セドリック・クラピッシュ監督、スパニッシュ・アパートメント以来のまとまりのいい映画… セドリック・クラピッシュ監督人気なんでしょうか、私が見る映画には珍しく150席超満員でした。クラピッシュ監督の映画は「スパニッシュ・アパートメント」以降ほとんど見ていますが、久々にきっちりまとまった映画でした。もちろん、ベタな物語なのは相変わらずです(笑)。[to...
前半の良さを後半が台無しに。主演の花瀬琴音さんを生かしきれず、パターンドラマに終わる… チェコにカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭という映画祭があるとのことで、この「遠いところ」は、昨年2022年のコンペティション部門に出品されたとあります。かなり大規模な映画祭です。この作品の受賞はなかったようですが、過去のグランプリ受賞作を見てみましたら、見ている映画では「と...
アンドレア・ライズボローの演技は評価されるべきもののスウィーニーのいい人ぶりと地域コミュニティの暴力性が気になる… アルコール依存症の女性が心やさしき男性の助けで再起するという話です。現実感はありませんが過剰さがなく見やすい映画です。主演のアンドレア・ライズボローさんが今年2023年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされています。受賞したのは「エブリシン...
リーアム・ニーソンに古典的な男性像タフでダンディなハードボイルド・ヒーローはあうのだろうか… リーアム・ニーソンさん、出演作100本ですか、すごいですね。すべてが主演というわけではありませんが、単純に1年に2本撮ったとして50年です。ああ、デビューから45年らしいです。ただ、この古典的な探偵ものフィリップ・マーロウはリーアム・ニーソンさんに合います...
ソクーロフのおとぎ話。さまようヒトラー、スターリン、ムソリーニ、チャーチル… 私には2005年の「太陽」以来のアレクサンドル・ソクーロフ監督です。2011年の「ファウスト」がヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞しているのですが、なぜか見ていません。どうしたんでしょう?独裁者たちのとき / 監督:アレクサンドル・ソクーロフ実...
ピュアで美し過ぎるがゆえに作り込み感が気になる… 「僕たちの家に帰ろう」のリー・ルイジュン監督です。2014年の映画でしたので8年ぶりになります。そのレビューでは「私が審査委員長なら、パルムドールでも、金熊でも、金獅子でも何でもあげちゃいます」と書いている監督です(笑)。なお、この「小さき麦の花」の前にもう1本「Lu Guo Wei Lai (Wa...
ダルデンヌ兄弟監督がドキュメンタリ作家の原点に帰ったような劇映画 1999年の「ロゼッタ」以降すべて見てきているジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督です。このサイト内では新しい方から「その手に触れるまで」「午後8時の訪問者」「サンドラの週末」「少年と自転車」について書いています。という、ほぼすべてのドラマ作品を見てきた中でもこの「トリとロ...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 アメリカの高校で起きた銃乱射事件から6年、被害者と加害者の両親が対面で話をするという映画です。監督のフラン・クランツさんは俳優として二十数年のキャリアがある方で、この映画が脚本も含め監督デビュー作ということです。対峙 / 監督:フラン・クランツデビュー作にこの題材…デビュー作にこ...
三浦透子、東出昌大主演の丁寧な、でも冗長な映画 「CMディレクターとして活躍する宮川博至監督(公式サイト)」の初長編映画です。主演は三浦透子さんと東出昌大さん、脇に小林薫さん、浅田美代子さんという映画です。とべない風船 / 監督:宮川博至CMと映画まったくのたまたま(偶然)ですが、正月休みに「光を追いかけて」という、C...
2,30分でネタは知れ、残り100分を耐えるつらさ 監督は「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」のオリビア・ワイルド監督、主演は「ミッドサマー」のフローレンス・ピューさんという今注目(らしい)の組み合わせの映画です。ドント・ウォーリー・ダーリン / 監督:オリビア・ワイルドつらい……2、30分も見ればネタは知...
