み出す 「クリステン・スチュワートがダイアナ元皇太子妃を演じ(映画.com)」の書き出しを見ただけでもう映画館のチケット予約サイトでポチッとしてしまいました(笑)。ダイアナに興味があるわけではありません。「クリステン・スチュワートがダイアナ?!」ってことです。スペンサー ...
余命何ヶ月ものだがアプローチは終末期医療という新鮮さ いわゆる「余命何ヶ月」ものなんですが、ちょっとアプローチが違った映画でした。監督はエマニュエル・ベルコさん、俳優としては「モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由」など見ていますが、監督作品は初めてです。見る者の集中力を途切れさせないいい映画でした。愛する人に伝える言葉 / 監督:エ...
大人にはおとぎ話にみえる子どもの非現実的現実 「燃ゆる女の肖像」で一躍その名が知られる(日本では)ようになったセリーヌ・シアマ監督の2021年の最新作です。その間にはジャック・オディアール監督の「パリ13区」の脚本を書いています。また、昨年劇場公開されている「トムボーイ」は2011年の映画です。秘密の森の、その向こう / 監督:セ...
松井玲奈さんがすばらしい、安川有果監督のセンスがいい 監督の安川有果さんは映画はもちろんのこと名前も初めて目にし、主演の松井玲奈さんも映画で見るのは初めて、原作の島本理生さんも一冊も読んだことがなく、脚本の城定秀夫さんは名前を知る程度、かろうじて中島歩さんの「いとみち」のとてもよい印象に頼って見た「よだかの片想い」、映像センスよし、松井玲奈さんよし、演出よ...
黒人差別、ジェンダー意識が見え隠れするセンスのいい映画 ツイッターへの投稿から生まれた映画です。2015年に Aziah "Zola" King のアカウント名で投稿された148ツイートとローリングストーン誌の本人へのインタビュー記事がベースになっています。内容はストリップ・ポールダンサーが意に反して売春行為に巻き込まれる話ですが、コメディタッチで...