バニーキングの正義と社会正義がぶつかる映画でロードムービーじゃないよ… ニュージーランド映画です。監督はゲイソン・サヴァットさん、映画界でのキャリアは30年近くありますが、これが初の長編とのことです。カメラクルーとしてスタートし、2000年代後半に入ってからテレビドラマやCMのディレクターとなり、映画では2009年に短編1本がクレジットされています。そして...
フランス革命前夜、フランス初のレストラン誕生秘話 1789年のフランス革命のちょっと前、フランスで初めてのレストランが誕生したというドラマです。実話ではありません。それまで料理というものは王族、貴族、聖職者といった支配者階級だけが理解できるもので、庶民が食事を楽しむという社会規範がなかったのが、革命という社会変革によって料理の世界にもパラダイム転換が起きた...
皮肉?教訓?ナンセンス? 「引っ越した家には12時間進んで3日若返る穴がありました」にやられて見てしまいました(笑)。カンタン・デュピュー監督、「ラバー」「ディアスキン鹿革の殺人鬼」など過去のタイトルを目にしても何も浮かびませんので初めてだと思います。奇妙な映画を撮る監督のようです。地下室のヘンな穴 / 監督:カンタン・デ...
ヘレン・シャルフベックを演じるラウラ・ビルンの魂のまなざし フィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベックの50歳代の8年間ほどが描かれた映画です。「魂のまなざし」とはまた奇妙なタイトルをつけたものだと思いましたら、2015年に「ヘレン・シャルフベック 魂のまなざし」として全国4箇所で展覧会が開かれていました。映画としてはそのタイトルは決して間違...
映画は最強のプロパガンダ手段 2022年の今ではドンバスやドネツクの地名も毎日のように耳にしますが、その地名をタイトルにしたこの映画の製作年は2018年です。2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻(侵略)の4年前の映画です。皮肉なことですが、この戦争がなければこの映画が日本で劇場公開されていたかどうかわかりません。2018年のカンヌ映画祭...
トム・クルーズは映画が映画でなくなった時代の最後の映画スター ハリウッド超王道! 見事です。2時間10分、あっという間でした。空中シーンでは知らず知らずのうちに拳を握っている自分に気づきます。懐かしさを感じるのに古くない見事と書いておきながらなんですが、特にすごいところがあるわけではありません。物語はハリウッドの定...
大人の女性のファンタジーに見えても、実は男の… 安倍照雄さんという脚本家のオリジナルストーリーとのこと、平山秀幸監督とともに10年来温めてきた企画でもあるそうです。笑えもし見ていて楽しくなる大人のファンタジーです。ただ、ちょっと見方を変えますと、んー……という映画でもあります。ツユクサ / 監督:平山秀幸大人のしあ...
昭和ノスタルジーの人情噺で自身の昭和度を測る 重松清さんの小説『とんび』の映画化です。中心となっている時代が1960年代から2、30年間の話ですのでいつ書かれたものだろうとウィキペディアを見てみましたら2003年の新聞の連載小説でした。原作を読んでいませんので実際はどうかわかりませんが、映画は昭和ノスタルジーです。自分の昭和度をはかるにはいい映画で...
男でもない女でもないノンバイナリージェンダーの誕生か 昨年2021年のカンヌ映画祭パルムドール受賞作です。「世界が驚愕、混乱、困惑」とか「完全に独創的、脳がブッ飛んだ」などの宣伝コピーが踊っていますので、無茶苦茶期待の映画です。TITANE/チタン / 監督:ジュリア・デュクルノー驚愕するよりも考えてしまう...
男はケーキにまみれて自らの過去に拘泥し、女は朝日にまみれて未来を思う 日本映画は大丈夫か? と思います。松居大悟監督までもが…とかなり心配になります。この手の恋愛映画、それぞれ若干趣きは違うにしても過ぎ去りし過去を引きずった感傷的恋愛映画が立て続けに送り出されています。「ボクたちはみんな大人になれなかった」「明け方の若者たち」たまたま私が見...